BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2017/09/16放送 #158 文房具居酒屋 どろぼう堂

和食、洋食、中華、なんでもござれ きっちり客の満足を満たしてくれる「どろぼう堂」主人の鮮やかな手際!
実家の家業に敬意を表した店のあれこれ

神田川と玉川上水が流れ、閑静な住宅街が広がる東京都杉並区の久我山。そんな街の商店街の一角に「文房具居酒屋 どろぼう堂」なる、怪しげな名前の酒場がある。中に入るとオシャレな雰囲気で、唐草模様のシャツを着たご主人、砂長(すなが)礼二さんが笑顔で迎えてくれる。早速、焼酎ハイボールをお願いして「今宵に乾杯」。“さて、オススメは?”の段になると「ここにジャポニカのノートが……」とご主人。なるほど文房具居酒屋、ノートがメニュー替わり。色鉛筆をモチーフにしたお箸が、絵の具バケツに刺さっているという具合。「実家が文房具屋で、親が一生懸命文房具を売ってくれたおかげでここまで大きくなりましたし、お客様を楽しませる意味もあって」と文房具を飾り、一部は販売もしているという。

最初の一品は日替わりのおばんざいから選べる5種盛り。小さな器に盛られ「このくらいの量がちょうどいいねぇ」と、きたろうさん。カツオよりクセがなくて食べやすい「まぐろの酒盗」や、キュウリで塩分が和らぐ「すじこQり」など、一つ一つの満足度も高い。中でも雷に打たれたように辛い、唐辛子の効いた「雷こんにゃく」に、「お酒がすすみますね」と西島さんは満足げ。

次の料理は、またジャポニカのノートを見て「燻製たまごのポテトサラダ」を注文。普通は白いポテトサラダが、もっと深みのある色味になっていて、刻んで混ぜられた燻製たまごの香りが口から鼻へと抜ける。さらにオニオンのサクサクとした歯ごたえが加わり、ポテトサラダという家庭料理が、立派な酒場のつまみになっているのが素晴らしい。

ご主人が料理の道を歩むきっかけは、師匠との出会いだった。「師匠が吉祥寺の酒場で店長をやっていて、そこに客として行っていたんです。それがすごく楽しくて、大学を卒業する時に、師匠が独立すると聞いて“一緒に働かせてください”って。一緒に働いたら思ったより厳しかったですけどね」と笑う。そこで叩きこまれた師匠の教えは、今も身に染み付いている。「和食、洋食、中華、オリエンタルなもの……、お客さんが喜ぶなら何を出してもいい。作り方ならネットで調べられるし、本屋さんに行けばレシピ本もある。その代わり、きっちりお客さんを喜ばせるレベルまでちゃんと作りあげろと。それから独立するつもりでやらないと成長しないからと、怒られる時は常に“そんなことで自分の店ができると思っているのか?”って」。商売と酒場のいろは、そして何より野心を持って生きることを教えてくれたのだ。そんな師匠が、ご主人につけたあだ名が“どろぼう”だった。「昔、泥棒ヒゲを生やしてまして」と笑うご主人。しかしその名付けの理由は容姿だけではなかったようだ。「いろんな店で食べて、“美味しいものは盗め! 料理に特許はない”って言われました」。そして31歳の時、久我山に店をオープンさせた。

手間をかけた料理と、アイデアが光る料理

「こういうものもやってます」と、ご主人が次に出してくれたのは「牛ほほ肉の赤ワイン煮」。「いい匂いがする。料理の幅が広いですね。さっきまで和風だと思ってたら、今度はフレンチ」と西島さん。ホロホロと柔らかい牛ほほ肉は、3時間半ほど煮込んだものだが、煮込む前後に味を寝かせるために3日間かかるという。きたろうさんが「これ老舗の味だね」と言うのも納得だ。そして最後の一品は「蛤のバター酒蒸し」。ご主人が「他とちょっと違うと思います」と言ったポイントは、スープのベース。「めっちゃいい匂いがする。これはお醤油風味?」と西島さんが言うように、バターのコクと蛤の旨味にしょうゆが効いている。あっという間に蛤を食べてしまうと、ご主人が「一回スープをこっちに預かっちゃいます」と、さらに手を加えた一品が登場。目の前でチーズをたっぷり削りおろし、リゾットが完成。酒の〆にもなるし、つまみにもなるリゾットは、しょうゆベースだけにお米との相性は抜群。きたろうさんも西島さんもこのアイデアには脱帽だ。

なぜ久我山にお店を開いたのか聞くと、「お店は帰ってくる街でやりたかったんです。お客様が遊びに行く街じゃなく、帰ってくる街。家の近くでゆっくり飲んでもらうために住宅街を選んだんです」と、ご主人。なるほど「どろぼう堂」の居心地の良さに心奪われるのは、美味しい料理だけでなく客側の心持ちにも理由があったのだ。

どろぼう堂の流儀
その壱
まずは手作りのおばんざいからお好みを選んで食すべし!
日替わりのおばんざいから選んだのは、ザーサイとプチトマト オイスター和え、まぐろ酒盗クリームチーズ、揚げじゃがバター塩辛、雷こんにゃく、すじこQりの5種。おばんざい5種盛750円(税別)
その弐
修行時代に師匠から教わった薫製たまごのポテトサラダを食すべし!
普通のポテトサラダよりも色が深い。燻製たまごの香りにオニオンの歯ごたえがポイント。燻製たまごのポテトサラダ450円(税別)
その参
3日間かけて仕込む牛ほほの赤ワイン煮込みを食すべし!
牛ほほ肉を赤ワインなどと一緒に一晩漬け込んだ後、約3時間半煮込む。牛ほほの赤ワイン煮込み850円(税別・バケット付)
その四
お客様を楽しませるには自分自身も楽しむこと!
地元に根ざした店でありたいというご主人。楽しく飲んでいるお客さんに幸せを感じるというご主人は、その幸せをお客さんに返すように楽しく働く。
その伍
お店の名物料理 蛤のバター酒蒸しを食すべし!
バターの風味はもちろんだが、しょうゆベースがポイント。蛤のバター酒蒸し850円(税別)
その六
蛤のバター酒蒸しのスープを使った〆料理を食すべし!
蛤を食べ終わったら、残ったスープにご飯を投入。たっぷりのチーズを振りかけてリゾットに仕立て上げる。チーズとペッパーのリゾット300円(税別)
きたろうさんから、どろぼう堂へ贈る「愛の叫び」久我山の味泥棒が盗むものはお客様のハート?———きたろう
「文房具居酒屋 どろぼう堂」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都杉並区久我山4-2-24
03-5370-0331
17:30〜25:00
日曜日
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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