BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2016/6/18放送 #102 婆娑羅

お客さんへの気遣いを第一に 独学で極めたもつ焼きの数々 食べ歩きから酒場の世界に飛び込んだ男
暴れん坊はお客さん?それともご主人?

今回の店は、東京三鷹市にある創業34年目のもつ焼き店「婆娑羅」。落ち着きのある渋い店内で、焼き場の前に立つのはご主人の大澤伸雄さん。肩の力が抜けた飄々とした印象のご主人に席へ案内され、いつものように常連さんと焼酎ハイボールで乾杯。まずは名前の由来を聞いてみた。「婆娑羅は、暴れ者で見得を切るインドの神様です。暴れ者のお客さんに、じっと耐えながらお店を続けてますから」とご主人が説明すると、常連さんが“まさか”という顔で「ご主人の(性格が)名前に寄って来ちゃってんですよ」と笑う。

「じゃあ、レディーファーストで」と、ご主人が西島さんに出してくれた料理は、ればー、しろ、かしらのもつ焼き盛り合わせ。「この“しろ”、サクサクした感じで味が濃い。美味しい!」と西島さん。師匠は誰?と訊くと「師匠はいたんですけど、弟子入りしたわけではなくて。モツの処理や刺し方は教えていただいたけど、タレとかは教えてくれなかったので……」。では、タレの味はどこで学んだかというと「いろんなところに酒を飲みながら、巡り巡って、盗みながらここに到達しました」とご主人。「店に行って食べれば、これはどのくらいの醤油の量で、砂糖の量か、おおよそ見当はつくから、それを帰ってきて実際に作ってみる。だから、いいお店に行かないと授業料が無駄になる」という。その食べ歩きは今も続いてると聞き、きたろうさんが「それは飲みたいだけじゃない?」と突っ込むと、「飲みたいのと、いい女性に巡り会いたいのと(笑)」。そんなご主人の人柄に惹かれ、通ってしまう常連さんの気持ちがよく分かる。

続いてのおつまみは、ご主人のお母さんから引き継いだ、70年物のぬか床で漬けた「ぬか漬け」と、定番「もつの味噌煮込み」。胃が落ち着くぬか漬けや、小さなフライパンで出てくる小洒落た味噌仕立ての煮込みが、さらに杯のペースを上げる。

こだわりは、独り飲みの女性客を守ること

かつて出版関係の仕事をしていたご主人は、28歳で目の病気を患い退社。よく行っていた酒場の親父さんに勧められ、開業を決意するが……。「資金がないから、建築事務所の友達に図面を書いてもらって、二人で屋台を作ったんです。L字のカウンターを作ったのはいいけど、いい材木を使っちゃったもんだから、重たくてリヤカーが引けないんです」。それならリアカーを置いて商売しようと、近所の酒屋さんの倉庫代わりの場所を使って開業したところ、これが大ヒット。しかし、あまりの人気に近隣の店からクレームが入り、今の店に移ったのだという。

続いての料理は、ニガウリがまだポピュラーではなかった頃から出しているというゴーヤチャンプル。自分でアレンジして、この味にたどり着いたという一品に「うまい、野菜と肉の組み合わせがいいんだよ」と、きたろうさんの顔がほころぶ。様々な店を食べ歩いて味を追求するというご主人に、味の主軸がどこにあるのかを訊くと「お袋がすごい日本料理がうまい女性で、そのお袋に味覚を育てられた」という。そんなご主人の料理は、どことなく懐かしく、毎日食べても飽きない。

西島さんが「最後にこれだけは食べて帰れのメニューをお願いします」と、お願いすると「よし!」と腕を振ったご主人。気合十分で出してくれたのは「ねぎそば」。焼きそばのようだが、茹でた麺をねぎ油で和えた油そばに近く、ピリ辛の味付けがクセになる絶品。事実、これを目当てに来るお客さんもいるという。西島さんに店のこだわりを訊かれ「そんなに力んでないから。そんなにカッコつけられないですよ、手遅れで」と照れるご主人。ただ挙げるとするならば「そうだな、女性の独り酒をする人を守ってあげたい。女の人だって、上司と喧嘩したり、独りで飲みたい時があるじゃない?」。その言葉を聞いて感激した西島さんが「ある!これ以上おじさんと喋りたくないという日が!」と魂の叫び。「だったら、ほっといてやんなきゃ」。そんなご主人の心配り、目配りが、この店の人気を支えているに違いない。

婆娑羅の流儀
その壱

通常は5種類の盛り合わせだが、この日はしろ、ればー、かしらの3本。どれも肉の味が濃い。もつ焼き盛合せ 各1本100円(税込)
その弐

大き過ぎず、小さ過ぎずの肉の大きさは、串にかぶりつくのにちょうどのサイズ。
その参

ご主人がお母さんから受け継いだ、70年物のぬか床で漬けた「自家製ぬか漬け」430円(税込)。あっさり味噌味のもつ煮が、小さなフライパンのまま、熱々で登場する「もつの味噌煮込み」500円(税込)。
その四

まだニガウリが、そんなに知られていない頃から出していた、今やおなじみの沖縄料理。ゴーヤチャンプル820円(税込)
その伍

茹でた麺をねぎ油で和えた、お酒のシメに大人気の一品。ピリ辛で、お酒のつまみにもなる。ねぎそば850円(税込)
その六

あまりの人気に、この「ねぎそば」だけを食べに来るお客さんもいる。しかし「あくまで店は酒場」と、そんなお客さんはお断りしていたが……。
その七

きたろうさんの「それじゃ、やっていけないよ!」の忠告に、ご主人が改心されました。
その八

お酒を飲みたい時の気持ちは、男性も女性も変わらない。独り酒の女性に、変に絡む客がいないか、ご主人が目を光らせる。
きたろうさんから、婆娑羅へ贈る「愛の叫び」三鷹で見つけた能あるタカは爪を隠してた。———きたろう
「婆娑羅」
住所

電話
営業時間
定休日
東京都武蔵野市中町1−3−1
桜井ビル1F
0422-54-1666
17:00〜23:30
日曜、祝日
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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