BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2014/11/15放送 #28 まるよし

赤羽の町で半世紀以上愛される“せんべろ”が楽しめる店 あじよし、ひとよしの「まるよし」
暖簾をくぐれば元気が出る、そんな活気に溢れた店

酒場には“せんべろ”と呼ばれる店がある。せんべろ、すなわち千円でべろべろになるまで酔える店のことだが、その言葉が生まれたのは、デフレや不景気が叫ばれるより前の事。ただし、せんべろで酒も料理もうまい店となると、これが実に少ない。今回、きたろうさんと西島さんが訪れたのは、まさにそんな有り難い店だ。

JR赤羽駅前のロータリーから歩いてすぐ。大衆酒場まるよしの暖簾をくぐると、三代目ご主人・大場巳紀夫さんの「いらっしゃ〜〜〜ぃ」という景気のいい声が迎えてくれる。その声に「これはもう元気になる、すぐに元気になれるね」と、きたろうさん。早速、焼酎ハイボールを頼み、いつものように常連客と「今宵に乾杯!」。店はコの字形のカウンターに、小上がりの座敷が少し。創業61年の歴史を誇るまるよしは、連日連夜多くの常連客で大盛況。人気の秘密は、代々受け継がれてきたお客さんを想う誠実な姿勢と、料理の確かな味だ。最初にいただいたのは、長年愛され続ける変わらぬ味、味噌ベースのモツ煮込み。「あ、うまい! 出汁がいいね。独特のなんかやってるね、これは。まぁ、教えられないんだろうけど」と、きたろうさんが褒めれば、「臭さもないし、味が尖ってない。マイルドです、マイルドモツ煮」と、西島さんもお気に入りの様子。

ここで西島さんがあることに気付く「値段を見てると、安いんですよ。200円台のメニューがほとんど!」。料理は140円からで、その値段は昔からほとんど変わらないという。きたろうさんが、隣の常連客に「よくこの店に来られるんですか?」と訊くと、実はこの方、まるよしの先代、二代目主人の吉武さん。今年83歳という二代目は、白髪に眼鏡で、朗らかだが頑固そうな人柄が伝わってくる。今の三代目は、22歳の時にバイト先で二代目・吉武さんの娘さんと出会い、それが縁でこの店で修業。21年後、誠実に仕事をこなす姿を見ていた二代目から、まるよしの暖簾を受け継いだのだ。「先代とどっちの方が流行ってるの?」と訊くと、「今の方が流行ってるね。経営は大丈夫かなと思ったら、私より売り上げを伸ばしちゃったんで、何にも申す事ありません」と二代目。まさに良縁だったわけだ。「お互いに尊敬しあっているというのはいいね」と、きたろうさんも目を細める。

量を少なくして、いろんな料理を楽しんでもらう

「じゃ、ほかにおつまみ。ここは何を食べてもうまいよ」と、きたろうさんがお願いすると「是非食べていただきたいのは、キャベ玉です」と三代目。キャベツと卵のシンプルな炒め物なのだが、これがすこぶる人気なのだという。「ココが繁盛したのは、料理を一人前じゃなく半分にして、値段も安くしたからなんですよ」という二代目に、「それはいいなぁ、年寄りには一人前は量が多いのよ、見ただけで箸がすすまないんだよ……」と、そこにキャベ玉が登場すると「てっ、多いじゃんよ! これでハーフ?」。しかし、これがまた不思議に腹に収まる。門外不出の味付けというが、どことなくお袋の味。ありそうでなかなか無い味付けに、箸がすすむのだ。

そして最後におなじみとなった、“これだけは食べて帰って下さい”というメニューをいただくことに。そこで三代目が自信を持って出してくれたのが「串カツ」。揚げたてのアツアツに中濃ソースをたらーり。「このまま食べると熱いからね」と、店員さんに注意された串カツをホフホフといただくと、なかからタマネギの甘みと豚バラの肉汁が口に広がる。2本380円の串カツのことだから、確かにタマネギの方が大きい。しかし食べてみればはっきりと分かる、これこそ串カツのベストバランス! 「いやぁ、自慢するだけの事はあるよ」と、きたろうさん。毎日50本以上は出るというのも、1週間で5日も食べにくる常連客がいるというのも納得だ。

味と暖簾を守り「皆さんに愛される今までどおりの酒場で、赤羽一の酒場を目指して頑張っていきます」と真面目な三代目。その姿勢に関心しながらお会計をすると、2人でなんと1,600円! 「またまたぁ、嘘つくなよ」と、きたろうさんは言ってみたものの、この誠実な三代目に「だからせんべろなんです」と言われれば納得。客の足が途切れないのも、そりゃ当然なのだ。

まるよしの流儀
その壱

暖簾をくぐると、「いらっしゃ〜〜〜ぃ」と景気のいい声がかかる。この声を聞けば、1日の疲れも吹き飛びそう。その威勢の良さは、「まるよし」の魅力だ。
その弐

毎日4〜5時間は煮込むという煮込は330円(税込)。西島さんの「味に角がない、尖ってないんですよ。マイルド煮込!」というのは、そのまま三代目店主の人柄のようで面白い。まさに「店は人ナリ」
その参

キャベツと卵の炒め物、キャベ玉(小)は190円(税込)。そのシンプルさゆえ、家でも作れそうだが、これが誠に難しい。でなければ、人気メニューとして長年愛される事もない。
その四

2代目主人が方々を飲み歩いて考えついたと言う、料理を半分の量で出して、その分安くするというアイデア。これが赤羽の人に長く愛される理由に。
その五

タマネギ多めの豚バラ肉の串カツは2本で380円(税込)。揚げ方のうまさもあって、タマネギの甘さと、豚肉の旨味が渾然一体となって、実においしい。
きたろうさんから、まるよしへ贈る「愛の叫び」 今でもあるぞ千べろ 味もまるよし  ———きたろう
「まるよし」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都北区赤羽1−2−4
03-3901-8859
13:00〜23:00
日曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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