宮城県仙台市で創業57年の老舗
三陸産の海の幸を贅沢に使った
鮮度抜群の絶品料理を堪能!
仙台の名物料理を味わい尽くす
今回は、番組放送250回記念の「宮城で海の幸食べ尽くしスペシャル」。杜の都・宮城県仙台市にやってきた、きたろうさんと西島さんは、飲食店が立ち並ぶ国分町通りへ。大きな赤提灯が目印の「地雷也」は、昭和38年創業の老舗居酒屋だ。店内は年季の入ったカウンターが焼き場を囲み、いい雰囲気。ふたりは「映画のワンシーンみたい」と感心しながら、さっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。
三代目ご主人・渡邉到(いたる)さん(59歳)がまずおすすめするのは、三陸産かつおの藁焼きだ。「今から炙ります」と、いきなり目の前で実演開始! 炭に藁を加え、勢いよく燃え上がった炎で豪快にかつおの表面を炙る。藁の風味をつけたかつおと今朝採れたばかりの牡蠣、石巻産マコガレイが、この日の「刺身3点盛り」に。プルンプルンの大きな牡蠣に「すごく濃ゆい〜」と大興奮の西島さん。きたろうさんも「旨い! 甘いねぇ」と舌つづみをうつ。かつおの藁焼きを口に運び、「おいしい! 香りがとってもいい」とうっとりする西島さんに、「この時期、気仙沼や石巻で、脂ののった戻りがつおが揚がるんですよ」とご主人。コリコリした食感のマコガレイも「淡泊だけど味がしっかりある」と感動がとまらない。「仙台に来てよかったね」と、早々に三陸の海の幸に圧倒される。
ご主人の到さんは、24歳の頃、夜間の大学に通いながらコンビニの店長を務めていたが、創業者である叔父からの誘いで、26歳で酒場の世界へ。料理経験は全くなかったが、すぐに焼き場に立つことになった。「それまでの親方さんが辞めることになり、1年で全部覚えるように叩き込まれました」と厳しかった当時を振り返る。
次の料理は仙台名物「牛タンの炭火焼」。えごまと酒粕で下味をつけた牛タンにお好みで南蛮味噌をつけていただくと、「食感がしゃきしゃきで、おつまみにぴったり」と箸がすすむ。
親方の独立後、二代目を継いだ先輩も2年後に独立し、3年目には到さんが酒場の主人を務めることになった。「当時は腕も未熟で、お客さんに叱られることも多かった。でも、くじけてられない。やるしかなかった」。そんなご主人をずっと見守ってきた91歳の常連さんからは、「味は良くなってますよ。いろいろ研究してるようですし」とお褒めの言葉が。ご主人は、「ありがたいですね。カウンター越しに、すぐにお客さんの顔が見られるのは、やりがいありますね」と微笑む。
ここで、宮城産「鯨の刺身三点盛り」が登場! 舌の付け根の部位(さえずり)の塩漬け、ミンク鯨の刺身、さらに自家製の鯨ベーコンの3種類だ。まずは鯨刺しを食べて、その旨さに驚く西島さん。鯨好きのきたろうさんは、「鯨の旨さが分かっただろう?」と言いながら、さえずりとベーコンも味わって「格別だね! 異常に旨い! 地元の旨さだ」と感激するばかり。「石巻の鮎川地区はもともと捕鯨基地があり、昔から鯨を食べる文化があった」とご主人。今年7月の捕鯨再開に伴い、新拠点の整備も行われているそうだ。
特大キンキの炭火焼に舌つづみ!
吉次の炭火焼
なるべく地元産のものを使うというご主人は、「昔ながらの炭火と塩で料理するので、ごまかしがきかない。素材が大切」と、仕入れにこだわる。仙台市中央卸売市場で、56年取引を続けている卸売店は、「ご主人は魚に関してすごく目利き。地雷也さんのレベルに達していない魚は出せない」と、トップクラスの魚だけを卸しているそうだ。
お次は仙台名物の「笹かまぼこ」を。スケソウ鱈の生すり身を店で成形し、炭火で焼いている。ぷっくりと丸みのある形に、「かわいい!」とはしゃぐ西島さん。一口食べれば、「ふわっふわ。中はジューシー」と大喜びだ。
長い間、店を続けていると、「おじいさんから孫まで、3世代にわたって来てくれるお客さんもいる。今の時代、店もどんどん変わるけれど、いつまでも、まだあのお店あったんだって思ってもらえたら嬉しい。これからも、みんなで力を合わせて続けていければ」。
震災当時のことを伺うと、「ガスは1カ月ほど止まりましたが、うちは炭火なので、店にあった食材で小中学校に炊き出しに行きました」。生まれ育った故郷のために少しでも力になりたかったというご主人。その時に振る舞ったのが、店の看板メニュー・キンキの炭火焼きだ。「『キンキなんてふだん食べないのに、体育館で食べてびっくりした』なんて喜んでもらえて」。そんな、被災者を勇気づけた自慢の一品「キンキの炭火焼」の登場に歓喜の声が上がる! ご主人が「宮城県ではキンキのこと吉次(きちじ)と言う」と説明するも、きたろうさんは、それどころではない。一口食べると、「うまい……」と、もう言葉も出ないほど。西島さんも「身も厚いし、皮も香ばしくて最高!」と夢中で食べまくる。すっかり身を平らげた後は、残った骨をスープに。「炭火で焼いているので、香ばしくていいダシがでる」というこのスープも、たまらないおいしさで、「贅沢しちゃった」と大感激。「貴重な1回の食事をおいしく楽しんでほしい」というご主人。酒場とは「二十歳過ぎて初めてお酒を飲んだ時に、大人になったと感じられる場所。そして今度は先輩として後輩を連れてきて、また思い出を作る。そのためのいいお酒といい料理を提供していきたいですね」と穏やかに語るのだった。