BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2014/5/31放送 #7 虎や

13年の歴史でもまだ駆け出し 陽気なご主人は、奥さんを手本に料理の腕を磨き続ける
ご主人の人柄と常連さんが作る“ご機嫌”な店の空気

「千住といえば同棲というイメージだね。大学の友達が千住で同棲生活を始めて、よく遊びに来たんだよ」という、きたろうさん。時代的にもフォークソングの全盛期。四畳半、同棲生活の銭湯通いの情景が出てきたりするが、実は千住は銭湯天国で、大黒湯など歴史ある名銭湯も多い。そんな銭湯帰りにふらりと立ち寄ってみたいのが、大衆酒場「虎や」だ。

さて、宝焼酎の前掛けののれんをくぐると、開店時間を目指してやってくる常連さんで大賑わい。そこにきたろうさんと西島さんも加わって、まずは宝焼酎ゴールデンをソーダで割ったゴールデンハイボールで乾杯。ご主人の虎谷哲男さんが、お客さんの間を仲立ちし、お互いジョッキを傾けるうちに仲良くなったという常連さんばかりで、その空気は何とも陽気で居心地がいい。またこの店は、自分の前の皿にあらかじめお金を入れておき、オーダーごとにご主人がお代をもらっていくというキャッシュオン方式。今日使うお金だけ決めて皿に入れ、それを飲み食いつくしたら「ごちそうさん!」と帰る。そういう明朗会計の作法も、この店のご機嫌な雰囲気を醸し出す手助けになっているようだ。

おすすめの料理をお願いして、最初に出てきたのは千寿葱。といっても千住で穫れたネギではなく、千住にある日本で唯一の葱専門市場、山柏市場で専門の葱商が選別した最高級ネギのこと。千寿葱のほとんどは高級料理店に卸されるのだが、懇意の葱商から特別に分けてもらっているのだとか。これをシンプルに焼いて、塩かしょう油でいただく。飛び出す中身で火傷をしないように気をつけながら、ハフハフいただく千寿葱は最高!

次のおすすめを頼むと、おでんが登場。虎やのおでんは出汁が自慢で、アゴ(トビウオ)をメインに、利尻昆布、冬(どんこ、冬に育てられたシイタケの乾物)、サバ節、鰹節から出汁をとり、白しょう油で味を整えるという、実に手のかかったこだわりの味。「初めはおでんの味が薄いとか、お客さんにけっこう言われましたね」とご主人。そんな常連さんからのダメ出しに真摯に向かい合い、試行錯誤の末に完成させたおでんは、今や店の看板メニュー。ご主人は、常連さんに支えてもらったからこその味だという。

“うまい!”の一言のために磨き続ける料理の腕

脱サラをして店をはじめたご主人の虎谷さん。それまではオリンピックの強化選手をサポートする水泳連盟で働いていたが、上司と喧嘩して辞め、一念発起して42歳で店を出すことに。「自信は全く無かったですね。全然経験がないですから。じゃあ、素材の良さで勝負しようっていうことで、北千住の東京足立市場っていう所に鮮度の良い魚が入るんで、そこに毎日通って少しずつ覚えていったんですよ」。

店をはじめて7年後、ひとつの出会いがあった。「今の妻なんですが、実は再再婚でして、三度目の正直というやつです。妻は某有名な料理学校を出てて、有名なお店で働いてたんです。で、そんな時に店に来て知り合うんですけど、彼女から影響を受けましてね」。40歳にして料理を本格的に始めたご主人は、しっかりとした技術を持った奥さんと知り合うことで刺激を受け、「ちゃんと色々やりたい」と、料理の腕に一層磨きをかけた。そんなご主人が、きたろうさんに“店をやっていて一番の喜び”を訊かれると「今日はあの客さんに何を出そうかなと、仕込んでるときですね。それをパッと出した時に“うまい”と言われたら最高ですね。なにせ元が素人ですからね。修業と言うのがなかったですから」。まさに、この“うまい”というシンプルな言葉は、料理人にとって何にも勝る最高の褒め言葉だ。そして奥さんとの今の生活に「最高ですよね。なにせ料理がうまいですからね」と鼻の下を伸ばして笑い、2人でイタリア旅行に行くのが夢だと語るご主人。奥さんから学び、店で腕を磨き続ける。そんなご主人の料理には、ずっと店に通って、付き合っていきたいと思わせる魅力でいっぱいだ。

虎やの流儀
その壱

「2000円ほどで十分飲めます」とご主人。会話のキャッチボールが弾むと、お代をいただくのを忘れることも……。そんな時は、お客さんが「取り忘れてるよ!」と自己申告(笑)。
その弐

ネギが一番おいしいのは冬。最盛期のネギは太くて食べごたえも十分。千寿葱500円。
その参

出汁だけ飲む人がいるというおでん。1品100円(一部商品を除く)だが、出汁を味わうならやっぱり大根!
その四

市場で鍛え上げた魚の目利き。きたろうさんが訪れた日は、銚子で揚がった鰹をいただく。初ガツオ行者ニンニク醤油添え600円。
きたろうさんから、虎やへ贈る「愛の叫び」 できる男は結婚三回(やさしさいっぱい)  ———きたろう
「虎や」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都足立区千住1−39−9
03-3870-7998
17:30〜24:00
年中無休
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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