BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS
#314

しぶや

三魚洞

2021/1/16放送

大都会渋谷の真ん中で半世紀
元映画女優の女将が暖簾を守る老舗酒場
昭和を代表するスターとの恋愛秘話も!

絶品「ぶり大根」に舌つづみ!

本日の舞台は大規模再開発が続く渋谷区渋谷。きたろうさんと西島さんは、真新しいビルを見上げながら、渋谷駅西口歩道橋を渡って、今宵の酒場へ! 訪れたのは、まもなく創業54年目を迎える「しぶや 三魚洞」(さんぎょどう)。現在、再開発工事にともない、一時的に移転先で営業している。女将の石橋光子さん(79歳)に迎えられ、ふたりは、さっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。

最初のおすすめは「刺身盛り合わせ」。美しく盛り付けられた刺身は、シマアジ、ヒラメ、赤貝、真鯛、鮪など豪華9種類。どれも抜群の鮮度と旨さで、「お魚の味が濃い〜」と西島さん。鮪の大トロも悶絶級で、「こんなの、なかなか食べられない!」と大感激だ。

昭和42年にこの店を開業したのは、尺八奏者で音楽家の福田蘭童(1905〜76)。ラジオドラマ「笛吹童子」のテーマ曲を手がけたことでも知られている。「釣りが趣味だった蘭童が、釣った魚を多くの人にふるまいたいと店を開いた」とか。当時25歳だった女将は、開業と同時に店で働きはじめたという。

次の一皿は、福田蘭童も大好きだった「ぶり大根」。自家製の甘辛だしをたっぷり吸って濃い飴色に染まった大根に大興奮のふたり。西島さんは、「舌で潰せるくらい! 出汁がゴクゴクーって、すごい」と絶賛。きたろうさんも「旨いわ。主役は大根だね。でも脇役のブリがいい味出してるよ。俺みたい(笑)」。

関西弁を話す女将は大阪府岸和田市出身。上京のきっかけは、「18歳の時、大映の女優オーディションに合格して。いわゆる大部屋の女優です」。そして、翌年、三浦友子という芸名で銀幕デビューを果たす。当時のブロマイドに、大はしゃぎのきたろうさんと西島さん。すると女将から、「クレイジーキャッツの石橋エータローって知ってます? 主人です」と、さらなる驚きの事実が! 昭和30年代から一世を風靡したコミックバンド「クレイジーキャッツ」のピアノ担当・石橋エータローさんの奥さんだったのだ。映画共演がきっかけで声をかけられたそうで、「ある時、彼が私のためにお弁当を手作りして、何時間も待っていてくれたことがあって。私はもうイチコロ……」と、乙女のように顔を赤らめる女将。出会いから2年後、22歳で結婚し、同時に女優を引退したという。そんな、おのろけ話にチューハイが進んだふたり。声を揃えて、「ごちそうさま。おかわり!」。

料理は相手の喜ぶ顔を想像して作れ!

「福田蘭童は石橋エータローの父なんです」。結婚から3年後に店で働き始めた女将は、昭和51年に義父・福田蘭童が亡くなると、34歳で店を引き継ぐことになった。ちなみに、福田蘭童の父親は、国の重要文化財「海の幸」を描いた著名な洋画家、青木繁(1882〜1911)。芸術の才能にあふれた一家だった。

ここで、「蟹と帆立のコーン焼」が登場! 若いお客さんにも人気というグラタンは、「旨みと甘みがクリーミーに合わさって、おいしい〜」と、頬が落ちそうな西島さん。「ホワイトソースを使ってないから、さっぱりしてるでしょ」と女将もイチオシだ。

「主人が亡くなって27年。この店を残してくれたのは、私へのプレゼントだと思ってます。本当に温かい人でした。性格は控えめですが才能はすごくあった」と女将。看板や店内の暖簾、メニューなども彼の直筆だそうで、芸能界を引退後は料理研究家として活躍。「料理は愛情の表れ。相手の喜ぶ顔を想像しながら作れ」と言っていたとか。そんな思いを受け、季節やお客さんによって塩分を調整しながら焼き上げる「穴子の白焼き」が次の一品。「臭みがなくて、旨みしかない!」と感動する西島さん。「味の濃さがいいね!」ときたろうさんも絶賛だ。

ご主人が亡くなった時は、1週間ほど寝込んだという女将だが、息子に背中を押されて、無理にでも店に立つようにしたとか。

「人と会うことで、慰めてもらったり、励ましてもらったり、こちらもサービスしたり。そうするなかで、忘れることはなくても、癒されることはありますよね。今では、お客さんも3代にわたって来てくれる。お客さんにも先代にも、感謝しかありません」。ただ、「今が一番辛い」とも。「人に会って、楽しく会話して、というのがコロナでダメになった。今までが、いかに素晴らしい生活だったか、ということに初めて気づきましたね」。

最後の〆は、冬期限定の「いくらご飯」を。その日に漬け込んだ新鮮ないくらは、まるで宝石。西島さんは、「最高!」と満面の笑みを浮かべ、「甘すぎないさっぱりした醤油漬けで、おいしい〜」と幸せを噛みしめる。

ご主人への想いを聞くと、女将は涙をにじませながら、「一生懸命店を守っているのを、上から見て褒めてくれたら……。彼の優しさや温かさを受け継いでいきたいです。本当にいい人でした」。女将にとって酒場とは、「潤滑油。ここで新しいエネルギーを入れて、明日また頑張ってほしい」。女将の楽しい話と絶品料理の数々に、心から癒されるひと時となった。

「しぶや 三魚洞」の流儀

その壱

まずはお店自慢の刺身盛り合わせを食らうべし!

美しく彩り豊かに盛り付けられた刺身盛り合わせ。この日は、シマアジ、ヒラメ、エンガワ、赤貝、水タコ、ホタテ、真鯛、鮪大トロ、鮪赤身。毎朝、豊洲市場で仕入れる魚介はどれも新鮮かつ絶品だ。
刺身盛り合わせ2人前2,500円(税別)

その弐

若いお客さんにも大人気 とうもろこしのグラタンを食らうべし!

卵の黄身をサラダ油で乳化させたクリームと、とうもろこしを混ぜて、ホタテとカニにかけ、225℃のオーブンで11分焼き上げる。ホワイトソースは使わず、海鮮の旨みとコーンの甘みをいかした一品。
蟹と帆立のコーン焼1,100円(税別)

その参

〆には必ず冬期限定メニュー いくらご飯を食らうべし!

塩、酒、醤油、みりんに約3時間漬け込んだいくらをたっぷりとかけた、贅沢なご飯。その日作った新鮮ないくら漬けは、甘すぎずさっぱりした上品な味わいに。
いくらごはん(小)1,000円(税別)※仕入れにより期間は変わります

きたろうさんから、三魚洞へ贈る「愛の叫び」

女将のトークでお客のハートを
クレイジーキャッチ

―――きたろう

「しぶや 三魚洞」

住所
営業時間
定休日
東京都渋谷区桜丘町25-18NT渋谷ビル1F
16:00〜23:30
日曜・祝日 ※営業時間は都の要請に応じて変更あり
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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