BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2018/5/26放送 #191 平澤かまぼこ 王子駅前店

立ち飲み酒場で人生の知恵 女将の言葉とおでんの出汁が グッと心に沁み渡る
父親から受け継いだ練り物の味

東京・北区王子駅の線路沿い。店先の大きなおでん鍋の匂いに誘われ、次々と人が吸い込まれていく立ち飲み店「平澤かまぼこ 王子駅前店」。きたろうさんと西島さんが訪れたこの時も、「ちょっと通してくださいね」と常連さんをかき分けての入店。お店を切り盛りするのは、82歳の“看板娘”平澤京子さんと、息子の慶彦さん。焼酎ハイボールで乾杯し、「早速、味自慢のおでんを!」と、きたろうさん。おでん鍋を前に「まずは大根! それにちくわ。あと子供みたいだけどウィンナー。あっ卵も!」。即断するきたろうさんに対し、店のオススメ、カレーボールとちくわぶのほか「うずら巻き食べたい。あ〜、あれもこれもってなっちゃう」と悩み多き西島さん。肝心の味も、文句なし! それもそのはず、元となっている店は、60年続く蒲鉾店なのだ。

蒲鉾店の先代主人は、南満州鉄道で技術者として働き、帰国後、修業先の蒲鉾店で出会った京子さんと結婚。昭和37年に独立、開業した。「私のお父さんはね、満鉄の技術屋だったから、職人としてはいいんだけど、商人としてはダメでしたね。“値上げしよう”って言うとね、必ず“値上げしなくても生きていけるじゃないか”って。でも、いい品物を作るとね、お客さんは来るんですよ。」そんな頑固な先代の味を、受け継いだ一品が次のオススメ。「はんぺんを刺身で」と言う慶彦さんに、思わず「刺身ってなんですか?」と問い返した西島さん。はんぺんといえばおでんか、せいぜい焼いて醤油をつけて……が、思い浮かぶメニュー。しかし、この店のはんぺんは材料に新鮮なサメを使っているので、生でも食べられるのだと言う。口に広がるサメの香りに「生はんぺん美味しい。ちょっと香り強いかなと思うんだけど、慣れたらやみつきになる!」と、蒲鉾店の底力に感激する西島さん。

女将が毎夜開講する人生塾

女将の京子さんは、樺太生まれ。昭和の激動の時代を生きてきた。「私は、学校は出ていませんけど、両親からいい教育を受けました。父からは“どんなに良い時があっても、財は無くなる。でも教養と教育は、誰も持っていかない”、“自分の下部に人はいない(みんな同等だということ)”って。母は生きる知恵を教えてくれた。樺太から引き上げて、生活が一変するでしょ。電気とかなくて暗いわけ。“怖いね”って言うと、“怖いことは何もないの。一番怖いのは人の心よ”って」。そう話してくれた女将が、毎朝焼くという「玉子焼き」が次の一品。「卵焼きなんか、どこでも食べられるよ。大して美味しくないけどね」と悪びれる女将の玉子焼きは、おでんの出汁と砂糖が利いて、お酒のつまみにぴったり。

一方、息子の慶彦さんは、植木等に憧れてサラリーマンになったが、バブルが終わって王子に帰って来たという。「蒲鉾店だけでは食べられないから、失業保険と退職金をぶち込んで、この店を開店したんですよ」。女将に“息子はどういう人か?”を聞くと「仕事場に入ったらライバルですよ。好きなことをさせて、失敗をさせるんです。こんな若造なんか、失敗させて苦労させなきゃいけないですよ。失敗の中から自分で考えていけばいいんです」とピシャリ! さらに“息子と働けたことが良かったか?”と聞くと「息子は負担ですよね」とバッサリ! これにはきたろうさんも、西島さんも大笑い。常連さんによると、女将はいつもこの調子で、この話を聞くためにやって来る人も多いという。「勉強になるね。なんか塾に来たみたいだね」と、きたろうさんも今日は女将にタジタジ。

最後に“これだけは食べて帰れのメニュー”をお願いすると、焼き豚チャーシューが小皿で登場。このチャーシューが、驚くほど柔らかく、箸で持つと千切れそうになる程。じっくり6時間かけて煮込まれたチャーシューを、頬張った西島さんが「とっても美味しい」と言うと、「その“美味しい”って言われるのが、私たちのご馳走」と、笑顔になる女将。同じ目線の高さだからこそ、生まれる会話。これこそが立ち飲みのマジック。そして、こんな女将がいれば、自分の歳や肩書きを忘れ、ちょっと素直になれるに違いない。

平澤かまぼこ 王子駅前店の流儀
その壱
まずは自慢の自家製おでんを食すべし!
おでんの具材は26種類。きたろうさんは大根、卵各100円、ちくわ、ウィンナー各150円。西島さんはちくわぶ100円、カレーボール、うずら巻き各150円(全て税込)
その弐
自家製 生はんぺんを刺身で食すべし!
サメのすり身に大和芋、卵白、昆布だしを混ぜ合わせて作られたはんぺん。鮮度が良いため、この店では生の状態を、刺身で食べられる。生はんぺん100円(税込)
その参
毎朝女将が手作りする玉子焼きを食すべし!
砂糖、塩、醤油を加えたおでんの出汁をたっぷり使い、女将が焼き上げる。玉子焼き300円(税込)
その四
お金は追いかけない。頑張れば後ろから付いて来る!
女将曰く「あのね、覚えといて。お金を追っかけていたらね、お金は付いて来ないんですよ。自分が一生懸命やってる後から付いてくる」。けだし名言!
その伍
〆には必ずじっくり煮込んだ トロトロのチャーシューを食すべし!
にんにく、お酒、しょうが、醤油、砂糖、ねぎ、みりんを入れ、6時間煮込んだ一品。焼き豚チャーシュー300円(税込)
きたろうさんから、平澤かまぼこ 王子駅前店へ贈る「愛の叫び」 酒場の寺子屋 勉強になりました。親子漫才 楽しみました。 ―――きたろう
平澤かまぼこ 王子駅前店
住所
電話
営業時間

定休日
東京都北区岸町1-1-10 NUビル1F
03-5924-3773
10:00〜22:30
土曜、日曜、祝日は〜21:30
年末年始
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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