BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2016/10/1放送 #113 らく天

運河の街、寿司の街「小樽」 明るい性格のおしどり夫婦が 娘と共に盛り上げる一軒
父の脱サラから始まった店の歴史

北海道の酒場巡り第2弾。向かったのは運河の街として知られる小樽。「なんか居心地いいですね」と、店に入ったきたろうさんが、ご主人と女将を見るなり「いかにも(似た者)夫婦ですね。なんで顔が似るんだろう」。その言葉に、二代目主人の工藤貴演さんと、女将のまゆみさんは大爆笑。ご夫婦のおしゃべり好きで明るい性格が、店を一層アットホームにしているようだ。まずは常連さんと、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。最初の一品は、贅沢にも「あん肝」。「この近海で獲れるあんこうって、実は日本でも相当美味しいって言われてるんです」と、ご主人が出してくれたあん肝は大ぶりで、上品に塩とワサビが添えられている。濃厚な味のあん肝に、塩とワサビを少しつけると、より味が引き立つという。この珍しい食べ方に、「食べ方ひとつで印象が全然変わりますね」と西島さんもびっくり。

お店の創業は24年前。もともと国鉄職員で料理好きだった先代(工藤宏さん)が、脱サラして始めた。一方、まだ若く将来が定まっていなかった今のご主人は、和食店で働く先輩の仕事ぶりを見て、料理の世界に入ることを決意。札幌で修業に励んでいたが、父である先代が体調を崩したのを期に小樽へ戻り、店で働き始めた。「親父に教わったことはたくさんあるんですけど、一緒に働いていた時はケンカばかり。味のことじゃないです。生き方とか、だらしないとか(笑)」。女将とは、友人の紹介で知り合って結婚。「結婚してから、出産の時以外はずっと店で一緒。子供もお店に連れてきて、置きっぱなしで」と女将は笑う。しかし先代は、孫と過ごす時間ができて嬉しそうだったという。

そんな先代の味と、二代目の創作が融合したのが次の一品「フォアグラと大根のおでん」。西島さんが「おでんのはずなのに、ビストロの気分」というように、その掛け合わせの妙が素晴らしい。味の濃いフォアグラと淡白な大根を結びつける、先代のおでん出汁の味が光る一品だ。

ケンカもあり!? 店の中で繰り広げられる家庭生活

次の料理は、ちょっと手が込んでいる。「魚のすり身を柔らかく蒸したものを、冷たくして湯葉でくるんで、その中にちょっとだけウニを入れて、いくらのゼリーをかけたような……」と、二代目が説明してくれた料理は、涼やかなガラスの器に盛られて登場。ひと口頬張れば北海の幸が次々に飛び出す、見た目も鮮やかな一品。「京都で学んでない?」「シャキシャキの大和芋、美味しいですね」と、きたろうさんも西島さんも大絶賛。創作メニューの試食は、女将の役目だが「ビジュアル的に興味がなければ、(箸も付けず)皿を置いたまま。そんな時は、もう一度考え直さなきゃいけないです」とご主人は言う。女将に合格点をもらうのは、なかなか難しいようだ。

最後の一品は、ご主人が「本職ではないのですが……」と謙遜しつつ、お寿司が登場。旬のサンマをはじめ、ホッキ貝にハッカク、ボタン海老など北海の海の幸がいっぱい。塩とレモンで味付けされたハッカク、ちょっと炙ってエグみを抑えたホッキ貝など、素材の良さに加え、見事な仕事ぶりに、きたろうさんも西島さんも大満足。常連さんが「築地よりうまい」と自慢するのも当然だ。

店で育ったような二人娘も立派に成長し、今や店を手伝うように。「娘たちには、すごく感謝しています。家族だから仕事の最中でも、ケンカしたりするんですよ。それでもお姉ちゃんなんかは、泣きながら店に出てくれます」。きたろうさんが「子育てが上手くいったね」と言うと、「本当にそう思います」と、ご主人。最後に“ご主人にとっての酒場とは?”を訊くと、「僕にとって酒場は家庭、生活そのものです。飲みにくるお客さんにとって、それは迷惑な話だと思うんですけど、支えてくれる方がたくさんいらっしゃったので」と言う。それを聞いて「いいじゃない。“酒場とは家庭”というのは深いよ」と、感心するきたろうさん。酒場は第二の家庭という人もいる。常連さんは、自分の家庭とは違ったもう一つの人生を、この店で味わっていたのかもしれない。

らく天の流儀
その壱

近海で獲れたあんこうの肝を、ワサビと塩でいただくのが「らく天」流。あん肝850円(税込)
その弐

おでんの出汁は、父である先代から受け継いだ味。フォアグラと大根のおでん1,280円(税込)
その参

すり身、ウニ、大和芋を湯葉で包み、和風だしのゼリーにイクラを乗せた、手のかかった一品。生ウニの湯葉まんじゅうイクラゼリー750円(税込)
その四

約200mの区間に、16軒ものお寿司屋さんが並ぶ「寿司屋通り」がある小樽は、魚の旨さでも有名。この日はマグロ、サンマ、ハッカク、ボタン海老、ホッキ貝の5種。寿司5貫880円(税込) ※内容は仕入れによって変更あり
きたろうさんから、らく天へ贈る「愛の叫び」オヤジはらく天 味は満点 家族は百点———きたろう
「らく天」
住所
電話
営業時間
定休日
北海道小樽市稲穂2-13-7
0134-22-6336
18:00〜23:00
月曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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