BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2014/11/29放送 #30 魚人

ごまかしを許さず、こだわりを貫く産地直送の魚料理で勝負する西新井の生真面目主人、奮闘す!
世にも珍しい無人駅の駅ナカ酒場

創業何十年という酒場を紹介することが多い「夕焼け酒場」だが、今回訪れたのはオープン1年目の酒場「魚人」。西新井大師から歩いて十数分、「酒と魚がうまい店」の看板に、偽りなしの一軒だ。木の床、1枚板のカウンター、モダンささえ感じる店内は、酒場というには少々過ぎるほどに明るい。店を切り盛りするご主人の中野智徳さんは言う「明るい店を作りたくて。というのも、暗いと魚の色だったり鮮度だったり、色々ごまかせちゃうじゃないですか。全部見せたかったんで、なるべく明るくしました」。ごまかしがきかない店を作る、そんな心意気を持った主人の出す魚料理が、美味くないわけがない!

焼酎ハイボールで乾杯のあと、「やっぱり刺身を食べないとね。どの辺から仕入れてるんですか?」と訊く、きたろうさん。「長崎の五島列島と北海道の函館からですね。産地直送でやりたくて、いろいろ付き合いをさせていただいて、値段と品物が一番合致するところが、たまたま北と南の両極端だったんです」。魚は毎日、朝には函館から、夕方には五島から直送されるのだという。この日の刺身「魚人全部盛り」は6種盛り。黄門はたを食べた西島さんは「味が濃いですね、昆布締めにしてるわけじゃないんですよね。うまみが凄い!」と、新鮮な黄門はたの味に驚きを隠せない。しかも「歯ごたえも凄いですね。こんなに分厚く出していいんですか」と感激しきり。きたろうさんはマグロの味がするというスマガツオを食べて、「本当だ、カツオの濃厚さはあるんだけど、嫌みがないよ。おいしいマグロみたいな感じだね」と、最初の一品からこの店の魚のうまさに引き込まれたようだ。

高級魚のどぐろの煮付けに、一同感嘆!

ご主人は高校時代のアルバイトが楽しくて、料理人になろうと決意し、赤坂の料亭へ修業に入る。「安易に飛び込んだんですけど、すごく厳しい世界が待ってまして。初任給は9万8千円。24時間で終わらないくらいの仕事量が待ってる毎日で、日々、人間になりたいと思いながらやってました」。しかし今となっては、あの時があるからこそ今があると、ご主人は言う。その後、まだ26歳の修行中に結婚し、独立を考えた時には11歳と10歳の子供がいた。当然、周囲からは思いとどまるよう反対されたが、魚の目利きと料理に自信のあったご主人は、39歳にして「魚人」を開店。眼鏡をかけたスマートな印象から、苦節20数年の苦労を感じさせないご主人だが、ここまでの道のりは平坦ではなかった。そんなご主人に、きたろうさんは「なんかインテリっぽいよね、大将はもっと馬鹿っぽくないと」と、アドバイスして店じゅうを笑いに包む。

次のおすすめを訊くと「のどぐろの煮付けを」と、ご主人。これには、西島さんもきたろうさんも「待ってました!」「おすすめと言われちゃあ、食わないわけにはいかないよな」と、笑顔満面。注文を受けてから造り始める煮付けは、カツオ節で出汁を取り、みりん、砂糖、醤油で味付け。箸で持ち上げた身は白く、上品な甘みを備えている。きたろうさんは「これは幸せだなぁ。みんながのどぐろ、のどぐろと騒ぐわけが分かるよ」と絶賛。素材の美味しさをここまで引き出す、ご主人の腕は相当のものだ。

最後の一品は北海道のイカを使った、いしりみぞれ鍋をいただくことに。「イカが丸ごと一杯、肝まで入ってまして」という説明を聞いて、北海道出身でイカの肝が大好物の西島さんは大興奮。大根を荒くおろした鬼おろしと絡んだ出汁、そして濃厚なイカの風味がたまらない。「食べてみると、鬼おろしを入れる意味が分かりました。凄くさっぱりするんですね。これは染みます」と西島さんが言えば、「これは見た瞬間、うまいなって思ったね。やっぱり目なんだよ、うまい料理は目で分かる」と、きたろうさんが褒める。

西島さんがご主人に、これからの夢を訊くと「逆輸入じゃないんですけど、都心にこのお店を持っていきたいんですよね。神楽坂とか、あんな街に出せたらいいですね」と言う。きたろうさんは「料理にね、大将の“こういうのが好きだ”というのが前面に出てるから大丈夫だよ」と言うと「今はかなり楽しんでやってますから、充実してますね」と、ご主人。「じゃあ今こそ、客はこの店に来なきゃダメだな」というきたろうさんの言葉には、店への声援と、この日食べた絶品料理への最大の賛辞が込められていた。

魚人の流儀
その壱

この日の刺身「魚人全部盛り」(2人前・1,740円・税込)は、五島列島から黄門はた、カンパチ、スマガツオ、マグロ、イサキ。函館からの根ほっけという盛り合わせ。
その弐

のどぐろの煮付け(3,500円・税込)。のどぐろはホタルジャコ科の一種でアカムツの別名。のどの奥が黒いことからこの名で呼ばれ、市場では「超」がつく高級魚。白身のトロとも称され、脂がのっていて刺身、煮付け、干物などで食べると最高!!
その参

いしりとはイカの内蔵を原料に、自然発酵で熟成させた魚醤。イカを使ったこの鍋の味付けとしては、これほど相性の良いものはない。いしりみぞれ鍋(1,480円・税込)。
きたろうさんから、魚人へ贈る「愛の叫び」 メガネとのどぐろありがとう  ———きたろう
「魚人」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都足立区西新井本町4−5−14
03-6807-1543
11:30〜15:00、17:00〜23:00
水曜(土日祝は夜のみ)
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