BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS
#261

焼鳥

福屋

2019/11/30放送

港区芝で創業37年目の老舗酒場
銀行員から料理人に転身し
挫折を乗り越えて作り上げた人気店

看板メニューの絶品焼鳥に舌つづみ!

大都会を感じさせる、東京タワーのお膝元、港区芝。慶應義塾大学すぐそばの慶応仲通り商店街を歩いて、きたろうさんと西島さんがやってきたのは、創業37年目を迎える「焼鳥 福屋」だ。年季の入った扉の向こうは、すでに常連さんたちで大賑わい。ご主人の甲斐豊さん(69歳)が厨房で腕をふるっている。さっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」して、まずは、お通しをいただく。冬場は「おでん」だそうで、一口サイズのおでんを盛った、品のいい小鉢に、「都会のおでんだね」、「かわいい! うれしい〜」と、ふたりは早くも上機嫌!

店内には、整然と書き揃えられた、たくさんのメニュー短冊が貼ってあり、すべてご主人の手書きだとか。「性格が分かるね! 大将はきちんとしてる」と感心するきたろうさん。実は、ご主人の豊さんは、料理の世界に入るまでは銀行員だったそうで、「もともと飲食業界に興味はあったが、当時の銀行は給料がよくて、なかなか辞める決心がつかなかった」と言う。それでも、25歳の時に料理人になることを決意し、銀行を退職。26歳で調理師専門学校を卒業すると、不動産業の兄の薦めで、ローンを組んで物件を購入し、すぐに自分の焼鳥店を開業した。しかし、3年後、経営危機に陥り廃業に追い込まれる。銀行員時代に出会った妻・和子さんとの間には、この頃すでに長女も生まれていたという。「奥さんにも働いてもらって、僕はいろんな和食料理店をまわって、一から修業することにしたんです。遠回りだったかもしれないけど、あの時の失敗が糧になった」と話すご主人。「すごい人生があるもんだなぁ」と、きたろうさんは唸るしかない。

そして35歳の時、知人の紹介で今の店へ。当時のオーナーは鶏肉卸業の副業として酒場を経営していたこともあり、メニューも少なく、お客さんもほとんど来ないような状態だった。豊さんがメニューを増やし、1年ほどで店を繁盛させると、オーナーは、卸業と酒場の両立が難しくなり、豊さんが店を譲り受けることに。それから35年、約100種類のメニューを扱うようになったが、最初の店で出していた焼鳥は今でも看板メニューだ。

続いては、その自慢の焼鳥を。「ねぎま」を食べて、「鶏肉のジューシーさと塩加減が素晴らしい!」と西島さん。「つくね」も「プリップリ。人参や大葉、刻んだ野菜がいっぱい。めちゃめちゃおいしい!」と大興奮。「このつくねのためだけに修業に行った店があって。無理やり教えてもらった」と、ご主人も誇らしげだ。さらに、創業時から継ぎ足してきた自慢のタレでいただく「レバー」も絶品! きたろうさんも「旨い……」と、もう言葉が出ない。

4日間かけて仕込むカニクリームコロッケ!

カキ串焼き

次は、旬のカキを串焼きで。「カキの串は、初めて!」と、うれしそうに頬張る西島さん。炭火で焼いたカキは「表面がパリッと焼けて、噛むと旨味がギューッとあふれる」と、たまらないおいしさに大感激。

「この店も奥さんと一緒に?」と聞くと、頷きながらもどこか寂しげなご主人。「13年前にがんで亡くなったんです」と明かし、「看板女将でした。とにかく明るくて人当たりがよくて。僕よりも女将の方がずっと人気があった。とっても優秀だった」と、思いがあふれる。いつもレジ横に置いているという写真の中の和子さん(享年54歳)は、明るさや前向きさがにじみでるような笑顔だ。「まだ惚れてる?」と聞くきたろうさんに、「もちろん」と即答する。「妻が亡くなった時は、もう店を辞めるつもりだった」というが、そんなご主人を支え、店を続けるよう勧めたのは3人の娘たちだった。「子供たちが許してくれなかった。お母さんの思い出が詰まった店をなくさないでって」。ご主人を一人にしないように娘たちが交代で店を手伝ってくれたという。この日、来店していた三女の千鶴子さんは、「母が亡くなってから、家族でいることが多くなりましたね。みんな下ばっか見てたわけではなく、母の存在を感じながら前を向いてました」と話してくれた。

次の料理は、ご主人の自信作「カニクリームコロッケ」。なんと仕込みに4日かかるそうで、1日目はカニを煮詰めてブイヨンを採り、2日目はホワイトソースを練ること4時間。3日目に成形して、4日目にやっと提供できる。西島さんはハフハフしながらザクっとかぶりついて、「洋食だけど和風っぽい! ホワイトソースがおいしい〜」と絶賛だ。

店の後継者についてはまだ考えていないご主人だが、今は、遠い親戚で元寿司職人の中村健さんが厨房を手伝ってくれている。彼が握る「かわり寿司」が、〆の一品だ。この日は、マグロのカマトロとナス。「素材もいいし、江戸前のしゃりの小ささもうれしい」と舌つづみをうちながら、西島さんが、「お店を継ぐ気はありますか?」と中村さんに聞くと、「はい、頑張ります!」と元気な返事。「本気!? あとでじっくり話します」と笑うご主人だった。

そんなご主人にとって、酒場とは「長い時間を過ごせる場所」。「早く帰りたいと思わせたらおしまい。とにかく手抜きしないで頑張るのが僕らの役目」と話すと、「なんだか元気が出てきた!」と清々しい笑顔。これからも、ご主人の旨い料理に、ますます期待できそうだ。

「焼鳥 福屋」の流儀

その壱

まずはお店自慢のお通し“おでん”を食らうべし!

冬場のお通しはおでん。具材はその時期の旬のものを使用し、4種類を盛り合わせた上品な小鉢は、都会のおでんという趣きだ。
お通し(おでん)300円(税込)

その弐

ご主人のオリジナル!“カキ串焼き”を食らうべし!

この時期旬の大粒のカキを串に刺して炭火で焼く。表面にパリっと焦げ目の入ったカキをひと噛みすれば、濃縮された旨味が口中に広がる。
カキ串焼き 一本450円(税込)

その参

手間暇かけた自信作! “カニクリームコロッケ”を食らうべし!

仕込みには4日間かかる。1日目はカニを煮詰めてブイヨンを採り、2日目はホワイトソースを練って一晩寝かせる。3日目にカニを詰めて成形し、4日目に揚げて提供するという手の込んだ一品。
カニクリームコロッケ680円(税込)

きたろうさんから、福屋へ贈る「愛の叫び」

レジ前の女将は今も福の神
なんでもおいしい!!

―――きたろう

「焼鳥 福屋」

住所
営業時間

定休日
東京都港区芝5-23-7
11:30〜13:30
17:30〜23:00
土(月1回)・日祝
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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