BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2016/5/28放送 #99 居酒屋 八丈島

旅先の八丈島で見つけた人生の道 ほかでは味わえない絶品島料理で 自分を救ってくれた島へ恩返し
希少な素材の意外な味

「店の名前は八丈島ね。島の人じゃない人が店をやってたら怒るよ」などと言いつつ、訪れた池袋の「居酒屋 八丈島」。しかし残念、ご主人の錦戸久臣さんは熊本の天草出身。怒るどころか、今夜も絶品料理でえびす顔になるのだが、まずは焼酎ハイボールで乾杯。最初の一品をお願いすると「お二方とも、一度も召し上がったことのないものを仕入れておりますので」とご主人。「食べたことがないものは、ほとんどないよ」と、きたろうさんは出てきたマグロに似た刺身を頬張り「うん、くじら系だ。これは哺乳類だね」。これまた残念。実はこれ、ウミガメ。「カメの肩の肉をお出ししています。高タンパクで低カロリー、美容にもいいと思います。都内でもなかなか食べられるところがないんです」。とても珍しい素材に、二人はあっけにとられた様子だ。

「次はですね、八丈島は明日葉が名産なんですが、そちらの天ぷらをお持ちします。生だとすごくエグミがあるんですが、天ぷらにすると、そのエグミが清涼感に変わるんです」とご主人。“あしたばの天ぷら”を食べたきたろうさんは「ここはなかなか食べられないものが、食べられるね」と感心し、西島さんは「エグミも苦味も全然ないですね。これはくせになる。」と、味に太鼓判。二人とも、島料理の魅力にハマったようだ。

ご主人が上京したのは、大学受験に失敗した浪人時代。「親のスネをかじるだけかじって、結局また受験に失敗して自信を失って。子供の時の“自分は勉強のできる子”というのがあって、もう天草にも帰れないと……」。皿洗いなどのアルバイトをしながら生計を立て、もう30歳にもなろうかという時に、友達に誘われて行った八丈島で、人生の転機が訪れる。「なんだか故郷の天草に似ていて、どこかしら懐かしくて。島の人も本当は温かいんですけど、ぶっきらぼうな感じが似ていました」。その後、何度も八丈島を訪れるたびに、友人や知人が増え、前向きに生きて行く気持ちが生まれていった。そして八丈島に少しでも恩返しをしたいと、11年前、ここ池袋に店を開業することになる。

朝起きて、店に出るのが楽しみだと思える毎日

「次はですね、お二人……、くさやに抵抗感がありますよね」とここで、西島さんの表情が強ばる。「実は爆発的にヒットしている“くさやチーズ”というものがありまして。焼いてほぐしたくさやの身を、チーズに練りこんで燻製にして、すごく食べやすいんです」。自信満々のご主人に「聞いている限りダメです! くさやとチーズと燻製って、臭いものの板挟みじゃないですか。なんでそんなことを……」と西島さん。食べてみたきたろうさんは「いや、匂いは全く大丈夫。素晴らしく香ばしい。くさやの美味しさも出ているし」と絶賛。西島さんも「確かにくさやが苦手な人も、食べられます」と認めるほど。

最後の一品は“島寿司”。一見ヅケの寿司のようだが、ご主人によれば八丈島のソウルフードで、みんなで集まると決まりごとのように出てくるご馳走なのだという。普通の寿司との違いは、一口ですぐに分かる。なんとワサビの代わりに辛子を使っているのだ。「ヅケと辛子って合うんですね」という西島さん。辛子を使うのは、八丈島でワサビが手に入らなかった時代の名残と言われるが、自然と海が育んだ、八丈島の島料理は実に奥深い。

飲食店が多い池袋。1年でビルのテナントが何回も変わるような街だが、人を楽しませるにはいい街だとご主人は言う。「田舎者に優しい感じがするんですよ。いろんなものを、受け入れる街なんですね」。そんな街で自分の店を持ったご主人は、“毎日朝起きて、店に来るのが楽しみでしょうがない”という。「八丈島に出会って、こういうお店をやらせてもらって、自分の中で救われた感があるんですよね」というご主人に、「酒場とは?」と問うと「自分が自分で居られる場所ですね」。それに、きたろうさんがしみじみと言う。「そのあなたの“自分”を見てお客さんは喜ぶんですよ。いや素晴らしいことですよ」。いかにも! 喜びをもって働く人の顔を見て飲む酒は、何よりも美味しいものだ。

八丈島の流儀
その壱

生姜、ネギなどと一緒に出てくる刺身の素材は、なんとウミガメ。東京都知事の許可により一部地域でのみ、体調75cm以上のウミガメが、年間135頭捕獲されている。ウミガメの刺身1,280円(税別)
その弐

温暖な気候地帯に生息するセリ科の植物、明日葉は八丈島の名産。えぐみが強いが、熱を加えると味が変化する。あしたばの天ぷら680円(税別)
その参

あまりの人気に、八丈島でも品薄とか。チーズにほぐしたくさやの身を加え、さらに燻製して香りを加えた一品。くさやチーズ680円(税別)
その四

一見ヅケの寿司のように見えるが、ワサビではなく辛子が付いている。辛さと寿司の意外な相性の良さに驚くはず。島寿司680円(5貫・味噌汁付き 税別)
きたろうさんから、八丈島へ贈る「愛の叫び」天草も八丈島も 池袋に味とともに蘇る!!———きたろう
「居酒屋 八丈島」
住所

電話
営業時間

定休日
東京都豊島区西池袋1−22−4
錦山園ビル
03-5391-5810
月〜土曜10:00〜翌3:00
日曜10:00〜23:00
元旦
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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