BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2017/2/25放送 #133 ささや 北千住

大衆割烹の二代目に生まれ、寄り道はしたけれど、やっぱり酒場を開いた男の物語
家業が嫌いで、一度は違う道を選んだご主人

今回訪れた酒場は、足立区北千住のときわ通り商店街にある「ささや北千住」。並びの酒場と比べて、小粋な外観が目を惹く一軒だ。店に入ると、2人は食欲をそそる煮込みの匂いに包み込まれ、早速「焼酎ハイボールをお願い!」と、ご主人の草野英雄さんにオーダー。常連さんとの乾杯もそこそこに、カウンターの目の前に鎮座する大鍋で、湯気を立てる煮込みをいただくことに。そこで2人の目に留まったのが、串に刺さった珍しい煮込みのスタイル。そこからご主人が選んでくれたのが、おっぱい、ふわ、シロの3本の串煮込み。「おっぱい」を食べたきたろうさんは一言「柔らかい……」と、その食感を楽しみ、西島さんは「ふわ(=肺)」を頬張り「こんにゃくとお豆腐の中間くらいの、ふわふわした歯応えですね。それにあっさりめ」と、初めての素材に興味津々。もつとは思えない上品な味について「味付けはお味噌しか入れないんです。他の調味料は入れません。もつの美味しさと、野菜も少し入れますので、そのエキスが味を決めます」と語る。

ご主人は店を始めて今年で10年。それまでは建築設計の仕事をしていたという。「実家が飲食店をやっていて、小さい時は休みもないので、遊んでもらえず、本当にこの仕事が大嫌いでした。飲食だけはやりたくなくて設計事務所に入ったんですが……」と笑う。しかし29歳にして、飲食業で独立することを決意し脱サラ。両親の紹介で寿司屋で働き始め、7年間の厳しい修行に耐え、さらにもつ焼きの名店「ささもと」に弟子入り。39歳で念願のお店を開業した。そんなご主人の自慢の1串が「ミョウガ巻(1本216円)」だ。豚バラを巻いたミョウガを大鍋で煮込み、炭火で焼き上げ、最後に特製味噌を塗るという手間のかかった串で、「イイ匂いがする。ミョウガの中に煮込みの汁の味がグイグイ染み込んでいて噛むと出てくる! これは美味しい」と西島さんは満面の笑み。

真面目なご主人を支え続けた妻

「次は珍しいものを出したいと思います」と、ご主人が出してくれたのは煮込みの出汁にツルンと白いものが入った「ブレ煮込み」。さて、その正体は?という趣向だが「なんだろう、このふわふわの感じ。うまいなぁ、なんか白子みたいな……」というきたろうさんに「実はブレンズと言いまして、豚の脳みそです」とご主人。初めて食べる食材に、きたろうさんもびっくり。確かな料理の腕前に加え、食材への並々ならぬ探究心がうかがえるご主人を、常連さんたちは「仕事も遊びも一生懸命。真面目ですよ」と讃える。「あと、掃除が綺麗でしょ?」と言われ「そうなんですよ。入った時にびっくりしたんですよ」と、きたろうさん。開業して10年の煮込屋とは思えぬピカピカの店内は、閉店後2時間かけて行う掃除の賜物。「(修行に行っていた)お寿司屋さんがすごく厳しかったところで……」と、ご主人は笑うが、店へのひとかたならぬ愛情がうかがえる。

そんなご主人を支えているのが妻の響子さん。友人の紹介で知り合ったのは、ご主人が独立準備の真っ最中だった10年前。結婚後は掃除などを手伝い、忙しく働くご主人に寄り添ってきた。そんな夫婦の絆が生んだ一品が、今回の“必ず食べて帰りたい”一品、「レバーペースト」だ。「すごくきれいな盛り付け!」「これはフレンチだね。うまいペーストだね、これだけで十分だよ」と、西島さんもきたろうさんも大絶賛。西島さんに「売って欲しい」とまで言わせしめたレバーペーストは、ちょっと甘みがありつつ、さっぱり。野菜たっぷりの優しい味で、そもそもは響子さんのレシピだったという。それにご主人がアレンジを加え、今やこの店の人気メニューになった。西島さんに「奥様に感謝してますか?」と聞かれ、「すごく感謝してます。すごく支えられました」と真っ直ぐに答えるご主人。そして、そんなにご主人にはにかむ響子さん。この2人の支え合いが続く限り、店はピカピカに磨き上げられ続けるに違いない。

ささやの流儀
その壱
まずはお店の名物 串煮込みを食すべし!
名物の煮込みの味付けは味噌のみ。そこに具材から出る旨味が加わって、この絶品の味となる。串煮込み(おっぱい・ふわ・シロ)648円(税込)
その弐
絶品珍味 ブレ煮込みを食すべし!
白子のような食感の正体は、ブレンズと呼ばれる豚の脳。ほかでは滅多にお目にかかれない希少な部位だ。ブレ煮込み864円(税込)
その参
必ず自家製レバーペーストを食すべし!
塩とブランデーで一日漬けたレバーと、野菜を炒めたのちに、ミキサーにかけてペースト状に。そしてブランデーとハチミツで味を整えて冷やす……と手間のかかった一品。自家製レバーペースト648円(税込)
きたろうさんから、ささやへ贈る「愛の叫び」妻の目に大将ともつ煮への愛を見た。———きたろう
「ささや 北千住」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都足立区千住2-65
03-6661-3773
16:30〜23:00
日曜(月曜祝日の場合 日曜営業)
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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