BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2017/09/23放送 #159 深川まごろく

寿司屋から焼き鳥屋へ暖簾を変え 門前仲町の人情に支えられながら人気店へと育て上げた三代目主人
新鮮な筑波鷄の串と、きめ細かな心遣い

落ち着いた街並みに下町情緒を感じさせる門前仲町。その一角に、割烹を思わせる店構えの焼き鳥店「深川まごろく」がある。「ちょっと高級なんじゃないの?」と、きたろうさんが暖簾をくぐると、広めのカウンターと、焼き場の前で腕をふるうご主人・新堀敏也さんが迎えてくれる。自慢は、ご主人自らが捌く朝締めの新鮮な鳥を使った焼き鳥の数々。まずは焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。そして自慢の串を焼いていただくことに。「今日はレバとハツを、塩でお焼きします」と、鮮度が命の部位からスタート。鶏は水と空気が綺麗な筑波山麓のふもとで育った筑波鷄。ここで、きたろうさんが焼き場の“あるもの”に気づく。「そのお湯は何のためにあるんですか?」。これはアツアツで焼き鳥を出すために皿を温めるもの。こだわりの焼き鳥ゆえに、隅々まで心遣いが行き届いている。出てきたレバとハツは、どちらもプリッとツヤツヤ、ボリュームたっぷり!「うわぁ〜、立派」と歓声が上がるほどで「上品な出し方だね。ふわふわ。これだけレアで、塩で出せるレバって相当新鮮ですよ」、「アツアツのプリプリ。ハツって焼き過ぎるとギューっとしまっちゃうけど、これは絶妙」。

次の串をお願いすると「珍しいところで、ツナギという部分をタレで。ハツ元という心臓のところの、一番太い血管を集めています。1日に1本か、2本しか出せないところです」とご主人。食べてみると、これがまた独特の食感。「他の部位では味わえないね」、「軟骨まではいかないけど、少し歯ごたえがある。クリッ、コリッぐらいの歯ごたえ、美味しい!」。素材もさることながら、ご主人の“焼き”の腕前も相当なものだ。

弱気になってもめげずに再び前を向く

店はオープンして18年だが、ご主人は三代目。先代までは寿司屋を営んでいた。「父が早くに亡くなり、母が寿司屋をやっていたんです。私も小さい頃から寿司屋になると思っていたので、和食修行に行きまして、そこで……」と言い淀み「実は甲殻アレルギーだと分かり……」と衝撃の告白。泣く泣く寿司屋を諦め、22歳で銀座の焼き鳥の名店で修行を開始、24歳で実家の寿司屋を改装して店をオープンさせた。先代でご主人の母、高子さんは「本人がやりたいならいいんじゃないかなって。それより子供に継がせなきゃって……」と、息子の決意を聞き1、2ヵ月後には店を畳んだという。地元や先代のお客さんが支えてくれて店は忙しかったが「ただただ不安で、最初の3日でやめようかと。自分のお客さんがなかなか付かなくて、朝に仕込みをして、昼に近所の会社へチラシを配りに行ったり……」。義理と人情に厚い街、しかしそれだけではダメだと危機感を持ち続けた。そもそも駆け出しの時、“美味しいよ”って言われても、“本当かな?”と思っていたというご主人。店を手伝う妻の美代子さんによれば「弱気になって自分で完結して、また頑張ろうって自分でやる」というご主人の前向きな性格で、今も腕を磨き続けているという。

次の一品は珍しい「エゾ鹿のタン」。北海道の漁師から仕入れ、好みで柚子胡椒をつけて食べる。「噛みごたえは確かにタン。でも甘みがすごいですね」、「噛めば噛むほど美味しいって感じだね」と、珍しい食材に舌鼓を打つ。そして最後の締めの一品は、意外な一品「お雑煮」。「鶏のスープで作っています」とご主人が出してくれた椀物は、お餅の焼き具合も抜群。「鶏出汁のお雑煮って珍しいですよね。この美味しいお出汁を、飲めるのが嬉しいです」と、西島さんは大満足。

18年も店が続いた理由を「自分じゃなく、お客さんに支えていただいただけです」と謙遜するご主人。ただ「お客さんに喜んでいただくのは当然ですけど、僕らも一緒にこの空間を作っているので、(お客さんと自分たちが)楽しんで一日の疲れを落とせればいいと思っています」と語る。ちなみに店の後継者について聞くと「子供たちも小さい時は焼き鳥屋をやりたいと、言ってたんですが……」とのこと。きたろうさんが「息子は甲殻類大丈夫なの?」と訊ねると、「アレルギーはないですね」とご主人。「じゃあ、寿司屋に戻せばいいよ」と、きたろうさんのアドバイスに店中が大笑い。こんな楽しい夜が、門前仲町の人情を育んでいるのだ。

深川まごろくの流儀
その壱
まずは塩で頂く 新鮮なレバとハツを食らうべし!
朝締め筑波鷄をご主人が捌き、串を一本一本仕込む焼き鳥だけに、その新鮮さは折り紙つき。ハツ(塩)一本300円、レバ(塩)一本300円(共に税別)
その弐
最高の状態で提供するためお皿をも温める!
こだわりの焼き鳥だけに、お客さんの口に入るまで最良の状態でお出ししたいと、お皿を温めて肉の温度が下がらないように気を使う。
その参
希少部位「つなぎ」を食らうべし!
鶏の心臓の一番太い血管を集めた串は、1日に1本か2本しか出せない珍しい串。つなぎ(タレ)一本300円(税別)※数量限定
その四
北海道の猟師から直送 エゾ鹿のタンを食らうべし!
タンの食感がありながら、肉に甘みがあり、噛めば噛むほどに旨味が増す感覚がある。エゾ鹿のタン二人前1,800円〜(税別)※仕入れ次第
その伍
〆には必ず鶏の出汁を使ったお雑煮を食らうべし!
鶏のスープで仕立てた〆の一品。お餅がお腹を満たすのと同時に、滋養ある鶏スープが内臓を癒す。お雑煮500円(税別)
きたろうさんから、深川まごろくへ贈る「愛の叫び」 寿司がやき鳥に変わろうと魂は変わらず。―――きたろう
「深川まごろく」
住所
電話
営業時間

定休日
東京都江東区牡丹3-6-1
03-3641-3831
火〜金曜17:00〜23:00
土・日曜17:00〜22:00
月曜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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