BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2019/1/19放送 #220 居酒屋 のんき

二人の子供を育てるために 女ひとりで守り続けた暖簾 その店が今、息子夫婦へ受け継がれる
若くして去った破天荒な先代の主人

東京スカイツリーを見上げながら、東京墨田区押上の一角にある酒場「居酒屋 のんき」にたどり着いた、きたろうさんと西島さん。暖簾をくぐり、席に座りながら「で、誰がのんきなの?」などと軽口を叩きながら、まずは焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。お店を切り盛りするのは、女将の藤田静子さん。息子の淳之さんが調理場を担当し、妻の恵さんも店を手伝う。最初の一品は、300円で出している日替わりの「本日のサービス品」で、マグロたたきポン酢。「みなさん、最初は大体『サービスをちょうだい』って言いますね」とは女将さん。300円と安いが、辛子と柚子胡椒でいただくマグロのたたきは、ゴマが効きつつ、さっぱりしていて一品目に最適。

女将が、先代の主人と結婚したのが昭和46年。洋食店で働いていた先代は結婚後に独立し、焼きそば屋や寿司屋、和食店などを経営。その後、地元の押上で「のんき」を開業するが4年後に病に倒れ、39歳という若さで帰らぬ人に。残された静子さんは、酒場を営みながら二人の子供を育て上げた。「本当は店を辞めたかったんですけどね(笑)」と女将。先代は破天荒な人だったらしく「一口では言えないけど、もうお金は使うわ、ひどかったですよ。売り上げのお金、全部使ってくる。飲み屋で何千万円ですよ。だから死んでから、あの人の悪口を言う人はいなかったですね」と笑いとばす。

次のオススメは、曜日限定で出している「鶏レバ刺し」。低温調理でゆっくり火を通し、生っぽい感じを残し、味噌味とごま油、塩レモンの3種の味付けで楽しめる。「これ、新鮮なんだな。プリップリで美味しいですね。3種類食べられるのがすごく嬉しい」と西島さん。料理を作る息子の淳之さんが、店を手伝うようになったのは、大学時代に母親が体調を崩し入院したのがきっかけだった。もともと店を継ぐ気はなかったが、働く母の姿を見て育った淳之さんは、大学を中退し店を継ぐべく、独学で料理の勉強に励み今に至る。「父親の味は覚えているんですけど、再現はできないですね。レシピがないし。それでも美味しい料理を作っていましたから」という息子に、「あの親父の料理は、息子も敵わない。まだまだ全然」という女将の表情は、少し自慢げだ。

アットホームな店にする人柄

父親に負けじと、淳之さんが考案した「豚バラ軟骨煮込み」が、次のオススメ料理。表面を軽く焼き、旨味を閉じ込めた豚バラ軟骨を、自家製合わせ味噌で8時間煮込んだ料理は、今や店の名物。「軟骨がコリコリだけど、周りがホロホロなの。軟骨のまわり、いい味が出ていますね」と西島さん。そんな淳之さんを支えつつ、店を明るくしているのが妻の恵さん。「お母さんの頃からの常連さんとか、すっごく優しいんですよ」という恵さん。女将にとっても頼もしい存在で、その明るい人柄で店がアットホームな空間になったという。常連さんに、この店がどんなお店かを訊くと「ここはホームです。もう家です」とのこと。その気持ち、一見さんでも分かる気がする。

次は「白子の揚げ出し」。「熱いので気をつけてください」という注意もほどほどにかぶりつくと「すごいわ、うまいね」「とろけるって、こういうのをいうんですね。天ぷらにすると、白子の濃さが際立ちますね」と二人とも大興奮。最後に、これだけは食べて帰れのメニューをお願いすると「つくね鍋」が登場。野菜や豆腐、キノコ類がグツグツ煮える鍋に、つくねを自ら投入。まずはスープをすくって一口飲むと「おぉ、すごい。これ強烈だね」、「美味しい。この出汁、飲ませますね!」と、頬が緩む。少し粗めのつくねの食感や、味も抜群! 息子である淳之さんの味に「頑張ってると思いますよ、こんな風に店を継いだり、料理をやると思っていなかったです。もう一切、口出ししていないですもん。私がいなくてもいいかなと思う」という女将。しかし淳之さんと恵さんは「まだ、足下にも及ばない。目標というか、超えられない人というか、背中を追っかけていければ」と謙遜する。知れば知るほどに、酒場の奥深さを、商売の大変さを知る。それが本当の意味での、店を継ぐということなのかも知れない。

「居酒屋 のんき」の流儀
その壱
まずは常連客が必ず頼む本日のサービス品を食すべし!
日によって変わる、本日のサービス品。一行が訪れた日は、マグロの表面を炙り、すり胡麻とポン酢で味付けした「マグロたたきポン酢」。本日のサービス品(マグロたたきポン酢)300円(税別)
その弐
3種類の味が楽しめる鶏レバ刺しを食すべし!
低温調理でしっかり火を通しながら、“生”感を残した鶏のレバ刺し。居酒屋のんきでは、合わせ味噌、ごま油しょうが、塩レモンの三つの味が楽しめる。鶏レバ刺し580円(税別)※火・木・土曜限定
その参
出汁で頂くアツアツの白子の揚げ出しを食すべし!
料理酒に漬けた白子を油で揚げ、天つゆをかけていただく揚げ出し。白子の食感と、濃厚な旨味が楽しめる。白子の揚げ出し700円(税別)
その四
〆には必ず二代目特製つくね鍋を食すべし!
鰹節から取り、薄口醤油で味付けした出汁に、自家製つくね、人参、豆腐、白菜、春菊、椎茸、エノキタケ、ネギを投入。自家製つくねには、鶏のひき肉、鶏の軟骨、ネギ、柚子、椎茸などが入っている。つくね鍋1人前950円(税別)
きたろうさんから、居酒屋 のんきへ贈る「愛の叫び」 親子三人のんきな絆 味わいました。―――きたろう
居酒屋 のんき
住所
電話
営業時間
定休日
東京都墨田区押上2-1-1
03-3626-0456
17:00〜23:00
日曜、祝日
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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