東京都狛江市の人気酒場
カウンター
こだわり絶品料理の数々!
「テリマヨチーズつくね」は食べ応え満点!
東京都狛江(こまえ)市にやってきた、きたろうさんと西島さん。さっそく訪れた今宵の酒場は、創業4年目の「炭火焼鳥 三日月」だ。入口には、三日月を染め抜いた洒落た暖簾がかかり、扉を開けると、いきなり木造りのカウンターが現れる。ふたりは、「いい雰囲気! 話が弾みそう」とワクワクしながら、ご主人の澤野貴洋(たかひろ)さん(33歳)に焼酎ハイボールを注文して、「今宵に乾杯!」。
まずは、お通しの「茶碗蒸し」が登場。「お通しに茶碗蒸しなんて、意外!」と西島さんは驚きながら、ほんのり利いた出汁に、「優しい味〜」とほっこり。「驚きがあるよね」ときたろうさんも、うれしそうに平らげる。
高校を卒業後、生まれ育った青森県を離れ、神奈川県のステンレス工場に就職したご主人。リーマンショックで会社の経営が悪化し、焼きとん店のアルバイトを掛け持ちし始めると、すぐに酒場の仕事に魅了され、工場を2年で退職。和食やイタリアンなど5軒の店で修業を重ねた。「修業中は、労働時間も長くて、給料に見合わないと不満に思ってました。でも、今考えると、何も知らない子供でしたね」と言うご主人は、現在33歳。「若造じゃん!」とツッコむきたろうさんに、「まだまだクソガキです!」と苦笑い。
次の料理は、「テリマヨチーズつくね」。タレで焼いたボリューム満点のつくねにチーズをのせてバーナーで炙り、タレ、マヨネーズ、粉チーズをかけた、子供にも大人気の一品だ。大きな口でかぶりついた西島さん、「おいしい〜」と大満足。きたろうさんは、「創造的だね。ジャンクな感じだけど、中身の味もちゃんと活きてる。焼き方も上手いね!」。
平成28年、当時28歳のご主人は、アルバイト先の店長だった6歳年上の智香(ともか)さんと結婚。智香さんの兄・晋一さんが開業資金の支援を申し出てくれたのがきっかけで、30歳で自分の酒場を開くことを決意した。「この物件を見つけて、オーナーの義兄とふたりで、勉強したり、試作したりして開業準備を進めました」
店名の「三日月」は、オーナー会社の名前(クロワッサンパートナーズ)の“クロワッサン”(フランス語で三日月の意味)から。三日月は成長・発展のシンボルとも言われているそうで、店の暖簾は、徳島県で藍染工房を営む中学時代の同級生・楮覚郎(かじかくお)さんに制作してもらったそう。開業当時は、「妻が出産間近で、開店の16日前に長男が生まれたんです。病院と店を、毎日、行ったり来たり。狛江は初めてで、知り合いもいないし、不安だった」というが、開店してみると、お客さんの入りも順調で、忙しくも充実した日々となった。
自家製こんぶ塩が利く! 絶品串焼き
続いては、串焼き「レバー」と「はつもと」を塩で。「塩レバーって珍しい」と食べた西島さん、「おいしい! タレより好きかも!?」と目を見開く。味付けに使うのは、ご主人が仕込む自家製こんぶ塩。粗塩に昆布を加えて弱火で炒り、昆布の味を塩に移す。旨味の利いた塩の味わいに感激しながら、「はつもと」(はつとレバーをつなぐ希少部位)もいただいたふたり。「すっごく脂のってますね! おいしい〜」と、もう止まらない。
自分の店を持ったことで、ご主人の仕事に対する考え方も変わったとか。「結果を出さないとお金はついてこない。お客さんが評価してくれてこそ、初めて自分の給料になると実感します。失敗して、へこんで、どうしたらいいか毎日考えてます」と真剣な眼差しで語り、「修業中は料理を教えてもらう立場でしたが、今は自分で考える責任があるし、従業員にも教えなきゃいけない。そこが難しいし、苦手なんです」と頭を掻く。そんなご主人に、きたろうさんは、「あと5年やれば、自信満々になるよ!」と声をかけるのだった。
さて、ここで、「マゾイの煮付け」が登場! 産地直送の北海道産マゾイは、身も厚く、煮付けにすると最高の旨さ。和食店での経験を活かした一品に、「何でもできるんですね」と感心するふたり。ご主人は、「鶏料理だけにこだわらず、お客さんを飽きさせないように」と、様々な店での経験をいかして、「牛すじ煮込み」、「ズワイガニのクリームコロッケ」、「(活魚の)刺身」など、幅広いメニューを揃える。お客さんとのコミュニケーションも大切にし、「ここは、キッチンの床が一段低くなってるので、カウンターに座ったお客さんと目線を合わせて話ができるんです」と、さり気ない心配りも忘れない。
最後の〆は、「チキンカレー」を! 5時間煮込んだ、ほろほろチキンのカレーは、隠し味に焼き鳥のタレを入れて、甘みと旨みを引き出す。「鶏の旨味がすごい! 焼鳥屋さんのカレーだ」と大興奮の西島さん。「手間暇かかってるね。センスあるよ」と、きたろうさんも絶賛だ。
今後は、「店舗展開が夢。自分の苦手なところを克服して、人を育て、一緒に楽しく働いていきたい。酒場とは、日々、自分を成長させてくれる場所ですね」。真面目な好青年のひたむきな姿が印象的な店だった。