日本橋と言えば五街道の起点であると同時に、江戸の頃からの名店、老舗が軒を連ねる街。そんな日本橋のど真ん中に“安く飲めてうまい”と、知る人ぞ知る酒屋が営む酒場があるという。今回きたろうさんと西島さんが訪れたそこは、店の外には煙草の自販機が並び、入り口は自動ドア。「本当に酒場があるの?」と思うが、そこから小さな暖簾をくぐって地下1階に下りていくと、コの字形のカウンターと女将の小倉佳子さんが待っている。まずは一杯と、いつもどおりにオーダーすると「うちは酒屋なので、そのままって感じで」と、女将が出したのは、缶の焼酎ハイボール。「これじゃあ(元の)値段が分かっちゃうじゃない」と、笑いながら常連客と仲良くカンパイ!
そして、この店一番の名物といえるのが、女将曰く“8時半の女”こと、お母さんのキイさん、85歳。「私、スポーツセンターで体を動かすことが生き甲斐なんで、お店は娘に任せきり。お店は私が50歳の時にビルを建てて、それから娘と一緒にやってます」というお母さんに、「日本橋の一等地でビル持ってんの! それならもうちょっと高級感のある店にすりゃいいのに(笑)」ときたろうさん。
店を切り盛りする女将は、生まれも育ちも日本橋の生粋の江戸っ子。若かりし日の女将の写真を見て一同大盛り上がり。「女将! めちゃめちゃ美人じゃないですかぁ!」と西島さんが感嘆すれば、「もう使用前、使用後みたいなもので」と女将は謙遜。いやいや小学校以来の幼馴染みが常連客として集うところをみると、昔も今もマドンナ的存在のようだ。
と、ここできたろうさんがしびれを切らして叫んだ!
「もう! それよりおつまみ!」
ついつい話が盛り上がりすぎてしまう店なのだ。
まず最初の一品は、すり下ろしたじゃがいもにキムチを加えて焼いた「じゃがキムチ」。シンプルな料理だがモッチモチのジャガイモの食感と、キムチのシャキシャキ感がたまらない。キムチの辛さも丁度良く、しょうゆをちょいとつけて食べると実にいい酒のつまみになる。「これはありそうでないメニューだよ。ネギがまたいいね」ときたろうさん。次に「娘が焼いてくれました」とお母さんが出してくれたのは「げそわた焼き」。ホイル焼きにされたイカのげそと、わたの焼けた匂いに西島さんの顔は緩みっぱなし。好みのつまみとなると言葉が短くなるきたろうさんは、「いい匂いだ」「イカぁ」「うまい」「酒のつまみには最高だ」「このワタの苦みが何とも」と、どんどんコメントが短くなる! 新鮮なイカのわただからこそのクセのない苦みと、あの食欲をそそる香り。酒好きにはたまらない、最高のおつまみだ。
最後にいつもの「これだけは食べておきたい」というメニューをお願いすると、女将親子にとっての家族の味「ネギ玉」が登場。ネギがたっぷり入ったアツアツの卵焼きは、フワフワでしょうゆをつけてもOKだが、そのままでも頬張っても口の中に優しい味が広がって美味しい。大変な手間や時間のかかる料理ではないが、ココにくればどうしてもほしくなってしまう、そんな安らぎを感じる味なのだ。
「女将さんにとって、お母さんはどんな人でした?」と西島さんが聞くと、「けっこうねぇ、キツいですよ。キツいっていうより厳しいかなぁ。男ばかりで女手が必要で頼られましたから、まぁ頼られたところが磨かれて良かったんじゃないかと思います」。寝たきりだったお姑さんの介護をやりとげ、元気でいる限り店に立ちたいというお母さん。そんな母を支えて35年、店を始めるまで飲食店で働いた経験もなかったが、今や30数種類もの料理のレパートリーを持つほどになった女将。こんなに元気で素敵なお母さんと女将さんが作ったネギ玉やげそわた焼きなら、グッと元気をもらえること、間違いない。
-
焼酎ハイボール(330円 税込・氷代含む)をオーダーすると、氷の入ったアイスペールと缶の焼酎ハイボールが出てくる。最初から2缶頼む常連さんもいるとか。
-
ふんわり焼き上がったジャガイモとキムチのシャキシャキに、青ネギの香りがアクセントになった、この店の名物料理。500円(税込)
-
新鮮なげそとわたをホイル焼き。その香りが酒呑みにはたまらない一品。480円(税込)
-
刻んだ青ネギを加えたオムレツ風の玉子焼きは、是非ともアツアツのところを頬張りたい。440円(税込)
-
住所
電話
営業時間
定休日 -
東京都中央区日本橋1−14−6
03-3271-3310
17:30〜22:00
土曜・日曜・祝日
- ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。