BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2014/10/18放送 #24 仲屋

料理を続ける事で喜ばれ料理を考える事で救われた江古田で紡がれる酒場物語
ご主人のアイデアが詰まった一品が味わえる店

駅を中心に蜘蛛の巣のように小道がのびる江古田。そのなかで池袋へ向かう線路と沿うように伸びる道を行くと、「仲屋」がある。濃い飴色の縄のれん、その隙間から見える品書きに、ちょっとした酒呑みならば「これは……」と勘が働き吸い寄せられる、そんな知る人ぞ知る名店だ。

一行が暖簾をくぐると、長いカウンターに並んだ大皿惣菜と常連さんがお待ちかね。きたろうさんは、席に着く前から「酎ハイをお願い」とオーダーして早くもノリノリ。カウンターの中ではご主人の長南元雅さんと女将の美和子さん、そして三代目となる雅宏さんが、てきぱきと立ち働いている。特にご主人は、もともとが“はにかみ屋”なのだろう、言葉の最後が照れ笑いの声で締められるご主人の話し方に、誠実さと実直さが感じられて実に居心地が良い。それは料理に対しても同じで、毎日5〜6品は必ずメニューを入れ替えているという。そうすることで常連さんを飽きさせず、またご主人のアイデア満載の料理を生むきっかけにもなっている。

乾杯も早々に、「じゃあ、大皿で一番目立つところに置いてある、このコロッケをちょうだい」と、きたろうさんがオーダー。まだ揚げる前の衣をまとったコロッケを早速揚げてもらい、箸で割るとそこにはなんとカキが! 「ほら、頼んで正解でしょ!」ときたろうさん。「びっくり、いきなり滅多に出会えないものが出てきましたね」と西島さんも大喜び。しっかりめに味のついた芋とカキの旨味、そしてサックリ揚がった衣。これは是非ともソースなしで味わって欲しい一品。もっと珍しい物が食べたくなった一行に「からすみなんかどうですか? 長崎の生のからすみなんですけど」と女将。塩乾物ならおなじみだが、生のからすみなど滅多にお目にかかれない。それは鮮やかな黄金色をしており、味も独特。「からすみの味なんだけど、この微妙に塩っからいのと……、甘み。なんでこんなに甘いんだろう」。この店では、こんな新鮮な味との出会いに事欠かない。

今日の品書きを考える事が生きる原動力に

このお店を始めたのは先代の女将、長南康子さん。人情味溢れる明るい人であったが、同時に豪快な人で「お客さんから相当嫌な事言われたんでしょうね、煎ってたゴマをパァーっと頭からかけたという(笑)」とご主人が語る。そんな先代の女将の店を、ご主人と今の女将が受け継ぎ、長らく店を守ってきたが、ご主人が少し前に病に倒れ、2カ月も入院。周りは死も覚悟したほどだったという。これを機に息子の雅宏さんが、サラリーマンをやめて三代目となり、常連さんも以前にも増して店に通って店を支えた。中には皿洗いを手伝う常連さんもいたという。そして女将は毎日病院を訪れると、ご主人にこう聞いた。「今日の品書きは何にする?」。病床にあってもご主人はメニューを考え、ついには病に打ち勝ったのだ。「それが生き延びる原動力だったね。大将はお客を、店を愛してんだね」と、きたろうさんは言う。

次にいただいたのは、これまたアイデアが光る「練うにの半熟卵」。割った半熟卵からとろりと流れ出た黄身と、うにが絡まるその姿がたまらない。「こりゃもうアートだな。フランス料理みたいに気取らない感じがちょうどいいよね」と、きたろうさんが唸れば「うわ、ちょっと贅沢! 間違いないです。このしょっぱ辛いのが卵に合いますね。この半熟のトロトロなのが嬉しいの!」と西島さんは歓喜の声を上げる。そして最後のメニューは先代の女将から受け継いだという一品「わっぱめし」。わっぱと呼ばれる杉板を加工した弁当箱には、出汁で炊いたご飯にほぐした鮭。そこに細かく刻んだ三つ葉の香りが食を誘う。多少飲み過ぎても、この三つ葉の香りでスルリとお腹に収まってしまう〆の一品だ。

最後に「酒場ってなんですか?」と訊いた西島さん。するとまた、はにかんだ笑顔を浮かべながら「酒場は愛だね」と言い切るご主人。店を継ぐ決意をした三代目に、店を支えた常連さんを知っているからこその力強い言葉。それを聞いて「この店の中に愛が溢れてるんだな。それを言い切るなんて凄いな大将。ドラマを見てるようだったよ、今日は」と、きたろうさんは言って、実にご機嫌そうに店を後にした。

仲屋の流儀
その壱

毎日5つから6つはメニューを変えるというご主人。常連さんにいろんな物を食べて楽しんでほしいという気持ちから、ずっと続けられている。
その弐

自家製コロッケは2個で400円(税込)。アイデアがたっぷり盛り込まれたコロッケは、お客さんの楽しみのひとつ。この日はカキ入り。
その参

高級食材として知られる、ボラの卵巣から作られた「からすみ」。酒のアテとしてもおなじみだが、生は非常に貴重。700円(税込)
その四

半熟卵と練うにをあわせ、白身とうに、黄身の色のコントラストも目に楽しい一品。380円(税込)
その五

杉板の弁当箱の中には、薄口の出汁で炊き上げたごはん。ご飯にのった鮭とミツバが好相性で、お酒の〆にもぴったり。830円(税込)
きたろうさんから、仲屋へ贈る「愛の叫び」 愛に満たされたぜ! 仲屋  ———きたろう
「仲屋」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都練馬区旭丘1-68-12
03-3950-8590
16:30〜24:30
水曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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