BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2015/4/4放送 #45 膳所

築地で仕入れた最高の素材と この道一筋38年の包丁が生み出すうまい料理と、お客さんの最高の笑顔
こだわりと丁寧な仕事が光る料理の数々

日本橋は兜町のど真ん中、「膳所」と書いて「ぜぜ」という店名の酒場。この読み慣れない店名は、元は滋賀県の大津市にある地名からいただいた。その地名の由来は、平安時代に天智天皇が大津へ遷都した時に、その地が天皇に食材を献上する場所として指定されたことによる。そんな料理と縁深い名を掲げるこの店で、確かな目利きと包丁の技を振るうのは、料理一筋38年というご主人・伊藤弘さん。当たりの柔らかな言葉と笑顔に迎えられ、きたろうさんと西島さんは、いつものように焼酎ハイボールで乾杯。今宵もゆるりと飲み始める。

最初の一品として出てきたのは、贅沢なふぐ刺し。ご主人のこだわりは、貴重な天然モノを使うこと。養殖モノと比べ、香り、旨味、身の締まりや歯ごたえが全く違うという。この日は静岡の遠州灘産とらふぐ。「う〜うまい。すごいわ、旨味と甘みが!」と、きたろうさんが唸れば、薄造りを二枚重ねで頬張った西島さんは「噛むと甘みがどんどん出てきますね、うわ〜幸せだコレ」と感激。仕入れにこだわるご主人は、修業時代から築地に足を運び、素材を見極める努力を怠らないという。

次に出てきた一皿は、目利きの技が存分に発揮された一品「焼き筍の焼きそら豆添え」。春らしい素材の取り合わせ、そして持ち味を生かした焼き加減。その香りと歯ごたえは抜群だ。「お醤油で焼いているのが、香ばしいですね。筍の先端、姫皮っていうんですか? ここがすごく甘くて美味しい。いや〜、この筍は本当に立派で、おいしい!」と、大満足の西島さん。「野菜も新鮮さが大切で、一日でも遅れると、ちょっとエグみが強くなります」と、ご主人。この素材への絶対的な自信が、この店の繁盛を支えている。

石の上にも3年と歯を食いしばった日々

ご主人は高校の卒業式翌日から修業に入り、努力と研鑽を積み、14年前に独立。「うちの店は2階なんで、(お客さんが)なかなか入りずらいんです。ちょっと隠れ家的な感じで、と始めたんですが、そりゃあもう苦労しました。石の上にも3年と言いますから、3年は我慢しなきゃと思ってやりましたけど、本当にどん底近くまで行きましたね。もう意地でした」。しかし、その努力は4年目にして報われ、店は軌道に乗り始めた。長年通う常連客は、その仕事ぶりを「ベルトコンベアじゃないんだよ。とにかく丁寧!」と賞賛する。例えばその丁寧さは、自慢のだし巻き玉子にも見て取れる。注文を受けて一から作り出すそれは、西島さん曰く「おだしを飲んでるみたい」と、言わせるほど。醤油を付けなくてもおいしい、この関西風だし巻き玉子。料理に厳しい姿勢で臨むご主人が、こんなにも優しい味を作り上げる。これこそ、料理の不思議さだ。

最後に、コレだけは食べてほしいメニューとして、「塩角煮」という聞き慣れない一品をいただくことに。このオリジナルメニューは、下ゆでした豚のバラ肉に、花がつおや利尻昆布を使った一番だしを加え、圧力鍋で4時間煮込んだもの。味のポイントは、煮込む前に加える3種類の塩。普通の角煮のこってりした味とは違い、ビシッと決まった塩味が酒にぴったり。「さっぱりして、肉がホロホロ。ほら、あっという間に皿が空ですよ。一瞬です」と西島さんが笑う。

お酒が入り、お腹も満足させたきたろうさんが「ご主人は飲まれるんですか?」と訊くと、「私は一滴も飲まないんですよ。結構そういう人(料理人)、いらっしゃいますよ。私は修業の時に、味が分からなくなるから、料理をやるんだったら飲むなと言われました」と、応えるご主人。そんなご主人にとっての酒場とは「皆さんの笑顔と出会う場所。そしておいしいお酒や料理が、楽しめる場所だと思いますね」という。「やっぱり料理が基本だよね」と、きたろうさんが返すと、即座に「いやいや、お客さんの笑顔が基本です」と、ご主人。料理を極めて、笑顔をいただく。これこそ料理人の喜びなのかもしれない。

膳所の流儀
その壱

ふぐを扱う店で、10年の修業を積んだご主人。天然もののとらふぐを使っており、4〜10月は要予約。ふぐ刺し2,400円(税別)
その弐

目利きの確かなご主人が選んだ、鹿児島産の素材を使用。一足早く春の訪れを伝える一品。焼き筍の焼きそら豆添え850円(税別)
その参

たっぷりのだしを含んで、プルプル、フワフワの仕上がり。だし巻き玉子600円(税別)
その四

熱い料理は、作り立てのアツアツを食べて欲しいというご主人。作り置きはせず、注文を受けてから作り始める。
その伍

お酒のアテにぴったりな塩角煮。柚子胡椒を少しつけて食べると、また違った味わいに。700円(税別)
その六

長い付き合いの常連さんになると、ご主人がお客さんの顔色を見て、おまかせで料理を出すという。それも、お客さんが4人ならば、4人それぞれ違う料理が出てくる。
きたろうさんから、膳所へ贈る「愛の叫び」 職人の味をみんなに、大将エライ!!  ———きたろう
「膳所」
住所

電話
営業時間
定休日
東京都中央区日本橋兜町10−4
ル・シェル日本橋兜町館2F
03-3665-0151
11:00〜14:00、17:00〜23:00
土曜、日曜、祝日
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