BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS
#223

もつ焼き ばん

中目黒本店

2019/2/9放送

酒場の歴史を変えた発明
あのレモンサワーを生み出した
中目黒・伝説のもつ焼き店

おまわりさんに勧められて始めた店

今回の店は、東京・中目黒の名店「もつ焼き ばん」。テーブルに着いたきたろうさんが、「混んでるね、いっぱいだよ」というと、隣の常連さんが「すいてる方ですよ」と言う。なんとこの隣のお客さんこそ先代の主人で、「大御所」と書かれた名刺を持つ小杉正さん。そんなサプライズの後、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。創業61年目をむかえた「もつ焼き ばん」は、レモンサワー発祥の店として知られている。現在は総料理長の村下長治さんが、店を切り盛りし、若いスタッフと共に厨房で腕をふるっている。最初のオススメをお願いすると「まず最初は、かしらを。洋からしが合うんですよ」とのこと。「かしら」を頬張ると「おっ柔らかい。美味しい」、「うまい! からしと合うねぇ。昔からこんなに美味しかったの?」と一行。店の始まりを聞くと「おまわりさんに“こういう商売(もつ焼き店)をやったほうがいいよ”って言われてね」と先代。遊び人だった先代を、更生させようという意図だったようだ。家業だった米屋を改装して始めたのだが、昭和33年、高度成長期真っ只中で、東急電鉄のガード下は多くの酒場で賑わっていたが、もつ焼きを扱う店は珍しく、その安さと美味さで瞬く間に人気店になったという。

続いての串、きくあぶら(1本110円・税別)は、大腸の周りの脂を焼いた希少な一本。開業当時から人気で、甘めの油の香りが、なんとも食欲をそそる。このこってりした串に合うのが「ぬか味噌漬け」。これまた先代からずっと続く有名なお新香だ。タレにしても、このぬか味噌漬けのぬか床にしても、先代から総料理長が今も大事に受け継いでいる。「相模原の方で兄と寿司屋をしていて、2人で寿司をやっても仕方ないから“焼き鳥屋でも……”と思っていたら、そこに来たお客さんの紹介で1年間修行することになって。その店がここで、そのまま居ついちゃったんです」と総料理長は語る。「喧嘩もよくしましたよ。僕、3、4回クビになっていますから。それで3日間ぐらい休むと、周りがみんな順番で迎えにくるんです(笑)」。そうして付き合いは40年に及び、その絆はもはや親子以上だ。

マイナスを出しても守り続けた味

レバカツ

次の串もまた希少部位で、豚のおっぱい。「コリコリするね。確かにうまい」「香りが今までのものと全然違いますね。歯切れが良くて、味は意外とさっぱり」と、二人ともお気に入りの様子。開店以来、店で提供される豚もつは、全てが朝締めされた新鮮なもの。そのもつ焼きと共に愛されているのがレモンサワーだ。「昔はタンチュウとか、チュウタンって言ったんだよ。それを私がね、サワーにしたんだよ。サワーって言った方が格好いいでしょう。でもね、レモンが一個350円もしたことがあってね」と、先代はかつての苦労を語る。サワーの売値が250円で、3杯飲んで、煮込みと串焼き2本食べて1000円でお釣りがくる時代、マイナス覚悟で出していたという。

串焼きの次は「レバカツ」。出てきたレバカツは、薄いが大きい。カリッとした歯ごたえに絡むソースとレバーの味。「薄く切って、臭みを抜いて。レバーが嫌いな人でも食べられます」と総料理長。このレバカツが登場した時、中目黒で同じ料理を出す店がなく、これもまた名物料理になった。そして最後の“これだけは食べて帰れのメニュー”をお願いすると、「ちょっとピリ辛のとんび豆腐を。とんびの“とん”は、豚の“とん”。“び”は、尾っぽの“び”。それでとんび」と総料理長。好きな人は、骨までしゃぶるというやみつきの一品で、そのファンは多い。野菜から出る旨みが溶け込んでいるため、辛いだけではない。「この骨の周りの肉がホロホロ。煮込んでいるつゆも辛すぎず、すごく美味しい!」と、西島さんが大喜び。

先代に、店を長く続ける秘訣を訊くと、「やっぱり笑顔だよ。苦虫を噛み潰したような顔をしていたんじゃダメだよ。いつもニコニコしてなきゃ」と明快な答え。ニコニコできない日も「やっぱり、自分で自分の心を叩かなきゃダメですよ。ちょっと、嫌なことがあってもさ、そこはグッと我慢しなきゃ」と言う。そして店を先代から受け継いだ総料理長は「ちゃんと若い人を、育て続けていかないと。そういうところを先代から教わったから」という。名店が名店であるために、絶えず惜しまない努力。それがこの「もつ焼き ばん」には息づいている。

「もつ焼き ばん」の流儀

その壱

まずはお店自慢のもつ焼き「かしら」を塩で食うべし!

かしらは豚のこめかみ部分。もつ焼き(塩)には洋からしを、タレ焼きには七味を合わせるのが、この店のこだわり。かしら(塩)1本110円(税別)

その弐

希少部位「おっぱい」を食らうべし!

希少部位の豚の乳房を塩で。コリコリと歯切れがよく、口に広がる香りも良い。おっぱい(塩)1本110円(税別)

その参

常連さんに大人気レバカツを食らうべし!

丁寧な下調理で臭みを取り、薄く切ったレバを約180℃の油で3分間揚げたカツ。それを、秘伝の自家製ソースにくぐらせた名物串。
レバカツ1枚 280円(税別)

その四

〆には必ず名物料理ピリ辛のトンビ豆腐を食らうべし!

とんびとは、豚の尾の付け根部分のこと。7種類の野菜を約4〜5時間煮込み、白みそ、一味、鷹の爪、みりんなどで味付けした一品。激辛とんび豆腐450円(税別)

きたろうさんから、もつ焼き ばんへ贈る「愛の叫び」

もつ焼きがとりもつ師弟愛
美味しかった

―――きたろう

「もつ焼き ばん 中目黒本店」

住所
電話
営業時間
定休日
東京都目黒区上目黒2-14-3
03-6452-3122
16:00〜翌4:00
無休
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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