BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2016/7/ 2放送 #104 かわ津

中学を卒業して握った包丁 以来44年この道一筋に生きるご主人が “客が主役!”と黒子に徹する名店
お酒もダンスも、大切なのは……!

かつて中山道を旅する人の、最初の宿場町として栄えた板橋。この街に酒好きが避けて通れない酒場「かわ津」がある。きたろうさんと西島さんが訪れると、すでに店はお客さんでいっぱい。厨房で腕をふるう安田春行さんと、女将の里美さんに迎えられ、まずは焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。そしていきなり、きたろうさんに「ご主人、普段はあんまりしゃべらないでしょう。すぐ分かるよ」と見抜かれ、“参った!”という感じのご主人。そんなご主人が、最初に出してくれたのは「つくねの揚げ出し豆腐」。普通の揚げ出し豆腐とつくね、と思いきや、西島さんが「この揚げ出し豆腐、変わってません?」と気付く。実は“ころも”に鰹節を使い、揚げることで、追い鰹のように味がしっかりするのだという。シンプルだが、ご主人のアイデアたっぷりの料理が、この酒場の人気の秘密のようだ。

店のオープンは平成7年。「不安でした。バブルもはじけていたし、よした方がいいんじゃないか?というのが大半の意見でした。でも、これ以上は悪くならないというのが私たちの考え方で……」。腕に自信があったからでしょう?と訊くと「まぁそこそこ。ふたりで力を合わせればね」と笑うご主人。そもそもご主人と女将の出会いは、社交ダンスという共通の趣味がきっかけ。「試合に出るためにカップルになりまして。練習の後に、食事をご馳走してくれるのが楽しみで。それから“真面目な人だなぁ”と思うようになって」と女将。すると「お酒もダンスも、スロースロー、クィッククイックですよ」とご主人が笑う。調子が出てきたところで、ふたりのダンスまで飛び出し、店はやんやの喝采で溢れかえった。

次のオススメは、珍しい「鮎一夜干し」。腹を開いて一晩干した鮎は、あの良い香りに旨味が加わり、何もつけずに食べられるほど濃厚になるという。頭からガブリと頬張ったきたろうさんは「うーん、うまい」と、えびす顔。ほかでは味わえない旬の味覚に大満足のようだ。

お客さんを見守るご主人と女将の心得

父親を4歳で亡くし、女手一つで育てられたご主人は、中学卒業後に料理人を志し都内の寿司屋で修行を始める。店は変われど包丁一筋、腕を磨き、苦労をかけた母へ欠かさず仕送りしたというご主人。“早く一人前の料理人になることが、母への恩返し”、そんな気持ちで辛い修行を耐え、今に至る。

次はご主人が試行錯誤を重ね、完成させた「かれい五目あんかけ(890円・税込)」。大きめのかれいを揚げ、中華風のあんをかけたボリュームたっぷりの一品。これを食べたきたろうさんは「甘い! 身だって真っ白。かれいが新鮮!」と大絶賛。「煮たり焼いたりもするんですけど、常連さんに少しパターンを変えて出したら、評判が良くて」とご主人。そんな家庭的な雰囲気の店に、一見のお客さんもすぐに打ち解ける。なかには仕事の失敗で落ち込んで「今日はヤケ酒だ」と初めてひとりで店に入って以来、常連になったという人も。「とにかくご主人も女将も聞き上手!」という常連さんに、「分かる! このご夫婦は、はしゃがないからいいんだよ」と、きたろうさん。あくまで主役はお客さん、自分たちは黒子に徹する。そうした控えめな居心地の良さに、店が包まれているのだ。

最後の一品は、両国のちゃんこ屋でも修行を積んだご主人が、自分の味を突き詰め、辿り着いた「つみれちゃんこ鍋」。「イワシがイワシのまんま、ちゃんと味が残ってるよ」、「これは美味しい。こんなに味の濃いつみれ、なかなかないですよ。また、このお出汁がすごくシンプルだけど、こだわってますね」と、きたろうさんも西島さんも興奮。「料理の道は一生勉強」そんな生真面目な考えを持つご主人に「酒場とは?」と、恒例の質問を投げると「美味しいお酒と肴でうさを清め、歓びを分かち合う場所です」という答え。これにはきたろうさんがニヤリ。「その答えはあらかじめ考えてたな。普通“うさを清め”なんて言わないよ!」。またまたきたろうさんに言い当てられて、再び“参った!”という顔のご主人。口数は少ないが、真面目ないい人。そんなご主人の店に、今日も酒飲みが吸い寄せられる。

かわ津の流儀
その壱

旨味たっぷりのつくねと、鰹節をまとった揚げ豆腐という、最高の組み合わせ。つくね揚げ出し豆腐630円(税込)
その弐

鮎といえば塩焼きが代表的だが、開きにして一晩干すと旨味が増して、焼くだけで最高のつまみに。鮎一夜干し 一尾600円(税込)
その参

お客さんの話の聞き役に徹して、居心地の良い酒場を守り続けてきたご主人と女将さん。
その四

11種類の具材が入ったちゃんこ鍋。店を始める前に、両国のちゃんこ屋でも働いていたというご主人が、自信を持ってお出しする鍋。つみれちゃんこ鍋 1人前1,700円(税込)
その伍

つみれの味、出汁の味、すべてがシンプルだけれど美味しい。味を極めるということは、日々の努力を、無心になって積み上げるということ。
きたろうさんから、かわ津へ贈る「愛の叫び」聞き上手です。かわ津で Shall we 料理!!———きたろう
「季節料理 かわ津」
住所
電話
営業時間

定休日
東京都板橋区板橋3−7−6
03-3964-9340
11:30〜13:30、17:00〜22:30
(土曜、祝日は夜のみ営業)
日曜日
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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