福島県会津若松の人気酒場で
会津の郷土料理を堪能!
地元食材を使った絶品料理に大満足
会津郷土料理「こづゆ」に舌つづみ!
今回は福島県会津若松スペシャル! きたろうさんが大好きだという会津若松市は、鶴ヶ城や白虎隊などで知られる東北を代表する城下町。會津藩校の日新館や、白虎隊ゆかりの飯盛山、レトロな建物が並ぶ野口英世青春通りなど、観光スポットも多い。そんな会津若松で、きたろうさんと西島さんがお邪魔するのは、渋い雰囲気の入口に暖簾がゆれる「串焼 さぶろく亭」。迎えてくれたのは、ご主人・関口利昭(としあき)さん(58歳)。そのシャツには「義」の文字が! 「義に死すとも不義には生きず」という会津藩を象徴する言葉に、さっそく「会津」を感じながら、ふたりは焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、「さくら刺し」。会津名物の馬刺しは、柔らかな口当たりの赤身に辛味噌をつけていただく。意外そうな西島さんに、きたろうさんは、「知らないの!? 会津流は辛味噌をつけるんだよ!」と言いながら、「旨い! 完璧」と舌つづみ。西島さんも、「醤油と辛味噌で味が濃くなるかと思いきや、いい塩梅でおいしい〜」と感激だ。
ご主人は、「生まれてから会津を出たことがない」という生粋の会津人。「じゃあ、当然、“あいづっこ宣言”も?」ときたろうさんが聞くと、「もちろん。小学校の時から!」と胸を張る。“あいづっこ宣言”とは、青少年の心を育てる市民共通の行動指針で、「やってはならぬ やらねばならぬ ならぬことはならぬものです」と締めくくられる。そんなご主人は、会津若松の高校を卒業後、地元の半導体メーカーに就職したが、「お客さんの顔が見える飲食店の仕事がしたい」と思い続け、平成11年、36歳で酒場を開業。「36歳=さぶろく」から、「さぶろく亭」と名付けたという。
次の料理は「こづゆ」。正月など祝い事の際に食べる会津の郷土料理だそうで、ホタテの貝柱でとった出汁で、里芋や糸こんにゃくなどを煮た、具だくさんの汁物だ。「すっごくいい出汁。沁みる〜」と西島さん。きたろうさんも「ホタテおそるべし」と喉を鳴らし、「旨いものを作ろうという頑固さを感じるね!」。
34歳で会社を辞め、料理修業を始めたご主人は、昼間は焼き鳥店で仕込みをし、夜は居酒屋で働いたという。当時すでに結婚し、3人の子供がいる中での挑戦。修業中は、奥さんの収入が家計を支えたそうで、「家族は猛反対。親を含めて家族全員に迷惑をかけました」と振り返り、きたろうさんも「決死の覚悟だったんだね」と頷く。そして、「ここまで続けられたのは、家族の助けとお客様の支えのおかげです」とご主人。酒場の開業に反対した妻の久美子さんも、店を手伝ってくれているそうで、「彼女がいなかったら無理でした。本当に感謝の一言です」と頭が上がらないのだった。
汁物三連発! 〆は「揚げ出し餅」で
ここで、「にしんの山椒漬け」が登場! 身欠きニシンを山椒の葉と一緒に醤油と酢で漬け込んだ一品は、「噛めば噛むほど旨い」ときたろうさん。会津では各家庭で作る保存食だそうで、「これは、いいおつまみ!」と西島さんもチューハイが進む。
ご主人によると、「会津の三泣き」という言葉があるそうで、「一:初めて会津に来た人は会津の人の冷たさに泣く 二:雪深い冬の厳しさに泣く 三:会津を離れる時に会津の人の人情に泣く」とか。きたろうさんは、「会津の人って頑固だけど、本当は情に厚いんだね」と感心しきりだ。
続いては、ご主人が子供の頃から慣れ親しんだ家庭の味「芋汁」を。地元野菜をたっぷり使った汁椀に、「こづゆと同じ!?」と顔を見合わせるふたりだが、ご主人は「味は全然違いますから!」と自信ありげ。きたろうさんは一口食べて、おいしさに驚き、「温まるね。冬に最高! 会津に来たって感じだよ」と大満足。野菜は農家を営む実家から仕入れるそうで、「根菜もゴロゴロ! おいしい〜。山形の芋煮とはまた違うんですね」と西島さん。ご主人は、「山形は醤油、宮城は味噌。会津は醤油と味噌の両方を使うんです」と教えてくれた。
「おいしかったよ。また来るね!」という言葉が一番うれしいと話すご主人。きたろうさんが「会津弁で!」とリクエストすると、「うめかったから、またくっからな!」と威勢よく答え、「料理も接客も、お客様を裏切らないのが信条。会津人なんで」と穏やかな笑顔を見せた。店では、会津料理のほかにも、「厚焼きたまご」、串焼「手羽先」「かしら」、「スぺシャルイカ納豆」など、様々な料理でお客さんを楽しませている。
最後の〆は、「揚げ出しもち」。またまた汁物だ! 塩で味付けしたかつお出汁に、大根おろしと揚げ餅を入れる。きたろうさんは、「酒場に来て、汁物三連発なんて初めてだよ!」と言いながら、「3つとも全部、出汁が違う。なんだか味わい深いなぁ」としみじみ。
ご主人にとって酒場とは、「人と人を繋ぐ憩いの場所」。きたろうさんは、「当たり前だけど、その通り!」と納得し、会津の味と温かい人情を堪能するのだった。