BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2018/3/10放送 #181 やきとん 沼袋たつや

鉄道からもつ焼きへ ニンニク味噌タレの味に魅了され 人生の路線を切り変えた男の物語
1本の串焼きが、28歳のご主人を変えた

西武新宿線を沼袋駅で降り、路地に踏み入ると見えてくる赤提灯。「やきとん 沼袋 たつや」は平成22年に創業した、自家製ダレのやきとんをはじめ、数々のもつ料理で人気の店だ。ご主人は藤井龍成さん。焼酎ハイボールをお願いすると、焼酎と氷入りのグラス、ソーダが別々に出てくる。好みの濃さで作れるところが、酒呑みの気持ちを分かっている。常連さんと乾杯を交わし、最初のオススメをお願いすると、もつの冷製3種盛りが登場。部位はがつ(胃袋)、こぶくろ(子宮)、たん(舌)。お好みで醤油にゴマ油などを加えていただくと、これが抜群。「これが“がつ”か。冷たくてうまい。肉もうまいね」、「すごくさっぱりしてる。食感もコリコリしていて、臭みもないし。こぶくろの冷製って、ありそうでないですよね。焼いたのしか食べたことないけど、この冷製、プリプリで美味しい!」と2人を唸らせる。

ここできたろうさんが、店中に飾られた鉄道の看板や路線図に気がついた。ご主人は若い時からの熱心な鉄道ファン。「あの路線図は昔、私が勤めていた会社の路線図です。学生アルバイトで、いわゆる押し屋さんを下北沢とかでしていました。大学進学を理由に上京したのに、駅で仕事をする方が長くなっちゃって……」。その結果、大学を中退。鉄道会社はもちろん、航空、バスなど様々な企業の入社試験を受けるが就職先は決まらず、28歳の時、人生を大きく変える運命の出会いを果たす。「うちの近所にもつ焼き屋がオープンして、そこで味噌ダレにハマって。お金のない20代なんで、中に入ったら食べられるんじゃないかと」。食べた瞬間、その店のタレの虜になり、5年の修行を積んだ後、33歳で開業した。そんな人生を変えた味噌ダレで、ちれ(脾臓)とあみはつ、かしら(こめかみ)の3種をいただくことに。「このかしら、脂身と肉感の相性がいい。あみはつは網脂が本当に甘いですね。脂はしっとりしているけど、はつ(心臓)はシャキシャキ。それに味噌ダレ、パンチがあるなぁ」、「これ、ニンニクだね。ニンニクの味噌ダレだね。いい匂いするもん」。まさにクセになる味。ご主人の人生軌道修正も、理解できるというものだ。

鉄道と同じくらい好きなものを仕事にできた喜び

沼袋にお店を開いた理由は、普通列車が特急・急行の通過待ちをする駅だからという。「通過待ちをする時に我慢ができなくなって、うちのことを知ってるお客さんが降りてくれるかなと」。そんなご主人を支えたのが、会社勤めをしている奥さん。鉄道趣味を理解し、開店資金も出してくれた。ご主人のやりたいことを否定せず「やってること、生きてることに関して、一緒に楽しんでくれる」と、ご主人は言う。

次のオススメは塩焼きの「トマト肉巻き」、タレ焼きの「てっぽう(直腸)」と「はらみ(横隔膜)」。てっぽうは肉厚で歯ごたえが良く、西島さん曰く「噛めば噛むほど美味しい」。はらみは間違いのないうまさで、中からじゅうじゅう旨味が溢れ出す。変わっているのはトマト肉巻き。普通はプチトマトを使うところだが「それはみみっちいなと思って」と、大きなトマトのカットに豚肉を巻き、塩胡椒にハーブ系スパイスをかけて焼き上げる。味噌ダレだけでなく基本の串もお手の物のようだ。

最後にこれだけは食べて帰れのメニューお願いすると、「もつカレーを」とご主人。メインの具材が“もつ”というカレーで、ご飯ではなくパンにつけて食べる。パンは炭火で水分を飛ばし、カリッと焼く。「いい匂いがするなぁ。もつがモリモリ入っています」と西島さんが一口頬張ると「結構スパイシーですね。あぁ美味しい、これパンに合う」とお気に入りの様子。「カレーだけをつまみに食べる人もいます」というのも分かる、つまみとしてのカレーに大満足。最後に店を続けていく秘訣を訊くと「好きなことをするだけです。自分が楽しむのが第一。多分この仕事をずっとやっていくんだろうと思います。車窓と一緒で飽きないです」と、ご主人。あれだけ好きな鉄道と同じくらい、串焼き屋が好きだというご主人は、満面の笑みを浮かべて今夜も焼き場に立つ。

やきとん 沼袋たつやの流儀
その壱
まずは新鮮なもつを使った冷製3種盛りを食すべし!
前菜として串ものを頼む前に注文したい一皿。がつ(胃袋)、こぶくろ(子宮)、たん。冷製の3種盛り合わせ500円(税別)
その弐
ご主人の人生を変えた特製味噌ダレでもつ焼きを食すべし!
ニンニク味噌ダレには、肉の味が強い部位がオススメ。ちれ(脾臓)100円、かしら(こめかみ)110円、あみはつ(はつ=心臓に、網脂を巻いた物)130円(各1本・税別)
その参
人気のトマトの塩焼きと醤油ダレのもつ焼きを食すべし!
ニンニク味噌ダレ以外の醤油ダレや塩焼きも絶品。醤油だれのてっぽう(直腸)/はらみ(横隔膜)110円、塩焼きのトマト肉巻き180円(各1本・税別)
その四
〆には必ず名物のもつカレーを食すべし!
3時間煮込んだもつに人参、大根、ごぼうを入れ、カレールーとスパイスで味付け。もつカレー400円(パン付き・税別)
きたろうさんから、やきとん 沼袋たつやへ贈る「愛の叫び」 沼袋で見つけた人生の幸福駅 もつの味はグリーン車 ―――きたろう
やきとん 沼袋 たつや
住所
電話
営業時間

定休日
東京都中野区沼袋3-27-6 1階
03-5942-9986
月〜土曜 17:00〜24:00、
日曜、祝日 17:00〜23:00
不定休
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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