BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2017/12/23放送 #171 可呂久

シロガネーゼが闊歩する街で先代女将の言葉を胸に絶品家庭料理を出す老舗酒場
映画のワンシーンのような店の佇まいに引き込まれ……

白金商店街の路地を曲がると、正面に見える赤提灯。ここは創業54年を迎える東京港区白金にある老舗酒場「可呂久」。お店を切り盛りするのは2代目の女将、小川博子さん。女将の作る家庭料理はもちろん、女性の一人客も多いという気楽な雰囲気が人気の店だ。焼酎ハイボール2杯を頼み、常連さんと乾杯を交わし、早速オススメ料理をいただくことに。「うちのオススメは、串の盛り合わせで“可呂久のおまかせ5種盛り”というのがあります。ちょっと時間がかかるので、先に“ぜんまいと新ニンジンのナムル(400円・税別)”を出します。これが突き出しなんです」と女将。串は注文を受けてから串打ちするスタイルで、それを待ちつつ小皿料理をつまみながら飲むというのが、この店の流儀のようだ。

ナムルは野菜を下ごしらえしたのち、ごま油、コチジャン、酢などで味付けしたもの。「うん、うまい。手間暇かかっているのが分かるよ」と、きたろうさん。料理は女将さんが一人で作り、揚げ物料理だけは従業員で“揚げ物女王”の異名を持つ小沼裕子さんが作る。「博子ちゃん(女将)が、やりたくないことには“女王”というタイトルをいただくんです」と笑う小沼さん。そろそろ串焼きが出来たかと思うと、もう少し……。そこで「里芋の煮転がし 柚子風味(650円・税別)」をいただくことに。代々伝わるおばあちゃんの煮方、味だという里芋に「これはね、もうレシピでは作れないよ。上品でうまい」と、きたろうさんの顔がほころぶ。

そしてようやく登場した串盛りは、豚バラに頬肉、レバーと大山鶏などバラエティ豊か。「もう母(先代)の時代から、仕入れの皆さんがいいものを入れてくださる」という串は、どれも新鮮で上質のものばかり。仕入れ業者と先代との信頼の厚さが伺える。

今の女将を育て上げた先代の生き様

先代の小川千恵子さんが白金に開業したのは昭和39年のこと。「そもそも母は主婦で、商売をしたことがなかったんです。串焼きをやろうという話になって、それにはタレが必要だというので、新橋の焼鳥屋さんに行って修行もしないのに“すみません、白金で店をやるのでタレをください”って」。この逸話には「まさかの!」「怒られますよ」と一同絶句! 「そこの大将が“分かったよ、一壺持って行きなさい”って。母は車で乗りつけていたので、壺を持って帰れたという……」。これには「金持ちだねぇ。そこは普通、リアカーで持って帰ったっていうところだよ」と呆れつつ、きたろうさんは「もうよっぽど一生懸命で、かわいくて、何とかしてあげたいと思わせる何かが先代にあったんだね」と笑う。そんな先代が亡くなり、平成22年に娘の博子さんが暖簾を受け継いだ。

次の一品「手羽先唐揚げ にんにく醤油風味」を揚げ物女王が作る間に、創業当時からある「胡瓜の冷菜(600円・税別)」をつまむ二人。「考えてるね、箸休めまで」「さっぱりしているけど、ごま油が効いていますね」と、言っているところに熱々の唐揚げが登場。「にんにくが効いていて美味しい。またここにきてお酒がすすみますね」と、西島さんが褒める。いつもより多めのメニューを堪能し、最後の〆は「男子の焼き飯」。もともとアメリカンフットボールをやっていた女将の長男に出していた、いわば裏メニュー。それが評判となって名物になった一品だ。「お母さんの焼き飯って感じでうまいね〜」、「手作りの味がする。このなんとも言えない出汁と味付け」。しいたけから出る旨味が決め手という焼き飯は、高級中華店で食べるそれに引けを取らない。

常連さんは、先代と女将が料理の上手さも含め、よく似ていると語る。「母は一生懸命やることを、私に見せて教えていましたね」と女将。「何十年か続けてきて思ったことだって言っていたんですけど、“自分が本当にきつい時は「あ」が三つ。諦めない、焦らない、慌てない”。それから“99回店に来てくださったお客様に、100回目に無作法したら101回目はない”とも言ってました」。人としての生き方、酒場の作法をきちんと受け継いだ女将は、毎夜家に帰ると「今日も無事に終われた。賑やかだったし、本当にありがたい」と先代に報告するという。すると「よく頑張ったね」と先代の声が聞こえるのだそうだ。いつか母を超えられるだろうか? そう思いながら女将は、日々笑顔を絶やさない。

可呂久の流儀
その壱
まずは注文を受けてから串打ちする串焼き5種盛りを食らうべし!
先代が新橋で手に入れたタレを使った串焼きの盛り合わせ。豚バラの豆苗巻き、豚のほほ肉、大山鶏のもも肉、豚のレバー、しいたけ。可呂久のおまかせ5種盛り1,500円(税別)
その弐
揚げ物の女王が作る手羽先の唐揚げを食うべし!
下味をつけた手羽先を約180℃の油で6分ほど揚げ、自家製にんにく醤油にくぐらせた一品。手羽先唐揚げ にんにく醤油風味700円(税別)
その参
〆には必ず女将自慢の家庭料理 男子の焼き飯を食らうべし!
みじん切りにした、しいたけの出汁が味の決め手。男子の焼き飯830円(税別)
その四
諦めない! 焦らない! 慌てない!
先代から聞いた、“本当にきつい”と思った時に思い返す三つの「あ」で始める言葉。
その伍
100回来てくれたお客さんでも不作法をしたら101回目は無い!
親しい常連さんであっても、馴れ合ったり、失礼なことをすれば、そのお客さんは去っていく。その戒めを説いた、先代の言葉。
きたろうさんから、可呂久へ贈る「愛の叫び」 セレブで 大衆的な感じ たまらネーゼ。―――きたろう
可呂久
住所
電話
営業時間
定休日
東京都港区白金1-15-13
03-3444-1539
月〜金曜 17:00〜23:00
土曜・日曜・祝日
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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