数え切れないほどの飲食店が立ち並ぶ、上野中通り商店街。酒場の激戦区・上野にあって、男性のみならず、女性に高い人気を誇る「れんこん」が、今回の酒場。お店を切り盛りするのは、母から暖簾を受け継いで3年になる2代目のご主人、菅谷潤さん。まずは母の桂子さんも加わって、焼酎ハイボールで乾杯! この店の人気の秘密は、独創的で多種多様な“れんこん料理”が味わえること。早速、最初のおすすめ料理「からしれんこん」をいただくことに。白いれんこんに、色鮮やかなからし。「れんこんが大きいね。うん、おいしい。これは何にもつけずに食べるといいね」、「食感がシャキシャキ、いいですね」と、きたろうさんと西島さん。ご主人によると「お味噌ですとか、おからとか、いろいろブレンドして、ちょっと辛さを控えめにしています」とのこと。
もともと、上野に酒場を開業したのは、母・桂子さんの父だった。平成10年、父から店を受け継いだ桂子さんは、建物を建て替える際に、店名を「れんこん」と改名した。「うちの母親がよく“ん”が屋号につくと、“運”がつくと言っていたんですよ。で、“れんこん”だと“ん”がふたつ付くじゃないですか。それに後付けの理由ですが、不忍池のハスの花も有名だし、ちょうどいいかなって」と桂子さん。実はこの店、れんこん料理を出すから、この屋号になったのではなく、この屋号になったから、れんこん料理を出すようになったのだ。「最初は、れんこん料理がほとんどなくて、なんとかしなくちゃと思って、息子が入ってからいろいろメニューを考えていったんです」という。そうして増えたメニューが受けて、店は大繁盛。まさにれんこんが、運を呼んでくれたのだ。
「次は、れんこんのちょっと違う表情を」と、ご主人が出してくれたのは「れんこんのふろふき風 そぼろあん掛け」。「これは珍しい。いやー、まるでふろふき大根みたいだ」と、見た目できたろうさんを驚かせるが、ひとくち食べて、今度はその柔らかさに驚くことに。きたろうさんが「糸がすごく引くんですよ。この糸が強い。で美味しい。糸引く味という感じだね」と言うと、「それを言うなら、後引く味ですね」と突っ込む西島さん。いやいや、この店では“糸引く味”の方が相応しい。
れんこん料理はまだ続く。次は擦ったれんこんを使った「れんこんと帆立の蒸ししんじょう」。シュウマイの皮の細切りをまとい、中身は擦ったれんこんと帆立が入っている。れんこんと言われなければ分からないほどの仕上がりだが、時折れんこんのシャキシャキが感じられ、それがまた良し。続いては店のオープン時から出している、定番の「れんこんと海老のはさみ揚げ」が登場。アツアツを頬張ると、その食感と紫蘇の香りがベストマッチ。煮る、焼く、蒸す、揚げる……。さらには違う素材と組み合わせ、一品ごとにれんこんは全く違う表情を見せる。「れんこんのカナッペ」「れんこんニョッキ クリームソース」「フライドレンコン 磯部風味」などなど、れんこんメニューは今や20種にものぼる。れんこんは、化学肥料を使わず、丹精込めて育てる茨城県の農家「山口ファーム」から、週に3回届く。その山口ファームの代表は、月に一度は店を訪れ、れんこん料理を食べるお客さんの満足そうな顔を見て、幸せを実感すると言う。
最後の一品は「れんこんおこげ」。お米とれんこんを潰したうえで、カリッと揚げ、さらにかにの餡をかけるという、手間のかかった一品。「中華風になりましたね。れんこんの印象が変わる!」という西島さんと、「天ぷらとはまた全然違う。これはこれでうまいね」と、きたろうさん。ここまでずっと、れんこんづくしだが、まるで飽きさせない。体に良くて、おいしくて、料理の幅が広い。女性のお客さんが多いのも納得だ。