BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2014/11/22放送 #29 御代家

チンチン電車を降りて一杯 祭りを、酒を、地元を愛する夫婦が叶えた夢の酒場
世にも珍しい無人駅の駅ナカ酒場

駅のホームで飲み食いといえば、そばにカレー、ジューススタンドが定番。しかし近頃のターミナル駅は、“駅ナカ”と呼ばれ、衣類やデリカテッセン、雑貨など、ちょっとしたショッピングセンターの様相だ。今回の酒場も駅ナカと言えるかも知れないが、場所はワンマン運転のチンチン電車が走る都電荒川線、庚申塚という小さな無人駅。“電車を降りて10歩で一杯”という、実に珍しい酒場が、この「御代家」だ。

「本当にホームにあるんだ、嘘みたい」と驚くきたろうさんと西島さんを、この場所に店を構えて13年というご主人の御代恒(みよひさし)さんと、女将の香里さんが笑顔で迎えてくれる。焼酎ハイボールで乾杯して店内を見回すと、女性の常連さんが多いことに気がつく。「女性にも来やすい店なんだね」というきたろうさんの言葉どおり、店はちょっと渋めのアンティーク調でまとめられ、実に居心地がいい。最初のおつまみに、今日のおすすめ「大あさりの炭火焼」と、きたろうさんの好きな「生牡蠣」をオーダー。まず出てきたのが北海道釧路市、昆布森産の牡蠣。殻は小さめでも身は大粒。潮の流れがきつい海で育った牡蠣は、身が締まってプリプリで、これには北海道生まれの西島さんも大満足。続いて貝の出汁の香りがたまらない、愛知産大あさりの炭火焼が、塩の上に乗せられて登場。熱々の大あさりに刻みネギの色が映える、目にも美味しい一品だ。素材にこだわるご主人は、毎朝、魚河岸に足を運び、その日のすべてのメニューを組み立て、女将が手書きでメニューを書くのだと言う。

転機を好機に変えた物件との出会い

ご主人と女将の夫婦は、もともと中学の同級生。当時は話した事もなかったが、20歳を超えて、お互いがお祭り好きのお酒好きと知り、意気投合。結婚して地元巣鴨で生活を始めた。しかしその後、ご主人の勤めていた会社が潰れそうになり、同時にこの店の物件の話が飛び込んできて開業を決意。しかもご主人より女将の方が開業話に積極的だったという。「お店をやるのは小さい頃からの夢だったようで……、忘れてたんですけどね。小学校の時に書いた将来の設計表を見ると、将来結婚して夫婦で店を開くって書いてまして」。図らずもご主人の転機に、自分の夢を叶える事となった女将。人生は時に粋な計らいをするものだ。

さて、次にいただいたのは、朝引きの鶏を使ったとり天。新鮮な鶏肉に紅ショウガを合わせて揚げたとり天を、ポン酢でいただくというご主人こだわりの一品。「紅ショウガが効いてますね。一気に体温が上がる!」という西島さんに、「唐揚げよりさっぱりしてて美味しいよ、これ!」と絶賛するきたろうさん。さらに2人を喜ばせたのが次の料理。「なんかお魚みたいな……」と、きたろうさんが言うこの一皿は、豚のバラの軟骨を4時間煮込み、さらに翌日4時間煮込むという、実に手間と暇のかかった「ばらなんこつ煮」。きたろうさんが「これは刺身より、よっぽどうまいね」と褒めれば、「お箸でこんなにほぐれるなんて……、軟骨ってこんなふうになるんですね」と西島さんが驚く。たっぷりの芋焼酎で煮込んでいるため、芋焼酎との相性も抜群だ。

「これからもずっと地元にこだわるの?」ときたろうさんが訊くと、きっぱり「こだわります。生まれ育ったところが一番ですね」」と、答えるご主人。「他を知らないだけだと思うよ、(俺が住んでいる)多摩センターを知らないだろ、お前!」と絡むきたろうさんに、店じゅうが笑いに包まれる。子供の頃から見て、乗り、生活の一部となった都電荒川線のすぐそばだからこそ、店を開く決意をした夫婦。そして、そんな夫婦の想いを地元の同級生や先輩が支え、常連さんとなった。また、庚申塚駅より先の駅で降りるところを、定期券を使って御代家で一杯飲み、また都電に乗って帰る常連さんがいるという。地元が大好きという酒場に、小さなチンチン電車が地元の酒呑みを運んでくる。これ以上に夢のあるシチュエーションの店は、ほかにはちょっと無い。

御代家の流儀
その壱

魚河岸で選んだ素材から、ご主人がその日のメニューを決め、小学生の頃に習字を習っていたという女将がメニューを書く。
その弐

ご主人が厳選した新鮮な素材を使った料理が、日替わりでメニューに並ぶ。本日のオススメを聞いてオーダーすべし。生牡蠣(1個380円・税抜)、大あさりの炭火焼(600円・税抜)
その参

とり天といえば九州が有名だが、こちらは紅ショウガを加えるなど、ご主人のオリジナル料理。とり天(600円・税抜)
その四

時間をかけて煮込まれた豚の軟骨は、口のなかでホロホロと崩れる。軟骨に含まれるコラーゲンは、美容にも良さそう。ばらなんこつ煮(680円・税抜)
きたろうさんから、御代家へ贈る「愛の叫び」 奥さんの夢をかなえた旦那はえらい  ———きたろう
「御代家(みよけ)」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都豊島区西巣鴨2−32−10
03-3918-0084
11:30〜13:40、17:30〜24:00
毎月5・15・25日
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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