こだわりの鶏料理で勝負!
銘柄鶏を使い分け、おいしさを極める
絶品焼き鳥に舌つづみ!
低温調理の「鶏刺し」は垂涎もの
今宵の舞台は、東京都中野区中野新橋。東京メトロ丸ノ内線・中野新橋駅から、きたろうさんと西島さんが向かったのは、「炭火串焼き 鶏料理 富所(とみどころ)」。おしゃれな店内で焼き台の前に立つのは、ご主人の富所信行さん(38歳)だ。さっそく、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」したふたり。「酒場で飲むチューハイは、全然違う〜」と目を細め合う。
最初のおすすめは、低温調理した「鶏刺し三種」。「はつ」、「白レバー」、「砂肝」の美しい色合いに、「おいしそう、たまらん!」と唾を飲み込むきたろうさん。白レバーを食べた西島さんは、「なに、この舌ざわり〜」とうっとりし、「はつは、シャキシャキ。なんじゃこりゃ!!」と大興奮。「いろいろ試して、一番おいしい温度と時間を見極めました」と言うご主人に、「さすが酒場。家庭じゃ無理だ」と感激するきたろうさんだ。
ご主人は、部位によって3種類の銘柄鶏を使い分ける。鶏刺しに使う内臓は、鳥取県の大山(だいせん)鶏。脂の甘みを感じるジューシーな肉質が特徴だ。焼き鳥の手羽先やモモに使うのは福島県の伊達(だて)鶏で、弾力あるシャキシャキした食感が楽しめる。そして、むね肉は色つやが良く濃厚な味わいの美桜鶏。
19歳の頃にラーメン店で修業を始めたご主人。「小さい頃から野球ばかりで、大学も野球推薦で入学。でも、大学野球の厳しさと自分の無力さに直面して」と、大学を1年で中退し、飲食の道へ。ラーメン店を始め、焼鳥屋、居酒屋など様々な飲食店で修業を積んだが、「部活より厳しいところはなかった」とか。「最初はできないことが多くて精神的につらくても、周りはいい人ばっかり」と飲食一筋を貫いた。25歳の時に働いていた秋田料理店で焼き鳥の奥深さに魅了されて以来、自分なりに料理に合った鶏の種類と調理法を見つけ出し、令和元年、36歳で「富所」を開業したのだ。
ここで、大山鶏の「つなぎ」(はつとレバーを繋ぐ希少部位)をタレでいただく。「甘くて、濃くて、旨い脂がのりにのってる」と目を輝かせる西島さん。うなぎの肝にも似た味わいに、「うなぎを超えた旨さだ……」と、きたろうさんは絶句!
続いて、伊達鶏の「フリソデ」(手羽と胸肉を繋ぐ部位)を。「よく動かす部位なので、筋肉質な肉とジューシーな脂のバランスがいいんです」とご主人。きたろうさんが、「塩も旨い」と言うと、「粗塩と中粗塩を炒って焼き塩を作り、雪塩を加えてます」とこだわりを教えてくれた。
〆は、濃厚スープの「鶏白湯ラーメン」
ご主人が料理人を志したのは、両親の影響が大きかったという。「両親が小料理屋を営んでいて、親が仕事の間、僕が家で料理をするようになって。それが楽しかったんです」。実は、信行さんの父・克義さんは、信行さんが小2の時に他界。一緒に働いていた母・昭子さんは、店を閉め、福祉関係の仕事をしながら、3人の兄弟を女手一つで育て上げたのだという。
次は、旬の野菜を使った「長茄子の九条ネギまみれ」が登場! 炭火で焼いた福岡県産の長茄子を生姜醤油で味付けし、たっぷりの九条ネギとかつおぶしをのせる。「脂ののった焼き鳥の後に、あっさりした野菜はうれしい〜」と西島さんもペロリ!
「大将は人柄が良くて、優しい」と言うのは、従業員の中村晃一さん(31歳)。もともと店のお客さんだったそうで、きたろうさんは、「大将は体育会系だから、これから殴られるかもよ」と冗談を言って大笑い! 店は創業3年目を迎えたが、「最初の3ヵ月は、全然お客さんが入らず、ものすごく辛くて。毎日、神社で神頼みでした」と苦笑いのご主人。母の昭子さんには、開業前からいろいろと相談したそうで、「厳しい世界で働くことを心配していましたが、開業後は店にもよく来てくれて、『美味しい』と言ってくれる」と、うれしそうだ。
次にいただくのは、「チーズピーマン」。チーズをたっぷり詰めたピーマンを豚バラで巻き、炭火で焼いた一品に、「相性最高! チーズも入ってるから満足感がすごい」と西島さん。さらに、もう一品、ご主人おすすめ、「半熟うずらの浅漬け」が出てくると、「こんなの食べたことない。おいしい〜」と歓声をあげる。
新鮮な鶏にこだわるご主人は、「仕入れて2日目までの鶏しか使わないのが、僕なりのルール」と胸を張り、今回の料理以外にも、「ねぎま」「手羽先」など伊達鶏の焼き鳥や「美桜鶏とりわさ」、「ひねポン酢」など、新鮮な鶏を味わえる、さまざまなおススメメニューを揃えている。
そして、最後の〆には、「鶏白湯ラーメン」を! ラーメン店でも修業したご主人が作るだけあって、「予想どおり旨いっ!」ときたろうさん。 西島さんも「鶏がすごいっ…。なんて贅沢な濃厚スープ! 今晩、夢見ちゃいそう(笑)」と大感激の大絶賛!
ご主人にとって酒場とは、「人と人がつながる場所。これからも、しっかりと店を続け、たくさんのお客さんに喜んでもらえれば」と話し、「母親にも安心してもらえるように頑張りたいですね」と優しい笑顔を浮かべるのだった。