BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2015/10/3放送 #67 阿波乃里

世話になった先代の遺志を継ぐため自由が丘の焼き鳥横丁に男気溢れる漢が帰ってきた
男が男に惚れる男気の物語

お洒落な街、自由が丘。しかしこの街にも、いろんな顔がある。今回の酒場「やきとり 阿波乃里」がある小さな通りは、きたろうさんが「ココはちょっと自由が丘の雰囲気じゃないね」と言うとおり、焼き鳥店が多数軒を連ねている。地元では自由が丘焼き鳥通りと呼ばれ、夜な夜な美味しい酒とつまみを食べにやってくる人々で賑わっている。「阿波乃里」のご主人、遠藤浩さんに濃いめの焼酎ハイボールをお願いして、まずは常連さんたちと今宵に乾杯。つまみはポテサラ。見た目はいたって普通だが、食べてみると「うん?あ、ちょっと辛い気がする」と西島さん。常連さんによると、その辛さの正体は辛子!「ほ〜、これはなかなかおいしい。コレはアイデアですね」と、ジャガイモ好きのきたろうさんが褒める。

自由が丘生まれのご主人は語る。「僕はどうしようもないヤンチャでしてね。不良じゃあないんですけど(笑)。そんな私をこの店の親父(先代)が、ウチに来ないかって」。16歳から「阿波乃里」で修業し、26歳で独立し、念願の自分の店を開業。店はすぐに軌道に乗ったが、先代が亡くなり、4年前に「阿波乃里」が閉店すると聞き、自分の店をためらう事無く他の人にゆずり、戻ってきた。「親父は面倒見がすごく良くて、本当の親父みたいに接してくれました。身銭を切って飯を食わしてくれたり、世話をしてくれました。だから、この店を無くしたくない一心で戻りました。“阿波乃里”の名前で、この場所でやるのが一番だと……」と語るご主人。今では温和そうなご主人だが、相当な暴れん坊だったご主人を、心から改心させた先代。人として、相当の器の持ち主であった先代から、男気を注入されたご主人が、店を受け継ぐのはごく自然な話だったのだろう。

次のおすすめメニューをお願いすると、ご主人よりも先に常連さんが「アレを食べなきゃ、名物の煮込み。うまいよ」と教えてくれる。ご主人が先代から叩き込まれたという、40年続くその味は「絶妙の出汁加減と、さっぱり加減ですね」という西島さんの言葉どおり。この味を守る店のチーフ・新保さんに“マスターはどんな人?”と訊くと「怖くて、優しい人です。そしてハートがあります」と拳で胸を叩いてみせる。「困っていれば助けてくれる。そんなマスター(ご主人)がお店をやる時に、人がいなくて困っていまして、僕は違う所で働いていたけど、そこをやめて一緒にやりましょうと……」。ここにもまたひとつ男気の物語があったのだ。

 
多くは語らずとも雄弁に物語る味の系譜

男惚れの話に夢中になった一行は、ここでようやく看板メニューの串焼きをいただく事に。焼くのはご主人の息子で、21歳の友太さん。火力が強く、火の粉が弾きにくいラオス産の羅宇備長炭を使い、短時間で手際よく焼くことで、肉の旨味を閉じ込めた串は、驚くほどジューシーで柔らかい。仕込みから調理、接客と、まだまだ修行中の友太さんは、今、厳しくも多くを語らないご主人の背中から、様々な事を学んでいる。

串焼きに舌鼓を打った2人の前に、出てきたのは「葉ワサビの塩漬け」。ツンと鼻に抜ける辛さがたまらないこの一品は、山口の生産者から何十年と同じ素材を仕入れ、使っているという。これだけでも相当にお酒が進みそうな味だ。そして最後に、どうしても食べて帰って欲しい一品をお願いすると、出てきたのは大ぶりのオムレツ。トロッとした卵を割ると、厚さ2ミリくらいに切った山芋が飛び出し、シャキシャキとした食感が楽しめる。味付けは最低限のお塩のみだが、これがまた卵の自然な甘さを引き立てて実に美味しい。満足げなきたろうさんが「おいしいねぇ。酒場の信用は美味しい物を出す所にしか生まれないからね」と言うと、ご主人が嬉しそうに「ありがとうございます」と答える。先代から受け継いだ味と店。その味とサービスを、お客さんに対して誠実に返そうとするご主人。その心あればこそ、先代が築き上げた常連さんとの信頼も、しっかりと受け継げる。そしてその姿勢は、きっとチーフの新保さんや息子の友太さんにしっかりと根付いている。

阿波乃里の流儀
その壱

とりあえずの一品として頼みたいポテサラ。ピリッとくる隠し味は辛子の辛味。ポテトサラダ350円(税別)
その弐

ご主人の恩人である、先代の頃から変わらぬ味。七味をふってどうぞ!牛煮込450円(税別)
その参

看板メニューの焼き鳥と焼きとん。ハツ1本100円(税別)で、辛子と味噌が付いているが、そのままでも十分にうまい。
その四

串焼きで脂っぽくなった口を、ピリッとした辛さでそそいでくれるおつまみ。葉ワサビ(ワサビの葉の塩漬け)450円(税別)
その五

オムレツの上で躍るカツオ節、山芋の食感、優しい卵の甘み。食べてホッとするオムレツは、この店の一番人気。山芋オムレツ450円(税別)
きたろうさんから、阿波乃里へ贈る「愛の叫び」 ヤンチャは一人の男が味と心で救う———きたろう
「やきとり 阿波乃里」
住所
電話
営業時間

定休日
東京都目黒区自由が丘1−12−9
03-3724-8353
月〜火、木〜土 15:00〜23:00
日、祭日 13:00〜21:00 ※
水曜

※番組放送内で表示された店舗営業時間に誤りがありました。上記の営業時間が 正しい営業時間となります。訂正してお詫び致します。

  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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