BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS
#276

呑処

七々

2020/3/14放送

母と娘の明るい人柄が作り出す
下町のほっこり空間
曳舟で愛される親子の物語

母娘の手作りおばんざいに感激!

東京スカイツリーのお膝元、墨田区の曳舟(ひきふね)駅にやってきた、きたろうさんと西島さん。細い路地を抜けて、民家の一角にある、今宵の酒場「呑処 七々」へ。おいしそうなおばんざいを目の前に、まずは、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。店を切り盛りするのは、グレーヘアがおしゃれな女将の倉田登志子さん(72歳)と、娘の藍子さん(40歳)。最初のおすすめは、もちろん、おばんざい。毎日、日替わりで10種類を母と娘で手作りしている。悩んだ末、「切り干し大根」、「フグの唐揚げ」、「新ジャガ煮」をチョイス。西島さんは、「切り干し大根も、家で作るのと全然違う。ふぐの唐揚げ、うれしい!」と、おふくろの味に大感激だ。

店は創業25年目。3年前、曳舟駅前から現在の場所に移転した。「開業したのが平成7年7月7日で、私が47歳の時。7がいっぱいだから『七々』」と女将。25歳で工場を営むご主人と結婚し、20年以上、専業主婦として3人の子供を育ててきた登志子さん。転機が訪れたのは25年前。酒場の開業を諦めた友人のかわりに、店を譲り受け、何の経験もないまま、酒場を開くことに。「最初はすごく大変な思いもしました。市場でいい魚を仕入れてきても、お客さんから『女が作るんじゃ、食えねぇよ』なんて言われて、たくさん捨てたことも」。「下町のおじさんだから、古い考えだったんですよ」と今では笑えるが、当時の苦労は想像に難くない。

「すぐつぶれると思っていたから、親戚や兄弟にも話してなかった」という。最初は、ご主人にも内緒にしていたそうで、娘の藍子さんは、「私は知っているけど、父には秘密にしなきゃいけなくて、困惑した」と笑う。ある時、登志子さんの実兄が、たまたま店に飲みに来てバレたそうだが、ご主人の反応は特に変わらなかったとか。「きっと、分かってたけど、だまって見守ってたんだね」ときたろうさん。

次のおすすめは「鯨刺身」。新鮮な鯨の赤身肉は、つやつやと見るからにおいしそう。「柔らかくで、味が濃い〜」と震える西島さん。「これはお客さん喜ぶわ」ときたろうさんも絶賛する。

女将の第4次モテ期到来中!?

おでん

店を続けることにしたのは、「お客さんにとっても私にとっても、だんだんと居心地のいい場所になってきて。もし今、店を閉めたら、みんなどうするかなって考えると、元気なうちはやめられないなって」と女将。そんな母親を高校生の頃から手伝い、「これからもずっと店をやっていくつもり」と言う娘の藍子さんは、「母は、本当によく働いてました。いつ寝てるのかというくらい。でも、すごく楽しそうでしたね」と当時を振り返る。女将も、「楽しかったの。第三次モテ期だったから! 毎日、お客さんから、飲みに誘われて。で、今また第4次モテ期。80歳のおじいちゃんからモテるの」と、チャーミングな笑顔。藍子さんによると、女将は飲むのが好きで、気付いたら、カウンターで寝てしまっていることもあるとか。そんな“ゆるさ”もまた、ご愛嬌!?

常連さんも「女将は遊び仲間。ゴルフもやるし、相撲や野球を見に行ったりね」。みなさん、曳舟で出会った人たちだそうで、時には、女将が旅行を計画し、常連さんを招待することもある。ただ、その分、「お客さんが亡くなったときは、とても辛い」とも。一緒に店で飲んでる気分を味わえるように、亡くなったお客さんの写真を店の棚に飾っているという。

次の一皿は、自家製の「にら餃子」。藍子さんが焼いた、ニラたっぷりの餃子に、「にらの割合が、すごい! 香りもいい」と、大満足のふたり。

ここで、女将から、突然のサービスが! ホッキ貝にスルメイカなど、旬の「刺身盛り合わせ」が登場。大量に安く仕入れられた時だけ、無料で提供するそうで、「若い人はあまり魚を食べなくて、旬が分からない人も多いでしょ。だから、季節や暦ごとの食べ物を知ってほしくて」との想いだ。きたろうさんは、「金儲けとは違う、生きがいや楽しみ方だね」と感心しきり。「店をやっていく中で、一番大事にしているのは、自分の健康」という女将に、「みんなのために、健康でないとダメだもんね。責任感があるから」と、納得するきたろうさん。

次は、おでんを。店の一角にあるおでんコーナーで、好きな物をセルフサービスでいただく。自家製出汁のしっかりしみた大根やはんぺんは絶品で、心も体もほかほかに。

最後は、「桜海老のピザ」を。今が旬の桜海老を使った、春を感じる自慢の一品。「香ばしい。桜海老とチーズが合いますね!」とペロリと食べきって大満足。

女将にとっての酒場は、「ここにしかない、ほんわかした温かい場所。そこからいろんな出会いが生まれるし、最初は一人で来ても、つながっていくの。個人店の良さかなと思います」。そう聞いて、「いいなぁ、下町は」としみじみつぶやく、きたろうさんだった。

「呑処 七々」の流儀

その壱

まずはお店自慢のおばんざいを食らうべし!

カウンターに並ぶ手作りのおばんざいは、ポテトサラダやアジの南蛮漬け、ピーマン肉詰など、毎日変わる10種類。
ふたりが選んだのは、「切り干し大根」370円(税別)、「フグの唐揚げ」1本370円(税別)、「新ジャガ煮」370円(税別。

その弐

常連さんに大人気 鯨の刺身を食らうべし!

年配のお客さんに食べたいと言われて出してみたところ、大人気になったというメニュー。毎日届けられる新鮮な鯨の赤身肉の刺身は、柔らかくて味が濃く、文句なしのおいしさ。
「鯨刺身」770円(税別)

その参

自家製にら餃子を食らうべし!

ニラ、豚挽肉、ショウガ、ニンニクの具材が入った手作り餃子。たっぷり入ったニラの香りと存在感が抜群。
「自家製にら餃子」370円(税別)

その四

セルフスタイルのおでんを食らうべし!

店の一角に設けられたおでんコーナーは、申告制のセルフサービス。自家製の出汁で煮込まれたおでん種は12種類。毎年10月から3月までの期間限定だ。
「おでん」各種120円(税別)

きたろうさんから、七々へ贈る「愛の叫び」

第四次モテ期
俺も女将に惚れた!!

―――きたろう

「呑処 七々」

住所
営業時間
定休日
東京都墨田区東向島2-15-11
17:00〜24:00
不定休
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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