BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2017/2/11放送 #131 大滝

16歳で酒場に立ってから44年戸越の肝っ玉女将が作る懐かしいおふくろの味
両親におねだりして始めた夢の酒場

東京でも有数の人気商店街、戸越銀座。風情と人情が残るこの場所で、酒場「大滝」は今年創業46年目を迎える。「根性入ってるね、そのネジり鉢巻き!」と、きたろうさんが声をかけたのは、店の女将・滝沢るり子さん。いい匂いと活気にあふれているが、どこかしら女性らしい穏やかさもある店内で、まずは乾杯。焼酎ハイボールの炭酸が喉を刺激し「あー、旨っ!」の言葉が飛び出したところで、最初のおすすめをお願いすると「ポテトサラダなんかどうですか?」と女将。実に定番……だが、これが変わっている。この店では、ほとんどの料理を注文を受けてから作り始める。自慢のポテトサラダも、まずジャガイモを温めるところから始めるので、客前に出てきたときにはまだ温かい。作り置きの冷めたポテサラとは違うホカホカのポテサラに、きたろうさんの顔もほころぶ。

昭和47年の創業時、女将はまだ16歳。女将の母・トミさんは言う。「この子が中学生くらいの時から、こういう店が欲しいって。それでしょうがなく“じゃあ始めましょ”って」。女将は「うちの親は、食べるのが好きで毎週どこか食べに連れてってくれて。で、私が一番行きたかったのが焼き鳥屋さん」と、夢の始まりを語るが、10代で酒場を開きたいとは、相当に変わっている。最初の2年こそトミさんが一緒だったが、高校卒業後は一人で店を切り盛りするようになった。「包丁はどこで覚えたの?」と、きたろうさんに訊かれ「お寿司屋さん」と答える女将。でも、修行に行ったのではない。「お客さんに、お寿司屋さんの息子さんたちが5人くらいいて、早い時間にわざわざ来て、教えてくれたの」という。西島さんが「それ絶対、女将のことが好きでしたよ!」というと“さぁ、どうでしょうね”といった顔の女将。泣いた男もいるだろうが、孤軍奮闘する夢見る10代の女将を見れば、助けたいと思うのが人情というものだろう。

細腕一本で2億円返済!

次のおすすめをお願いすると、「青森のもずくを取り寄せてるのね。それを卵で焼くと和風キッシュみたいな感じになるの」と女将。もずくにキッシュ? 想像がつかない二人の前に出てきたのは、ビストロで出てくるキッシュ風の一皿。「青森のもずくって、コリコリしてて食べるとふわっとした感じ。弾力がすごいですね。あぁ美味しい」と西島さん。一見、合うと思えない取り合わせをまとめるこのアイデア。女将の腕は確かだ。続いてはじゃがいもを千切りにして、明太子としらすと焼いたガレット風。フランスの丸く薄い郷土料理で、そば粉を使うことが多いガレットだが、こちらではチーズをつなぎにジャガイモをサクサクに焼く。これには「うまい。変わったことやるねぇ」と、きたろうさんも感心。ちょっとパリパリな食感がポイントで、焦げ目がまた美味しい。

長く厨房に立ち続ける女将だが、その道のりは平坦ではなかった。「お父さんが建築会社を経営してたけど、失敗してね。借金2億置いていなくなっちゃって」という告白に一同びっくり。「ウソでしょ…、その2億誰が背負ったの?」と、きたろうさんが聞くと「この店で全部返した。もう大変だった」と女将。そんなに儲かるもの?と訊かれ「内緒よ」と笑う女将の顔に、いたずらっぽい表情が浮かんだ。

最後のシメの一品をお願いすると「お母さんの焼きめしとかどうですか?」と女将。いい匂いがする焼きめしを頬張ったきたろうさんは「チャーハンとは確かに違う。お母さんが作るチャーハンだな」と満足げ。「お野菜がたっぷりで、若い子も喜ぶじゃない?」という女将に「初めて食べたのに、どうしても懐かしいんですよ。なんでしょうね、不思議ですね」と西島さん。おふくろの味を売りにする店は多い。しかし、おふくろの味を決めるのは腕ではなく、気持ちや心。「自分が食べる気持ちになって作ってあげたい。こんなの食べたらうれしいなとか、食べたいな」とか考えて作るという女将の料理には、きっと“おふくろの気持ち”がいっぱい詰まっているのだ。

大滝の流儀
その壱
まずは女将手作り ほっこり温かいポテトサラダを食すべし!
注文を受けてからジャガイモを温め、皮をむいて作るポテトサラダ。あったかポテトサラダ750円(税抜)
その弐
青森県産のもずくを使ったオリジナル料理和風キッシュを食すべし!
香りと歯ごたえが抜群の青森のもずくを、卵でとじて焼いたアイデア料理。青森のもずくのキッシュ750円(税抜)
その参
お店オリジナルの料理 新じゃがのガレットを食すべし!
千切りにしたじゃがいもと明太子、しらすを焼いてガレット風に。新じゃがのチーズとしらす・明太子のガレット750円(税抜)
その四
必ず昔懐かしい味 お母さんの焼きめしを食すべし!
中華の炒飯ではなく、家庭の焼きめし。野菜たっぷりで、紅生姜が乗った人気の一品。お母さんの焼きめし750円(税抜)
その伍
料理は自分が食べて 納得するものだけを提供
自分が食べたいと思うもの、食べたらうれしくなるものを作りたいという女将。だからこそ、一品一品を大切に作る。
きたろうさんから、大滝へ贈る「愛の叫び」16才の夢酒場でしっかり咲いていた———きたろう
「大滝」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都品川区平塚2-18-3
03-3785-6082
17:00〜23:00
日曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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