BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2014/11/1放送 #26 鳥勝

新鮮な素材で作る料理の腕と客に愛される天賦の才両方を兼ね備えた南大井のおしどり夫婦
「鳥勝」なのに、アレがない。

店と客の関係は、恋愛に似ている。初めて訪れた憧れの店で飲む片思いの酒もあれば、なんという事もない店なのに、なぜか足を運ぶ腐れ縁の酒場があったり……。今回訪れた「鳥勝」は、見た目は普通の酒場といった感じだけど、「アイツ、本当にいいヤツなんだよ」と、誰もが好きになってしまう、そういう店だ。

油と日に焼けた暖簾に変色したお品書き。41年の時間が刻まれたカウンターの中では、これまた“いい人”を絵に描いたようなご主人・田中勝さんと、ご夫人のイチさんが働いておられるのだが……、なんとも歴史を感じさせる店なのだ。「ココは……、やめようか」と冗談を言いながら、既に店の雰囲気を楽しむきたろうさん。焼酎ハイボールで乾杯して「じゃあ、最初はやっぱり焼き鳥でしょう」と注文しようとすると、奥さんがすまなそうに「鳥はないの……」。常連客が爆笑するなか「なんで、鳥勝と書いてあるじゃないの!」と、呆然とするきたろうさん。「鳥勝」は焼き鳥屋として開店したものの、すぐに焼き鳥をやめてしまい、お客さんに安く料理を提供したいと、仕入値の安い牛や豚のモツを扱う店になったのだという。オススメを訊かれ「タンのワイン焼きが美味しいんですけど……。パンじゃなくてタンなんですけど……」と、細々とした声で答えるご主人。これには「誰もパンなんか頼まないよ!」と、きたろうさんも笑うしかない。新鮮な牛タンに赤ワインを振りかけ、塩コショウで味付け。サッと網焼きにしたあと、再びワインをかけて仕上げた一品は、タンの食感とワインの風味がきいて、これが実にうまい。飴色に変色した“毎日芝浦食肉売場直入”という張り紙に偽りなし。毎朝4時半に起きて市場で仕入れるモツは新鮮そのもので、仕込んだモツは、奥さんと2人で開店ギリギリまで下処理をするのだという。

そんな寝る間を惜しんで働くご夫婦の、次なるおすすめ料理が、ガツ(胃袋)刺しとコブクロ(子宮)刺し。下処理を施したモツを軽く湯引きし、店特製のドレッシングを掛けたもの。「ちょっと歯ごたえがあって、これは酒にあうね! ほかではなかなか食べられないよ」と、きたろうさんが感心すれば、「え、あ、そうですか? 芝浦から仕入れてきて、ボイルして、キュッキュッキュです……」と申し訳なさそうなご主人に、また店は笑いの渦。「仕入れの目利きが大変でしょう」と、西島さんが訊けば「問屋さんがビニール袋に入れて、ハイって渡されるだけです」と恐縮するご主人の様に、店中が大爆笑。しかしモツ料理というのは、下処理に大変な時間がかかるもの。その手間を一切惜しまずに、この味は実現できない。さらにいえば、おいしい新鮮なモツを仕入れるには仕入れ先との強い信頼関係があってこそ。ご主人の長年にわたる付き合いのたまものなのだ。

愛されちゃって、ありがとう

そんな正直で実直なご夫婦の出会いは48年前。当時、開業独立を目指しサラリーマンとして働いていたご主人は、同僚のイチさんに猛烈アタック。出会いから1年で結婚し、6年後ご主人の念願だったお店を開く事に。「じゃあご主人の貯めたお金でできたんだ」と訊くと「いや、女房の貯めたお金もちょっと」と正直者のご主人。「お客さんの側に立って飲み食いできるように安くして、薄利多売の商売です……」。そうして、店は1年も経たないうちに軌道に乗り、今や開店30分後には常連客で席が埋まる人気店となった。

最後にこれだけは食べて欲しいという一品を頼むと、出てきたのが「モツ煮込豆腐」。「この匂いがたまらないですね。お豆腐が入ってるのも嬉しい」と西島さん。こってり濃いめの味は、お酒のアテにぴったり。すっかりお酒と料理に満足した西島さんが「ご主人と奥さんとお話ししてると和みますね」とつぶやくと、すかさず常連さんが「だから俺たちは来るんです」と声が飛ぶ。まさに店とお客の相思相愛。これだけ飲んで食べて2,080円というお代に、「わざと安くしてるんじゃないの?」といぶかるきたろうさん。首をひねりながら奥さんがそろばんを弾き直すと「あぁ〜、2杯目をつけてなかったね」と、笑って出したお代がたったの2,410円。そりゃあ好きになるわ、このお店!

鳥勝の流儀
その壱

お品書きや調理師免証は油で変色し、ある電球はつかないまま30年間放置されたまま。それを“おおらか”に受け止めるのが、この店を心から楽しむ秘訣。
その弐

ご主人曰く「鶏が手に入らなくなって」というが、安くておいしい豚や牛のモツ料理は、すぐに常連客を生み、店が軌道に乗る事となった。
その参

レタスに乗った牛タンのワイン焼きは、まるで気取りが無く、定食メニューの一品のよう。しかし、それがまた食欲をストレートに誘う。しかも290円(税込)!
その四

商売はお客さんの側に立って安く薄利多売、というのがご主人の持論。たしかに、たっぷり食べて飲んでも驚くほど安い。
その五

常連客が「この店のオススメ、看板料理」と太鼓判を押す一品。最後に乗せた春菊が、しっかり濃いめの味付けのアクセントになっていておいしい。620円(税込)
その六

西島さんの「ご主人にとって酒場とは?」という質問の答え。ご主人はお客が好きだし、お客はご主人の事が好き。ご主人は知ってか知らずか、最も理想的な店のあり方を実現しているということ、かもしれない。
その七

西島さんの「ご主人の目標や夢は?」という質問の答え。夢も目標も今この店で“かなっている”ということ(に違いない)。
きたろうさんから、鳥勝へ贈る「愛の叫び」 やきとりはないけど、おしどり夫婦がいた。  ———きたろう
「鳥勝」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都品川区南大井4−4−2
03-3766-6349
16:30〜21:00
日曜・祝日
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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