BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2014/6/21放送 #10 きよし

安くてうまい料理と酒 酒飲みの理想を実現した葛飾堀切、下町の大衆酒場
“くるによし”な店を守る女将と二代目 氷のない堀切ハイボールに舌鼓

大衆酒場には、びっくりするほど安く飲める店がある。もちろんデフレとは無関係、その値段で何十年も愛され続けているような店に出会うと、思わずその近くに住みたくなってしまう。そのうえ料理もうまいときたら……。ここ、葛飾区の堀切にある「きよし」もまた、そうした店のひとつ。店の前に座り込んだノラちゃんを「こいつはまさに招き猫だねぇ」などと言いながら暖簾をくぐったきたろうさんと西島さん。まずは女将の後藤惠子さんが入れてくれた焼酎ハイボールで乾杯……、と、しかし何かが違う。氷が入っていないのだ。「堀切の焼酎ハイボールには氷が入ってないんです。氷を入れると味が違っちゃうんですよね、だからここらへんの昔からの店には氷が入っていません」と女将。実はこの氷が入らない「堀切ハイボール」は、諸説ある元祖焼酎ハイボールのひとつ。「きよし」のそれは強めの炭酸でキリッと冷えており、喉に滑り込む時の爽快感がたまらない。そんなグラスたっぷりの堀切ハイボールを、ゴクゴク飲む喜びは、暑い季節には何物にも変えがたい。

最初にお願いした料理は、最近人気だというチリビーンズ。常連さんが「安いんだよね〜」と言うこのチリビーンズは、クラッカーがついて200円。「すごくいい香りがする。これ、トマトの味もお肉もしっかりしてるし、これだけでお酒を飲んでもいい」「辛いだけじゃなくて旨味があるね」と西島さんときたろうさん。お客さんからのアイデアで、チリビーンズを作ったのは二代目主人の貴利さんだ。立派な体格でニコニコと笑う二代目に「なんでまたお袋と一緒に働こうと思ったの? 面倒じゃない?」と、きたろうさんが訊くと「やっぱり(面倒なところは)ありますよ。でも他人に言うよりは言いやすい」。「喧嘩もたまにしますよ。けっこううるさいんですよ、ニコニコ笑ってますけどね。本性は違うんですよ」と掛け合いを繰り広げる女将と二代目。なんだかんだいいつつ、仲のいい親子なのだ。

最大限のサービスが詰まった一皿一皿

「きよし」は50年前に、女将と先代のご主人が、客商売の経験もないまま始めた。店の名前は先代の名前でもあるが、「きやすい」つまり“来るに良し”にも掛けられているのだとか。その先代は長患いの後、5年前に亡くなったが、この店を愛するお客さんに支えられ女将は店を続けている。そんな先代の味を継いだ一品が「納豆揚げ」。小麦粉と納豆を混ぜ合わせ、油で揚げたシンプルな料理で「親父が作っているのを見て美味しそうだなぁと思っていたのを、真似してつくるようになった」と、二代目は言う。280円だが、これがまた皿から飛び出すほどのボリューム。しょうゆとカラシをつけて頬張るきたろうさんは「油がうまい、油が大事なんだよ」と満足なご様子。そんな揚げ物の次は、さっぱりとミツバの酢味噌和え(200円)。ミツバのおひたしと、タマネギや竹輪などが酢味噌で和えていて、ガラスの小鉢で供される。「さっぱりするねぇ、それに酒場らしからぬガラスの器、新鮮だよ」と、きたろうさん。「ガラスの方が透明感があって、涼しげじゃないですか」と、二代目は料理の盛り方にも細かな気を配っている。

この店のこだわりは「うちは安いのが一番の売りなんですけど、昔と違ってお客さんは目も舌も肥えてますからね。お客さんの評判ですとか、お客さんのご意見を大変大事にします。うち、一番高いのが480円なんですよ。だから旬の物、安くて美味しい物を選んで買ってきますね」と女将。その一番高いメニュー「マグロの中落ち」にしても、ボリュームたっぷり。そんな損のないメニューの中でも人気の一品が「水炊き」。お値段は「それじゃ煙草も買えないよ」と、きたろうさんが思わず叫んだ350円。しかし可愛らしい小さな鍋は大変な具沢山。「いい出汁が出てるねぇ。抜群ですよ」と丁寧にとられた出汁を褒めるきたろうさん。西島さんは、季節はずれの鍋に「かなりぎゅうぎゅうに詰まってますよ。熱々だけど夏の鍋、いいですね。染みる〜!」と、ボリューム満点のお鍋に大満足。

さてこれだけ食べて飲んで、お代を訊くと、なんと「2030円」とのこと。もちろん2人分のお代で。これにはきたろうさんも「この値段なら(西島さんに)おごってもらうよ」と、大笑い。うまくて、安くて、気分のいい酒と料理には、必ず笑顔が付いて回る。

きよしの流儀
その壱

堀切の昔ながらの大衆酒場では、氷を入れないのが流儀。これが堀切の元祖焼酎ハイボール「堀切ハイボール」。これでその店が新参かそうでないかが分かるという。
その弐

鉄分をたっぷり含む大豆を使った、体にも舌にもおいしいメニュー。お客さんからの提案で作ってみたところ、大好評で定番メニューに。
その参

もともと料理が好きだった二代目が、先代の作り方を微かに覚えていて、改めてレシピを再現。二代目の子供の頃の思い出の味。280円(税込)。
その四

安くておいしいものを出すためには、旬の素材を使ったメニューが一番なのだとか。
その伍

一人鍋用の小さな鍋に、白菜や鶏肉、豆腐などがぎっしり詰まっていておトク! 具の旨みが溶け込んだおいしい出汁は、最後までいただきたい。
きたろうさんから、きよしへ贈る「愛の叫び」 きよし 心配するな  ———きたろう
「きよし」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都葛飾区堀切5-23-6
03−3690−9947
14:00〜23:00
木曜・第2、4水曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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