BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2016/11/12放送 #119 もつ焼きのんき

焼酎ハイボールとチュルトロ系に魅せられ 通い詰めたもつ焼き屋 いつしか常連客が三代目に
驚くこと間違いなし! チュルトロ系のもつ焼き

一言に焼酎ハイボールといっても、そのレシピは様々。葛飾区の堀切は独自の焼酎ハイボール文化があるエリアで、ここ「もつ焼き のんき」もそれを守る一軒。カウンターに座った2人の前に出された氷なしの焼酎ハイボールは、琥珀色の泡立つ一杯。きたろうさんは、なみなみと注がれた1杯を見て「これで乾杯したらこぼれちゃうよ」と言いながら、常連さんと“今宵に乾杯”。「濃いなぁ」「効きますね。いいですね」という2人の表情に、三代目主人の山蕪ヨさんが満足そうに微笑む。

まずは最初の一品。「“がつ刺し”です。ニンニクと生姜があるんですけど、どっちでいきますか?」の問いに、きたろうさんが「ニンニク!」と即答。手早く出てきた「がつ刺し」を頬張った2人は「あ、コリコリして柔らかくて美味い。食べやすいねぇ」「がつって臭みがないんですね。このさっぱり感にビックリ!」。その味はもちろん、臭みのなさ、さっぱり感は、三代目の丁寧な仕事の賜物だ。

続いてのオススメをお願いすると「うちのおすすめは全部“しろ(豚の直腸)”なんですよ。普通のお店の“しろ”とは違いまして、チュルトロ系と呼ばれているんです」とご主人。もつ焼きに絶対の自信を持つご主人は、「衝撃を受ける柔らかさなんです。注文は一皿4本しばりで、(タレと素焼きニンニクで)味を変えて2本2本で食べていただいてもいいんですけど」と言う。「1人で来た場合、大変じゃん」と、きたろうさんが言うと常連さんから「それが食べられちゃうんですよ」と声が上がる。それもひと口食べて納得。「うーん、柔らかい。全然噛まなくていい。これがチュルトロ系かぁ! タレが美味い。この甘さ加減が絶妙だね」。タレは開業以来、60年間継ぎ足されてきたもの。西島さんは「素焼きニンニクは、(タレと)味が全然違う。うわ、すごくおいしい!」と大絶賛。淡白な味わいの「しろ」に続いて、適度に脂が乗った「かしら」「はつもと」をいただくが、どれも素材の食感が素晴らしく、丁寧な仕事が細部にまで尽くされている。そんな三代目の仕事ぶりには、ある哲学があった。

惚れ込んだ味を守り続ける3代目の意志

ご主人は語る。「先々代の人は僕も知らないのですが、その方たちが40年くらい店をやっておられまして。その時、お客で来ていた先代が、店を継いだんです。僕はその先代のママさんについていた客なんです」。13年以上サラリーマンをしながら、飲食店をやりたいと思っていた三代目は、この店に魅了され毎日のように通い詰めた。「例えば今飲まれている、この色のハイボール。堀切発祥と言われているんですけど、すごく飲みやすくておいしかった。自分が店をやるなら、どうしても出したいと思っていました」。きたろうさんが「じゃあ、この店を買ったということなの? 味は?」と聞くと、「二代目から買いました。全部そのままレシピごと買っているので、同じ味でやらせていただいてます。それは(先代からすると)“後は任せたぞ。でも後は知らないぞ”っていうことです(笑)。失敗するも成功するも自分次第です」。お店を受け継ぐと決めて1年間、先代のもとでモツの切り方から、串の刺し方、焼き方まで代々伝わってきた技の全てを学んだ。店を自分のものにしたのだから、メニューも味も変えたいと思えば変えればいい。しかし三代目はそうしなかった。「変えるんじゃなくて守っていきたいんです」というご主人。「この店の感じが良いんです。続けていけるものは、続けていきたいと思っています」。それから十数年、今も一切の妥協を許さず、自分が好きだった店、理想とする店を守るため、精進を続けている。

最後の一品は冬季限定の「もつ煮込み」。夏場でも人気間違いなしの一品だが、これも先代からのルールで10〜3月にしか出さない。焼きで食べたチュルトロ系の「しろ」を使った煮込みは、柔らかく滋味たっぷり。さらに器の底には大きなジャガイモが入っており、これを食べると体の芯から温まる。「このジャガイモを管理するのが大変なんです。煮崩れないようにずっと見守らないといけないので」と、笑うご主人。理想とする店で働く。その夢が叶った三代目にとって、その味とこだわりを守り続けることが新たな夢になった。その夢のために生真面目に働く三代目が焼くもつ焼きは、変わることなく絶品であり続ける。

のんきの流儀
その壱

“がつ”とは高タンパクで低脂肪の豚の胃袋のこと。刺しといっても生ではなく、ボイルされた状態のものをいただく。がつ刺し400円(ニンニク醤油・税込)
その弐

“しろ”とは豚の直腸のこと。この店での食べ方は2種類。「タレ焼き」か、もしくは“しろ”の素焼きにニンニクタレをかけて食べる「素焼きニンニク」で。しろ1本100円(タレ or 素焼きニンニク・税込)
その参

「もつ焼き のんき」のルールとして、注文は一皿4本から。一皿の量は増えるが、スルリとお腹に収まってしまうのは、そのおいしさゆえ。
その四

「はつもと」とは心臓に一番近い動脈で、「かしら」はこめかみから頬にかけての肉。どちらも焼酎ハイボールと好相性。かしら・はつもと(各1本100円・税込)
その伍

具材は“しろ”とコンニャク。丁寧な下ごしらえで嫌味がなく、お腹がほっこり温かくなる。もつ煮込み480円(税込)
その六

店のメニューに煮込みが並ぶと、冬を感じるという常連さんも多い。冬季限定というのも先代からのルール。
その七

器の下に隠れているのが、大ぶりのジャガイモ。だしを吸ったその味は絶品!
きたろうさんから、のんきへ贈る「愛の叫び」のんきの裏側にやる気あり———きたろう
「もつ焼きのんき」
住所
電話
営業時間

定休日
東京都葛飾区堀切5-20-15
03-3601-4052
17:00〜22:00
(日曜・祝日は17:00〜21:00)
水曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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