BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS
#318

かずき本店

2021/2/13放送

鮮度にこだわる“釣り魚”の店
我流を貫き人気酒場を作り上げた男と
父の背中を追い続ける息子の物語

金目鯛、のどぐろ、黒むつの「炙り刺し」!

今宵の舞台は、東京都葛飾区亀有。きたろうさんと西島さんは、創業37年目をむかえた人気酒場「かずき 本店」へ。板場で腕を振るうのは、ご主人の由利八郎さん(63歳)と二代目を継いだ息子の一(はじめ)さん(42歳)だ。さっそく焼酎ハイボールを注文して、「今宵に乾杯!」。“釣り魚”が自慢と聞いて、「ものすごく期待してる!」と、前のめりなきたろうさんに、ご主人は「まかせて〜」と茶目っ気たっぷり。

最初のおすすめは、「炙り刺し三点盛り」。この日は、千葉の銚子沖で釣り上げた、金目鯛、のどぐろ、黒むつの豪華三種。「炙った皮も旨い。魚ってこんな甘みがあるんだね」と喉を鳴らすきたろうさん。西島さんも、「旨味が濃い! 出汁を飲んでるみたい」と悶絶する。炙ることで、皮と身の間の旨味成分が凝縮するそうで、ご主人は、「どうだ、参ったか(笑)」。

趣味の海釣りが高じて、自ら釣り上げた旬の魚をメニューに加えるようになったのは、22年前。釣った瞬間に活け締めにすることで新鮮さが保てるうえに、市場を通さず安価で提供できるという。次の料理も釣り魚。「ソイの煮付け」をいただく。ソイは「北海道の鯛」とも呼ばれ、煮付けにすれば、「ほんのりとした甘みが、おいしい〜」と頬が落ちそうな西島さん。「狙いどおり!」と、ご主人が見せてくれたのは、煮こごり。鍋に残った煮汁を保管し、毎回、継ぎ足すことで深みのある味わいになるという。「修業で学んだの?」と聞くと、「私の料理にレシピはありません。すべて我流。でも、お客さんがおいしいと思ってくれれば、それが本流に変わる」とご主人。「いいこと言うねぇ〜」と感心するきたろうさんに、息子の一さんも、「父は、自分をしっかり持っていて、決して曲がらない。そこがすごい」と尊敬の念を口にする。

秋田県湯沢市出身の八郎さんは、18歳で料理人を志し、上京。都内の老舗料理店に就職し、配属された岐阜県の食肉工場で2年間働いた後、ようやく浅草の日本料理店で料理人として修業を開始した。今では考えられない厳しい修業だったが、決して挫けなかった八郎さんは、わずか4年後、25歳で店長に抜擢された。その後、27歳で独立し、葛飾区のお花茶屋に「一樹」を開業。当時は、焼鳥や唐揚げなどを出す居酒屋だったそうで、「バブルの頃だから、高卒野球選手の契約金くらいは儲けたかな。一生懸命頑張れば、ちゃんと支持してもらえる」と胸を張る。そして、45歳で現在の亀有に店を移転し、鮮度にこだわった釣り魚中心の店に舵を切った。

「自家製からすみ」や「くえ鍋」で贅沢三昧!

続いては、名物「本まぐろねぎま焼き」を。西島さんが、「全部、部位が違う? 色が違いますよね」と尋ねると、「すごい! よく分かったね」とご主人。トロ、テール、脳天横の3種だそうで、「なんておいしいの。一口目のトロで、もうノックダウン」と涙目に。「ちゃんと脂の多い部位を選んでるんですね」とコメントすれば、「その通り!」とまたまたご主人がベタ褒めで、きたろうさんは「俺だって分かるよっ」とすねるのだった。

一さんは、20歳の頃、接客担当のアルバイトとして店に入り、八郎さんの影響で海釣りも趣味になったという。父親からは、「正しいことは曲げずに貫き通し、間違ったことは素直に謝る」ことを学んだとか。現在は、料理もこなしながら父を支え、「父は、“けなし”も強いですが、“褒め”も強い」と笑う。八郎さんも「今や、いいパートナー」とうれしそうだが、息子に教えることは、「まだまだ、腐るほどある!」。

さて、ここで、一さんが作る「自家製からすみ」が登場! 輝くようなからすみに、「ものすごく滑らか。塩加減も優しい〜」とトロける西島さん。完成まで1ヵ月以上かかるそうで、「僕の魂が入ってます」と、一さん。八郎さんも「これだけは、一ちゃんに全部任せてる。私が作るより旨い」と太鼓判を押す。

「嘘をつかないこと」が信条のご主人。「商売の原点は“心”です。鮮度の悪いものを出せば、嘘をついたのと同じ。おいしいものをおいしく出すだけ」と断言する。「社長の訓示みたい」と、思わず背筋が伸びる、きたろうさん。ご主人の夢が、「料理人の模範となること」というのも納得だ。

最後の〆は、なんと「くえ鍋」! こちらも、千葉の館山沖で、一さんが釣り上げた全長130センチ32キロの大物を使用。立ちのぼる湯気に「めちゃくちゃいい香り。一生浴びてたい〜」と興奮気味の西島さん、一口食べれば、「もう、弾力がすごいの!」と大感激。きたろうさんも、「贅沢だなぁ」とつぶやきながら、箸が止まらない。

幸せな空気の中、「酒場は、私の人生そのもの」と威勢よく宣言するご主人。すると、一さんも、「私の人生そのもの」と右にならえで、笑いも爆発! 元気になれる美味い店に大満足!!

「かずき本店」の流儀

その壱

まずは鮮度が自慢の“炙り刺し三点盛り”を食らうべし!

この日は、金目鯛、のどぐろ、黒むつ。全て千葉の銚子沖でとれた釣り魚で、釣った瞬間に活け締めにするため、鮮度も抜群。炙ることで皮と身の間にある旨味成分が凝縮される。
炙り刺し三点盛り(1人前)1,600円(税別)

その弐

ご主人自慢の釣り魚“ソイ”を食らうべし!

九州以北に分布する白身魚で「北海道の鯛」とも呼ばれるソイをカツオ出汁、醤油、砂糖、みりん、酒で約30分煮込む。鍋に残った煮汁を固めて保管し、継ぎ足すことで奥深い味わいに。
ソイの煮付け1,500円(税別)

その参

常連客に大好評 自家製“からすみ”を食らうべし!

血抜きしたボラの卵巣を1週間塩漬けにし、さらに1週間日本酒に漬けてから天日干しして約3週間。1ヵ月以上かけて、二代目ご主人が丹精込めて作るからすみは、優しい塩加減と滑らかな舌触りが特徴の絶品だ。
自家製からすみ1,200円(税別)

その四

商売は正直に、嘘は決してつかない!

「商売の原点は、とにかく“心”」というご主人。店をやる上で大事にしているのは、決して嘘をつかないこと。おいしいものをお客さんにおいしく提供することだけを考えているという。

その伍

〆には必ずお店自慢の釣り魚 高級魚“くえ”を使った鍋を食らうべし!

関東近海では個体数が少ないため希少な高級魚。この日は、一さんが千葉の館山沖で釣り上げた、全長130センチ、32キロのくえを使用。ぷりぷりした弾力がたまらない!
くえ鍋2人前9,000円(税別)

きたろうさんから、かずき本店へ贈る「愛の叫び」

最後に天下をとるのは
我流

―――きたろう

「かずき本店」

住所
営業時間
定休日
東京都葛飾区亀有5-33-12
16:00〜24:00
月曜 ※営業時間は都の要請に応じて変更あり
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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