BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2014/5/17放送 #5 東邦酒場

お客さんと店は一期一会だから手間は決して惜しまぬという主人と女将のいる店
じっくり時間をかけて生まれたもつ煮の味と、夫婦の妙。

西に歩けば荒川があり、東に少し行けば柴又。お花茶屋は下町に挟まれた、人情が今も息づく住宅街。今回紹介する東邦酒場は、京成電車お花茶屋駅の近く、小さな路地を入ったところにある。

席について最初の一杯は、もちろん焼酎ハイボール。女将のオススメのおつまみは「ゴニラ」。ニラと白髪葱を特製コチジャンとゴマ油で和えた一皿に「ゴマとニラでゴニラか!」と推理したきたろうさんだが、実は違う。「これを食べた女性が(辛くて)『ハァ〜』と火を吹くゴジラみたいな顔をしたの。だから、ニラとゴジラを掛けてゴニラ」。そう説明してくれる女将の人懐っこい表情に、思わず心がほぐれる。

この店を開いたのは先代の遠藤信一さん。日本の南極越冬隊が、南極に初上陸した昭和32年のことだ。頑固で喧嘩っ早い先代に「“あんたが店をやってたんじゃすぐに店を潰すから、家に上がってテレビでも見てなさい”って、ほとんどおふくろが切り盛りしてましたよ」と、二代目店主の遠藤泰典さん。この店は代々、魅力的な女将が切り回しているようだ。

店主にお店を長くやっていくコツを聞けば「立ってれば時間が過ぎて行く感じですよ。自然とですよねぇ。がっつくとダメなんですよね」。これにきたろうさんは「自然ってのは、自信がないと出来ないんだよねぇ」と納得。お店を長続きさせる秘訣は、なんだか夫婦円満の秘訣のようにも聞こえてくる。

誠実な手間仕事が保障するうまい肴と〆の一杯

そんな店主と女将には、忘れられないお客さんとのエピソードがあるという。ある日、年老いた母と働き盛りの息子とおぼしきお客さんが来店し、3杯の生ビールをオーダーした。店主は後からもう1人来られるのかなと思ったが、1杯のビールは2人の間に置かれ、次第に泡も消えてしまう。女将が「お連れの方はまだですか?」と女性に聞いたところ、一言失礼を詫び、かねてより夫婦と息子の3人で東邦酒場に行こうと話していたのだという。しかし、女性の旦那さんが先月亡くなってしまった。旦那さんの思いを叶えようと、生ビールを3杯頼み、親子で故人を偲んでいたのだ。この時、店主は「一期一会じゃないですけど、いつも最善を尽くさないといけない」と心に銘じたという。

東邦酒場はうまい料理に事欠かない。例えば、新鮮なものを仕入れられた時だけ出すという「〆サバ」。ほのかに酸味を感じる浅締めは、つやつやでプリップリ。「魚はこうじゃなきゃ!」と、思わずきたろうさんがつぶやいた珠玉の逸品。さらに大衆酒場の定番メニュー冷や奴を注文すると、これまたすごい。山形県産青大豆、滋賀県産の玉誉れ(タマホマレ)という豆を使った2種類の豆腐のセットで、それぞれに個性的な味が楽しめる。濃厚な旨味と、大豆の自然な甘み、その違いを味わうなら、西島さんの「お塩だけで十分かもしれない」という言葉どおり、ミネラルたっぷりの藻塩で是非食べていただきたい。

そして東邦酒場を後にする前に“これだけは食べなければ”というメニューが「もつめし」。これを食べた西島さんは「モツ自体がおいしくなきゃ、こんなにおいしくならないですよね。サラサラいけちゃう」と感激。「すご〜ぉい、モツ〜って感じだね。うまい!」と、きたろうさんも唸る。肉の旨みを逃さず、柔らかく仕上げるため、弱火で10時間もコトコト煮込んだモツを、ご飯と一緒にいただく。頑固だった先代が作り上げた味は“手間を惜しむな”という教えとともに、今の2代目、そして現在修行中という3代目へと確実に伝わっている。

東邦酒場の流儀
その壱

茹でたてのニラとパンチの効いた辛さで、一度食べるとまた次に来たときも必ず食べたくなる。これを食べにやってくるお客さんもいるという。
その弐

長く店を続けていれば、うまくいく時もあれば悪い時もある。うまく行かない時は、あえて動かず立ち止まっているべし、というご主人の名言に、酒場修行中の西島さんも心に感じるところがあったようだ。
その参

ご飯にモツ煮、薬味のネギと、少々コッテリしていそうな見た目だが、サラサラと食べられてしまう一杯。モツの旨味がたまらない!
きたろうさんから、東邦酒場へ贈る「愛の叫び」 もつでもつ夫婦 ラブ  ———きたろう
「東邦酒場」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都葛飾区宝町2−36−8
03-3697-0644
17:00〜23:00
木曜、第三水曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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