BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2016/3/26放送 #90 くしあげ焼もの 膳

一見さんも常連さんも居心地よく 一期一会の"縁"を大切に もてなしのお膳立てに気を配る
気軽な酒場で美しく華やかな串揚げを

杉並区永福は、自然と人の暮らしが調和する住宅地。今回の酒場は、そんな落ち着きのある街で、創業18年になる「くしあげ焼きもの 膳」。こぢんまりとした店内、竹で編んだランチョンマットが並ぶカウンター。そのひとつひとつが品良く、いつもの酒場とは少し違った雰囲気。早速、焼酎ハイボールで乾杯し、オススメの串をお願いしたところで、西島さんがあることに気づいた。「箸袋、全部違う気がするんですよ。これって手作りですか?」。実は箸袋の店名と可愛らしい絵は、全てご主人の手書き。そんなこだわりに、きたろうさんも「これは期待できますよぉ!」と杯をあおる。

最初の串は、菜の花のベーコン巻きとたらの芽、ふきのとうの「旬の三種揚げ」。淡い苦味に春の訪れを感じる三種の串が、小粋な皿に盛られて登場。"タルタルソース、塩、ソース、お好きなものをつけてどうぞ"と言われて、2人が選んだのは塩。「たらの芽は塩だよね。揚げ方がうまいね」「うわ、サックサク。"衣が、がっつりパン粉!"という串揚げもあるじゃないですか? そういうのじゃないですよね」。この店のパン粉は、一度ミキサーでキメを細かくし、さらにふるいにかけて、さらっさらにしている。だから余分な油を含まず、サクサクに揚がる。試行錯誤の末にたどり着いたという、ご主人のオリジナルブレンド油は180度に保たれ、その弾く音でベストの揚げ時が見極められる。何を訊ねてもしっかり答えてくれるご主人も、油のブレンドについて訊いた時ばかりは「ちょっとそれは企業秘密で」と、はぐらかすほど。

次のオススメはきすの大葉巻と有頭えび。今度は料亭の宴席を思わせる竹カゴに乗って登場!その見た目の豪華さに負けず、味も抜群で「コレも塩かしら。きす、ホックホクで美味しい!」「大葉がなんとも良い感じ」と、2人は大満足。さらに変わりダネのちくわの納豆詰めにいたっては「うんまい!ちくわってこんな味だっけ」と、きたろうさんをうならせるほど。身近な食材も絶品の串に仕立てる、ご主人の腕前は本物だ。

時間が許す限りゆっくりお酒と串を楽しんでほしい

ご主人が脱サラしたのは24歳の時。茅ヶ崎の店で1年間修行し、永福に店を構えた。その決意の後押しをしたのは、お母さん。昔からおとなしく、反抗期もなかったという息子の突然の決意に「接客業ですから、不安は不安でした。でも25歳だったから、失敗しても、まだやり直しができるじゃないですか。だからどうぞって」。逆に"息子の接客に違和感はない?"と、きたろうさんに訊くお母さん。「ない、ない。かえって、こういう主人がいる店に行きたいよね。ギャーギャーはしゃいでる主人よりいいよ。合格点ですよ、合格点以上ですよ」。お店を始めた頃は苦労したものの、料理の確かな腕とおもてなしに、お客さんも定着。しかし3年前、事情で以前の店舗から立ち退かなければならなかった時は、ショックで"もうやめよう"と思い詰めたという。そんなご主人を奮い立たせ、今の店舗に移ることを決めさせたのは、常連さんの"続けて欲しい"という声だった。常連さんは言う。「一人で来てもすごく話してくれて、居心地がいいんだよね」。人付き合いが上手そうには見えないご主人だが、おもてなしの気持ちは人一倍。「もてなし方は、お客様により異なります。店に時計を置いていないのも、時間を気にせず、ゆっくりしていただきたいからです。だから、長居が逆に嬉しいです」という。

最後の一品は、さっぱりと湯豆腐。熱々の小なべに入った野菜や豆腐を突つくと、胃が休まる感じ。冬場だけのメニューが、お客さんの要望で一年通してのメニューになったのも納得の味だ。いつものように西島さんが、店を長く続ける秘訣を訊くと、ご主人は店名に込めた想いを語ってくれた。「膳は"ひとり一人に、楽しい時間をお膳立ていたします"という意味なんです。私はご縁という事が好きなので、一見さんでも大事に大事に。常連さんにも大事に大事に。常に心がけています」。確かに"こんなに居心地のいい店が近くにあれば……"、そう思わずにはいられない一軒。永福の人たちがうらやましい。

膳の流儀
その壱

春の息吹を感じさせる食材、菜の花のベーコン巻きと、たらの芽とふきのとうの三種揚げ。お好みで自家製タルタルソース、塩(イタリア産岩塩)、自家製ソースでいただく。春の三種揚げ480円(税込)
その弐

ご主人考案の特製パン粉をつけ、二種類をブレンドした油でさっくりと揚げた串。有頭エビの串揚げ180円(税込・バナメイエビ)、きすの大葉巻180円(税込)
その参

時間を気にせず料理とお酒を楽しんでほしいというご主人の想いから、店には時計がない。
その四

ちくわの穴に、刻み納豆を詰めてあげた変わりダネの串。揚げることで、ちくわの旨味が凝縮されておいしい。ちくわの納豆詰め180円(一本・税込)
その五

夏場でも食べたいというお客さんのリクエストで、1年を通してのメニューになった湯豆腐。「膳」の湯豆腐500円(税込)
きたろうさんから、八榮亭上店へ贈る「愛の叫び」串揚げのイメージが変わった。膳の悟りは縁!!———きたろう
「くしあげ焼もの 膳」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都杉並区永福2−50−16
03-3327-7196
17:00〜23:00
日曜日
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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