BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2014/9/13放送 #19 山城屋酒場

今、五代目に引き継がれるこの店でしか味わえない歴史という名の調味料
100を越すメニューの短冊に迷う喜び

飴色に光る天井に、壁一面に貼られたメニューの短冊。ここは江東区南砂、大衆酒場をこよなく愛する人には、つとに有名な「山城屋酒場」だ。「店に入ってなんでココが有名なのか分かった。すごく落ちつくんだ。外から見てたら“看板を直せよ”って感じだったけど(笑)」と、きたろうさんが言うほど居心地がいい。それは店を切り盛りする女将の晴美さんや、その弟で4代目主人の勢治さん、店を温かく見守る先代(三代目主人)の和夫さんによるチカラが大きい。そして何より創業60年という歴史が作り上げた店の佇まいが、居心地の良さを生みだしている。常連客も地元の筋金入りの酒好きばかりで、親子3代で通っているという常連客も珍しくない。15年も通って「私などまだまだあまちゃんで……」と謙遜するような常連客と、焼酎ハイボールで乾杯し、今宵もスタート!

さて、問題はつまみだ。壁の短冊に書かれたメニューは100枚にものぼり、迷ってしまう。そこで女将のオススメ「たこ三種盛り」をいただく。この日は歯ごたえの良いヤナギダコに味自慢のマダコ、そして酢の加減も絶妙な酢ダコというラインアップ。食感も味も異なる食べくらべも楽しいが、なにより新鮮でタコ本来の濃厚な旨味が、酒と実に良く合う。きたろうさんが常連客に「やっぱりこの辺りで飲むならここが一番?」と聞くと、「山城屋はここら辺の(酒呑みの)ルーツですから、どこかよそで飲みに行く時にはまず山城屋で一杯飲んでから。で、帰りに最後の仕上げをまたココで飲んで帰る」と言う。店は代々家族経営で、親族以外の店員が入った事も無い。「じゃあ気づかいもなくていいね」と、きたろうさんが言うと「だから私が一番威張ってますよ」と、女将さんはカラカラ笑う。

次にいただいたのは、西島さんが迷いに迷って選んだ「にら玉」。4代目のご主人が、父親の背中を見て学んだ料理の一つで、新鮮なニラを塩、コショウ、ゴマ油で味付けして卵を絡めた自慢の一品。ニラが多めでシンプルな味付け、しかし箸が止まらないうまさ。西島さんは特に「このちょっと中華風のダシがきいてておいしい」と、自分のセレクトに大満足!

背中を見て育った次世代たちの思いと守り続けられる正直な味

今、4代目のご主人と共に、調理場で働いているのが5代目を継ぐ事になる潤さん。丸坊主のせいで少し歳より若く見えるが、そのスッと切れ長の目に強い意志を感じさせるいい男。店を継ぐ決心をしたのは、おばあちゃんにあたる前の女将の姿を見ていたからだという。「優しいおばあちゃんが大好きで、働く背中を見て育ちました。そんなおばあちゃんが具合を悪くしまして、それで“俺が代わるよ”って店に出ました。今思うと何年か一緒に働けて良かったです」。83歳まで店に立ち続けた先代の女将は、ある言葉を残して昨年亡くなった。その言葉とは「ぬか床を腐らせるな」。開業から60年以上受け継がれてきたぬか床で作った、キュウリのぬか漬けはこの店の誇り。「これはなかなか食べられないよ、たまらない! どれくらい漬けてるの? 1日?」ときたろうさんが訊くと、「夏は4時間ですね。古漬けが好きな人もいますが、おばあちゃんはキュウリの色にこだわってましたからね」と女将。さらに酒の〆に出てきたのがしじみ汁。うまい酒のあとのしじみ汁ほど、染み入るものは無い。そのおいしさに、言葉もなくなったきたろうさんと西島さんは「ほっとするぅ」と言いつつ、「へへへへへ」と自然に沸き上がる充足の笑いが止まらない……。

最後に店の皆さんに夢を訊くと「このまま続けていければいいです。ここで生まれ育ってますから、最後までここでずっとね」という4代目に「仲良く健康でやれればいいですよ」と女将。欲のないお二人に対し、5代目は「歴史ある店なんで、これからもずっと続けつつ、もっと大きくしていきたいですね」と力強い。その言葉を意気に感じ「一番いい答えだった。その夢をずっと持っててね!」とエールを贈ったきたろうさん。すっかり、この店のファンになってしまったようだった。

山城屋酒場の流儀
その壱

その日の仕入れにより内容は変わるが、その美味しさは折り紙付きの定番オススメメニュー。たこ三種盛り(690円・税込)
その弐

4代目主人の言葉に「私も“正直”や“一生懸命”って言葉が好き」という女将。そんなお店だからこそ、愛され続けるのかもしれない。
その参

自分の家のぬか漬けが一番と思っていたきたろうさんも、山城屋酒場のぬか漬けには舌を巻くほどのうまさ。まずはしょう油をつけずに食べてほしい。キュウリのぬか漬け(220円・税込)、しじみ汁(290円・税込)
きたろうさんから、山城屋酒場へ贈る「愛の叫び」 うちのぬか漬けが初めて負けた  ———きたろう
「山城屋酒場」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都江東区南砂1−6−8
03-3644-8612
16:00〜23:00
日曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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