BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2014/5/03放送 #4 春

“ママに気に入られたい”そんな男たちが集う葛飾柴又、家庭料理の店
名俳優も愛した、ママの特製料理の数々

とかく酒呑みは「家庭料理」という言葉に弱い。でも毎日家で食べているものが「家庭料理」なら、なぜ酒呑みは外でも「家庭料理」を食べたがるのか? 今回の大衆酒場「春」は、店内にわずかなカウンター席と、屋外にテーブル席がいくつかという小さな家庭料理の店。帝釈天のお膝元、葛飾柴又で昭和54年に開業。ご主人と女将の渡辺かおるさんが、もつ焼き、牛丼専門店として店をはじめ、その後酒場へ。現在は女将と娘はるかさんが働いている。“葛飾柴又といえば……”の名俳優もこの店を愛し、指定席があったとのこと。私生活でのその俳優さんは、酒、煙草など嗜好品は一切摂らない人だったそうだが、この店の醸し出す何かに、郷愁を感じたのかもしれない。

まずは焼酎ハイボールで常連さんたちと乾杯。よく味の染み込んだ手羽大根のお通し(日替わり)を食べながら、常連さんにお店の魅力について聞いてみる。「ママと娘さんの人間的暖かさがね、家に帰って来たような気持ちになるんだよね」「ママがやさしいんですよ、カレーをたくさん作った時とか、時々差し入れしてくれる」。きたろうさんも「母娘でやってるってだけで、なんだか嬉しいものなんだよね」と、鼻の下を伸ばす。と、ここで店のおすすめ料理、タヌキどーふをいただく。「豆腐のように見えて、化けたコンニャクが出てくるんじゃないの?」と冷やかすきたろうさんの前に出てきたのは、カツオだしの和風スープで豆腐を煮立たせ、1週間油抜きした揚げ玉を加えた料理。簡単だが、誰もがヤミツキになってしまう味なのだ。「狸だから天かすが入ってて……」というきたろうさんに「東京では天かすっていうと怒るんですよ。“カス”じゃないですからね、揚げ玉って言わないと」と、ママさんがピシャリ! こんなママとお客さんの関係がなんとも和める。

ひとつひとつ努力して覚えた料理の数々

次に出てきたのは、ママがお気に入りの客にだけ出すというサービスメニュー、イナゴと行者ニンニク。きたろうさんは「小さい頃はイナゴを食べましたよ。これは食感を楽しむの」と、イナゴの姿に過剰反応する西島さんを横目に、パクパクいただく。そして、この店で絶対に食べなきゃいけないメニューとして、作ってもらったのが納豆オムレツ。卵と納豆、ねぎと青のりを混ぜ合わせ、しょう油で味付けして焼くだけ。「ふわふわだぁ〜、納豆と卵は合うんだよ。このシンプルさが家庭料理だね。でも、できそうで、家ではなかなかできない味なんだよね」というきたろうさんの言葉に、酒呑みの家庭料理好きの答えが見つかった。

そもそもママはどうやって料理を覚えたのだろう。どこかで勉強したのだろうか? 「いえいえ、最初はなんにもできなかったですよ。ご飯も炊けないくらい、何にもできなかったです。若い時は主人に、なんで私をこき使うのかしらと思っていたんですけどね」。しかし、7年前にご主人が大病を患い、それ以来、店は母娘で切り盛りしている。「主人が病気した時もお店を続けました。泣いてられなくて。お店にくると、そういうの忘れちゃうんで。暗い顔でお客さんに接したらねぇ」というママ。「店を続けられるのも、自分が楽しいからです。お客様には失礼なんですけど、自分が一番楽しいから、このお仕事をやれるといつも思います」。人情の街・葛飾柴又で、酸いも甘いも味わいつくした心温かいママの店に、酒呑みがついつい寄ってしまうのもしょうがないことだ。

その壱

決して触れることのない気遣いが、ここ「春」にはある。
その弐

ホッと一息つける優しい味で、体が芯から温まる。これを目当てにやってくるお客さんも多いとか。300円。
その参

これは「春」のルール。下ネタは酒場につきものだが、下品な会話はもってのほか。常連さん曰く「オブラートに包んで言わなきゃダメなんだよ。難しいんだよ。笑える下ネタじゃないとね」。
その四

ママさんはお店をやってて良かったのは、若い人からは若い力を、年配の方にはいろんな知恵など、お客さんからいろんなものをいただけることだという。
その伍

ふわふわのホッカホカに焼き上がった春特製納豆オムレツは500円。シンプルでおいしい、葛飾柴又「春」ならではの一品。
きたろうさんから、春へ贈る「愛の叫び」 春はいつも春  ———きたろう
「春」
住所
電話
営業時間

定休日
東京都葛飾区柴又4−8−16
03-3657-3518
月〜金16:00〜23:00
土日祝13:00〜23:00
水曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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