工夫を凝らした絶品料理が大評判!
ミシュランガイドにも掲載された
神田・鍛冶町の人気大衆酒場
看板メニューの「ポテトサラダ」に感激!
緊急事態宣言が解除され、3ヵ月ぶりに酒場訪問が再開! 東京都千代田区神田にやって来たきたろうさんと西島さんは、喜びを噛みしめながら今宵の酒場へ。創業27年目を迎えた「かんだ光壽(こうじゅ)」は、こだわりの創作料理が評判の店だ。ご主人の大野淳一さん(66歳)に笑顔で迎えられ、さっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。酒場でいただく格別な一杯に感無量!
最初にいただくのは、ご主人が“店の代名詞“と胸を張る「八寸のお通し」。ワンプレートに並ぶ8品は、メヒカリの一夜干しや柿なます、鶏皮のサラミなど、旬の食材を使い、ひと手間加えたものばかり。「ここ本当に酒場? これだけで、もう、つまみいらないね」と大喜びのきたろうさん。西島さんは、鶏皮のサラミを食べて「ピリ辛で鶏の脂がおいしい〜」と感激し、かぼちゃの肉味噌かけに「肉味噌が抜群!」と大満足。「どれも味付けがいい」と感心するきたろうさんに、「板長に任せてます!」とご主人。「でも、大将が味見するんでしょ?」と聞くと、「大体OKにしちゃう(笑)」と茶目っ気たっぷりだ。
ご主人の淳一さんは、大学卒業後、父親が新橋で営んでいた讃岐うどん店に入店した。「本当はいやだったんですが、父が外車を買ってやると言うもんだから。口車に乗せられて手伝い始めたら、父は引退しちゃって」と、いきなり23歳でうどん店を任されることに。ベテラン職人たちを相手に孤軍奮闘する毎日を過ごしたという。
続いていただくのは、「ポテトサラダ」。甘みの強いジャガイモ“キタアカリ”を使い、素材の味をいかすため、「マヨネーズは使わない」と言う。西島さんは、「カルボナーラみたいにクリーミーでコクがすごい。めちゃめちゃおいしい!」とペロリ。「ジャガイモにマグロの酒盗と生クリーム、ベーコンを混ぜて、最後に酸味づけに少しだけマヨネーズを落とします」と作り方を明かすご主人だが、「マヨネーズ使ってるじゃん!」ときたろうさんにツッコまれて、「ほんのちょっとだけ……(笑)」と頭を掻くのだった。
もともとお酒好きなご主人。お酒とお酒に合う料理を出す自分の店を持ちたいと、酒場の開業を決めた。店名は父親の名前(光寿さん・享年67)から。「親不孝だったので、名前だけでもと思って。開業前に亡くなった父へのはなむけにもなりました」。父の他界後、うどん店を弟に任せ、平成7年、新橋に「光寿」を開業。8年後、神田に2号店「かんだ光壽」をオープンした。「料理経験はうどんしかなく、開業当初は閑古鳥。でも3年目くらいに口コミでたくさんのお客様が来てくださって、今も通い続けてくれてます」と感謝の思いがあふれる。
濃厚「いか肝煮込み鍋」にチューハイが止まらない!
次は「坦々肉豆腐」が登場! グラタン皿に敷き詰められた肉味噌のドリアのような見た目に驚くが、その下には、なめらかな舌触りの自家製豆腐が! 「う〜ん、旨い……」と思わず唸るきたろうさん。「どれくらい試行錯誤した?」と聞くと、意外にも2〜3日だそうで、「ヒットする料理って意外に簡単(笑)」とご主人。料理長の東(ひがし)俊幸さん(42歳)とアイデアを出し合ってメニューを考案し、「じゃがいも塩辛」や「合鴨の味噌ロースト」、「えいひれタレ焼き」など、オススメは他にもいろいろ!
ここで、ふと何かに気づいた様子の西島さん。「私、ポテサラで思い出した! 確か、ミシュランに載ってますよね!?」。実は、「かんだ光壽」は、ミシュランガイド東京2015、2016版にビブグルマンとして掲載され、人気のポテトサラダが紹介されていたのだ。ご主人は「連絡が来たときは信じられませんでしたね」とうれしそうに話し、「表彰状見せてよ」というきたろうさんに、「頂いたシールは女子トイレに……」と言うから、一同大笑い!
次は、「さわらの西京焼きチーズソース」を。料理長の東さんがコロナ期間中に考案した新メニューだ。「和の西京漬けと洋のチーズを合わせ、山椒をピリっと利かせてコクを出しています」と東さん。「大将は、仕事には厳しく、料理も真剣に教えてくれる」そうで、きたろうさんは、「ご主人、いいかげんそうに見えて、実は厳しいんだね」と納得する。そんなご主人が大事にするのは、「従業員の環境や考え方を尊重すること。何でも話し合って決めています」とのこと。どうやら客だけでなく従業員にとっても居心地のいい店のようである。
最後の〆は、「いか肝煮込み鍋」。イカを丸ごと使った濃厚なスープにチューハイが止まらないふたり。衝撃的な旨さに「めちゃくちゃ沁みる!」、「すごいものに出会ってしまった〜」と感心しきりだ。そして、鍋の後には、「いか肝雑炊」のお楽しみも!
ご主人にとって酒場とは「出会いの場所」。きたろうさんは「こういう場所をなくしちゃだめだよね」と頷きながら、お腹も心も満たされて、もう何も言うことなし!