BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2017/01/28放送 #129 煮込 蔦八

古き良き昭和レトロな酒場ののれんと看板を守るため常連客から主人へ転身!
先代からの味をそのまま受け継いだ煮込み

東京・大田区大森で創業48年目の「煮込 蔦八」を訪れた一行。「これはちょっと、そそられるね」と、きたろうさんが感心する昭和レトロな店内で、ひときわ目を引くのが煮込みの大鍋。創業以来変わらないというコの字カウンターに座り、ご主人の土屋一史さんに焼酎ハイボールをオーダー。いつものように常連さんと乾杯を交わし、早速、名物の煮込みをいただくことに。「大量に作った方が、美味しさが増します」とご主人がいう大鍋の、いい色をしたつゆには、モツや野菜、豆腐、玉子などが浮かぶ。煮込みといえば豚モツを使うのが一般的だが、蔦八では牛モツを使用していて濃厚かつ食べ応え十分。「お酒を飲む人にはたまんない、しっかり目の味付けですね」と、西島さんも満足げ。

ここできたろうさんが、カウンターのプラスチックの色札に目を留める。この店では、料理の値段ごとに色分けされたプラスチック札をオーダー後にカウンターに置き、料理が出て来ると棒に刺していく「プラスチック札システム」を採用している。これがまた、昭和の古き良き時代感を醸し出していて、食べ過ぎ飲み過ぎの目安にもなっている。ちなみに煮込みは、580円の赤札だ。

物腰柔らかで、見るからに優しそうなご主人。かつては広告代理店で働いていたというご主人が、お店の歴史を語ってくれる。「もともと私は、この店の常連だったんです。先代のご主人が亡くなられて、女将が一人で切り盛りされていたんですけど、ご高齢で店を閉めてしまうと聞いて“勿体ないなぁ”と。それから一年ぐらいお話をして引き継いだんです」。引き継いでからの方針は明確だった。女将さんの味を変えない、看板や提灯もそのまま、何も変えずに受け継ぐ。「昭和のこういう雰囲気のお店が、どんどん無くなって……」と感じていたご主人にとって、何も手を加えず受け継ぐことが大切だったのだ。

目指すは100年続く店!

次のオススメも、先代から味を引き継いだ「アジの南蛮漬け」。「アジが大きいですね」と西島さんが驚くと、「お刺身用のアジを使っています。漬け置きをせずに、オーダーが入ってから作るので、ちょっとお時間がかかるんですけど」という南蛮漬けは、酢が効いていて煮込みを食べた後にぴったり。フワッとした食感も抜群で、ご主人のお母さんが先代女将から教えを受け、味を守っている。「最初は自信が無いんで、“ヤダ”って言ったんですけど“うちで作るように作ればいい”って息子が言うものだから……」と、手伝い始めた理由を語るお母さん。会社勤めをしていたお父さんも、今は仕込みや店の清掃を担当。きたろうさんに“親バカだね”と言われつつも、心配のタネは尽きないようで「いい子はいい子なんですが、商売に向くかどうかは……。でも、お金儲けが上手でも、お客さんが来なければ何にもならないですからね。みんなが美味しいって、来てくださるのがありがたい」と、お母さんは語る。そして2枚目の赤札が、棒に刺される。

次の一品は「くじらの竜田揚げ」。「昔、給食で出ていたのとは違って、柔らかい刺身用の肉を使っているので、ちょっとレア気味に揚げています」という竜田揚げは、分厚くて柔らかい。馬肉やくじらが大好きなきたろうさんの顔が、いつも以上にえびす顔になり、もう1枚赤札が増える。そして“これだけは食べて帰りたい一品”として、煮込みのつゆを使った「〆のうどん」が登場。47年間継ぎ足されてきた煮込みの、コクのある深い味わいは、うどんと相性抜群で、ツルツルとお腹の中に収まっていく。こちらは初めてのピンクの札。390円ナリ。

ご主人の夢は、この店が100年続くこと。残りの52年、ずっとご主人が切り盛りするのは難しい。となると、自分がそうであったように、いつか現れるであろう後継者に、味も暖簾も看板も、今と変わらぬ形で店を継いでもらいたいと願っているという。今あるものをやめたり変えるより、継続することは何倍も難しい。それを承知で店を守り、次に伝える価値がこの「店」と「煮込み」にはある。その価値は、赤札がカウンターに刺さる度に増していくのだ。

蔦八の流儀
その壱
まずは大鍋で作る名物の煮込みを食すべし!
カウンターの中でひときわ存在感のある大鍋で、美味しそうな湯気を立てる煮込み580円(たまご・豆腐入り、税込)
その弐
先代から受け継がれる味 アジの南蛮漬けを食すべし!
看板の煮込みと対をなす一品。酢が効いていて、口に残った煮込みの脂っぽさを、さっぱりさせてくれる。アジの南蛮漬け580円(税込)
その参
母親手作り懐かしの味 くじらの竜田揚げを食すべし!
刺身用のくじらを、少しレア気味に揚げた竜田揚げ。くじらの肉は硬いという固定概念を打ち崩す柔らかさ。くじらの竜田揚げ580円(税込)
その四
必ず煮込みの汁をかけた〆のうどんを食すべし!
煮込みのつゆを使ったうどん。牛もつや各種野菜の旨みが溶け込んだつゆは、意外にあっさり。〆のうどん380円(税込)
きたろうさんから、蔦八へ贈る「愛の叫び」レトロを守る感性は家族愛と味にあり!———きたろう
「煮込 蔦八」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都大田区大森北1-35-8
03-3761-4310
17:00〜23:00(日曜、祝日は〜22:00)
不定休
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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