BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2015/1/24放送 #36 さくら

料理とおもてなしに込めた真心で人が人を呼びこんだ第二の人生を賭けた女将の店
『男はつらいよ』の街で「さくら」の暖簾を掲げる美人女将

夕焼け酒場が訪れるのは、これで2度目となる葛飾柴又。その駅の西側、小さな踏切の近くに今回の酒場「さくら」がある。暖簾をくぐると、女将の福島八重子さんがお出迎え。「そういえば、さくら(倍賞千恵子が演じた寅さんの妹)にちょっと似てますね」と、きたろうさんが言えば、「姥ざくらでしょ(笑)」と女将。いつものように焼酎ハイボールを頼むと、運んできてくれた店員さんが、これまた美人! 思わず「女将とはどういうご関係?」と訊くと、女将の娘だと言う。「女将、若い頃はこんなにキレイだったんだね」と、きたろうさんが言えば、女将がさも悔しそうに身をよじる。こんなやり取りはいつもの事なのだろう、明るく飾らない女将の醸し出す空気が、店中を包みこんでいて心地良い。

最初の料理は米ナスのしぎ焼き。しぎ焼きの由来には諸説あり、かつてはナスの果肉をくり抜いて鴫の肉を入れて食べていたから……などと言われる。しかし、少し甘めの味噌が絡まったナスもまた、実に美味だ。スプーンでナスをすくって頬張った2人は、焦げた味噌の香ばしさ、柔らかくアツアツのナスに感激。さぞかし腕のいい料理人がいるのだろう、「板さんはどんな人なの?」と、興味はそちらの方へ。板長の中堀忠雄さんは、女将が常連だった店の板前さんからの紹介で創業時から働き、調理場を一手にまかされている。高級料亭などで、長年振るってきたその腕は確かだ。そんな板長が、次に出してくれたのが豚バラベーコンブロック焼き。ベーコンの豚は肉質がきめ細やかで柔らかく、かつ甘みがあるやまと豚。そのベーコンを分厚く切り、じっくり丁寧に焼いた一皿は、老若男女、幅広い層に人気の一品だ。もちろんお酒のつまみに最高なのは言うまでもない!

ただ夢中になって働いて、前へ進むだけ

女将が店を始めたのは6年前。飲食店でのアルバイト経験さえ無い状態からの挑戦だった。「こんなに飲食店が大変だと思わなかった。立ち仕事だし、しんどいでしょ?」。8年前に最愛のご主人が亡くなり、何も手につかなくなったという女将。「でも、仏壇を見て暮らすのはヤですから。何も失うものが無くなったら怖いもの無しですね」と言う。63歳からの一念発起、第二の人生はこうして始まった。

次の一品は、かにグラタン。グツグツでアツアツのグラタンには、かにの身が驚くほど入っていて、西島さんは「こんなに!」と大喜び。サクサクっとした表面の焼き加減も絶妙で、女性に人気のメニューなのだとか。女将さんの人柄もあるのだろうが、常連さんには女性が多く、友達が友達を呼び、人の輪が広がって今の繁盛につながったという。最後に、これだけは食べて帰って欲しいというメニューをお願いすると、アイナメの姿煮が登場。新鮮な旬の魚を使った煮付けは、板長さんの得意とするところ。味付けはカツオだしに醤油、砂糖、酒のみを使用。絶妙のバランンスで整えられた、この煮汁で柔らかなアイナメの身を柔らかいままに、しかもしっかり味を浸透させて煮る。その腕前は“さすが”の一言だ。「煮付けうまい! それに新鮮! この煮汁がさぁ、魚の味を全然邪魔しない、素晴らしい」と、きたろうさんも大絶賛。

第二の人生を好調に踏み出した女将に、何か始めようという人へのアドバイスを貰うと「私達、団塊の世代でしょ? 元気出さないとダメになっちゃうじゃないですか。洒落た事は言えませんけど、ただ夢中になって働くだけ。やって出来ない事は無いですよ」と言う。「その第一歩はどうすればいいの?」と、きたろうさんが訊くと「悩み抜くんですよ。う〜んと悩んで苦しんで、胃が痛くなって、それでもやるしかないと思う。そうなれば碇はあがって船は進むんです。船は前に進むしか無いんですよ」。洒落た事は言えないと言いながら、洒落た事を言ってしまう女将。そんな女将に励まされるお客さんが、柴又にはたくさんいるに違いない。

さくらの流儀
その壱

太った立派な米ナスを半分に切り、味噌を塗って焼いて、仕上げにゴマをふりかける。米ナスしぎ焼き500円(税込)
その弐

分厚い豚バラベーコンを、ロースターでこんがり焼いた一品。粒マスタードを少しつけていただく。豚バラベーコンブロック焼き800円(税込)。
その参

食材を豪勢に使うさくらの料理の一例。かにの身がたっぷり入ったグラタンを、絶妙のカリカリ焼き加減でどうぞ! かにグラタン500円(税込)。
その四

寒くなるほどに脂がのるアイナメ。その素材の持ち味を生かすため、板長は最低限の味付けで姿煮を作る。アイナメ姿煮1,000円(税込)。
きたろうさんから、さくらへ贈る「愛の叫び」 第二の人生 山あり谷あり さくらあり  ———きたろう
「さくら」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都葛飾区柴又1−43−15
03-3609-7340
11:30〜14:00、17:00〜23:00
火曜日、日曜日夜
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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