BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2017/07/08放送 #151 風来けん坊

九州・福岡スペシャル第二弾今や消えゆく博多の文化となった屋台を未来へつなごうとする母と息子
風に吹かれながら缶チューハイで乾杯!

夕闇迫る博多の昭和通り。「やっぱり博多といえば、屋台だよね」、「屋台に憧れはあるけど、行ったことがない」という、きたろうさんと西島さんが訪れたのは、昭和56年創業の屋台「風来けん坊」。暖簾をくぐると、店を切り盛りする安永美穂子さんと、料理を担当する息子の健太さんが迎えてくれる。いつものように焼酎ハイボールを頼むと、缶チューハイと氷がいっぱいのグラスが登場。「これ、簡単でいいね!」と屋台ならではの流儀に、きたろうさんのテンションも上がる。早速、常連さんと乾杯を交わしオススメをお願いすると「やっぱりおでんかな。うちは夏もやっているんですよ。オススメ(のネタ)は自家製の柚子胡椒ダレが付くお豆腐。珍しいといったら餃子巻きかな? 中が餃子(の練り物)で、博多では結構有名。あとはスジ」と見繕ってもらう。「うん、出汁がよく出てる。外で食べると美味しいね」、「牛すじも柔らかくて……、あと餃子巻? 美味しいです。初めて食べた。練り物と餃子がすごくよく合う」と、博多のおでんを堪能。

屋号の「けん坊」は、お店を始めたご主人、建次さんの名前から。「私はサラリーマンと結婚したんですよ。それがいきなり“会社をやめて屋台をやる”って。結婚詐欺だって言ってました」。理由を聞けば「博多山笠というお祭りがあるんですよ。山笠に出てたら会社を休まなくちゃいけないけど、そんなに休みを許してもらえないでしょ」。しかし屋台をやると言っても……。「その頃は300万で権利が買えたんですよ。今は全然ダメですけど」。37年前、大手化学メーカーを脱サラし屋台を始めたご主人だったが、17年前に体調を崩し、今はお母さんと息子の2人で暖簾を守り続けている。

次のオススメは、自家製味噌だれを使った「ホルモン味噌鉄板」。秘伝の味噌とホルモン、たっぷりの野菜で炒めたもので、甘い味噌がなんとも食欲を掻き立てる。赤味噌をベースにみりん、ごま油、ニンニク、砂糖などが入った味噌は、ご主人が考案したものだ。「屋台は火を通すメニューしかダメなんです。ナマ物を出せない」というお母さん。屋台には多くの規制やルールがあり、屋台の暖簾を守るというのは、今や大変な苦労を伴うという。

屋台で満喫、博多のソウルフード

「屋台、これ毎日作るわけでしょ?」と、きたろうさんが訊くと「そうなんです。毎日キャンプみたいだと言ってます」とお母さん。毎日100キロを超える屋台を運び、組み上げるのは息子さんの仕事。屋台の設置は夕方5時以降と決められていて、6時30分の営業開始時間に間に合わせるのも大変。「朝の4時には、なんにもない状況にしなくちゃいけない。そうしないと行政処分があって、営業停止とか厳しいんです。この締め付けで、辞められた方も多いです」。60年代には、およそ480軒もあった屋台だが、年々減少し現在は約120軒を残すのみ。お母さんは息子と共に失われつつある博多の文化と、ご主人の暖簾を残すため、日々頑張っている。

さて、ここから博多名物の3連打。最初はさっぱりスープと、モツのプリプリが楽しめる「モツ鍋」。もうすっかり夏の風情の博多だが、うまいものはどの季節に食べてもうまい! 続いては、これまた珍しい「焼豚足」。周りはパリッと焼き上げ、中はモチっとした食感を残すこの一品。常連の女性客曰く「明日は肌がプルプルですよ」と、その美肌効果は抜群らしい。これに大喜びの西島さん、「豚足は焼いた方が絶対美味しい! なんで焼かないんだろう。うわぁ、脂が乗っててプルプル! こりゃたまらん」と、その味の虜に。そして最後の〆は豚骨ラーメン。酒場のラーメンらしく、シンプルにまとめられた一杯に「飲んだ後にはこれが一番。素晴らしいスープの色。うまいなぁ、さっぱりしてて。でも、ちゃんと豚骨の味があってね」と、きたろうさんも絶賛。

親子揃っての祭り好きとあって、すでに屋台を継ぐことを決意しているという息子さん。観光スポットとしての屋台ということもあり「県外の方もいらっしゃって、いろんな方言が飛び交うんです。これって結構、特殊な酒場だなと思います」と言う。それもまた、この屋台という博多の文化が守られてこそ。建次さんから建太さんへ、父から子へ「風来けん坊」の暖簾が受け継がれるように、屋台文化も長く受け継がれることを願うばかりだ。

風来けん坊の流儀
その壱
まずは1年中食べられるおでんを食すべし!
おすすめの豆腐は、特製のタレと大根おろしでいただく。おでん 豆腐・餃子巻・牛すじ 各150円(税込)
その弐
秘伝の味噌を使ったホルモン味噌鉄板を食すべし!
屋台で出す料理は、加熱したものしか出せないため、刺身はもちろんサラダなどナマ物は禁止。そのため、炒め物や焼き物が充実している。ホルモン味噌鉄板850円(税込)
その参
博多のソウルフード@モツ鍋を食すべし!
博多の代表的な鍋物といえば、鶏の水炊きかモツ鍋。こちらの名物は、プリプリのモツとさっぱり出汁が特徴のモツ鍋。900円(税込)
その四
博多のソウルフードA焼豚足を食すべし!
博多の豚足は焼いて出すのが特徴。焼くことで周りがパリッとして、中はモッチリとした食感に。焼豚足400円(税込)
その伍
博多のソウルフードB〆には豚骨ラーメンを食すべし!
具やスープにあまり足し算をせずに、シンプルにまとめられた豚骨ラーメンは、酒の後にぴったり。女将の手作り「自家製辛し高菜」をお好みで加えてどうぞ。ラーメン(豚骨)500円(税込)
きたろうさんから、風来けん坊へ贈る「愛の叫び」風を感じて酒を飲む博多の文化にカンパイ!!———きたろう
「風来けん坊」
住所

電話
営業時間
定休日
福岡県福岡市博多区中洲5-6
(昭和通り沿い)
090-1979-7296
18:30〜25:00
日曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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