川崎市溝口で昭和42年創業
名物女将が暖簾を守り続ける人気酒場
安くておいしい絶品料理に舌つづみ!
名物「金運つくね」で金運UP!?
雪が舞う中、きたろうさんと武藤さんが訪れたのは、神奈川県川崎市溝口(みぞのくち)。JR南武線・武蔵溝ノ口駅からすぐの「たまい本店」が今宵の酒場だ。古き良き昭和レトロな店内で出迎えてくれたのは、女将の石井清子(きよこ)さん(73歳)。2階の座敷に案内され、ふたりはさっそく、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。
「もう創業55年。私は女将で、社長は夫。今日は大事にしまってありますけど(笑)」としゃべりだした陽気な女将。きたろうさんが、最初のおすすめを催促すると、「そうでした!」と笑って、「まずは新鮮なお刺身をぜひ!」。この日は、中トロ、カンパチ、サザエ、平目、アジ、カツオの炙りの豪華な「刺身6点盛」。女将イチオシは中トロで、きたろうさんは、「とろけそう」とうっとり。武藤さんも鮮度抜群のアジに「肉厚でおいしい!」と感激だ。
女将の両親は東京都世田谷区成城で酒屋を営んでいたそうで、父の忠平(ちゅうへい)さん(享年78)が昭和42年に「たまい」を開業した。当時、服飾系の専門学校生だった清子さんは、軽い気持ちで店を手伝い始めたが、毎日が忙しく過ぎ、気付けば50年以上が経っていたという。
次のおすすめは、名物「金運つくね」。こんがり焼いた大きなつくねに卵黄を添え、「黄身をつけて食べるから、金運がつく(笑)。『金運がつくね〜』って言いながらどうぞ!」と女将。きたろうさんは「金運がつくね!」とパクリといって、上機嫌。武藤さんも、黄身をたっぷりつけて「金運がつくね〜」と口に運び、「中がふわふわで外はカリカリ。甘じょっぱいタレに黄身が合う」と舌つづみを打つ。
ご主人との出会いを尋ねると、女将は「やだ〜!」とケラケラ笑いながら、「お客様でした」と明かす。女将とご主人の一之さんは、昭和48年に結婚し、同時に先代の父親から店を引き継いだ。「店が軌道にのったのはいつ頃?」と聞くと、「そういうことは考えない。だって子供が3人いて、仕事も子育ても大忙し。不安になるようなことは考えなかった」ときっぱり。「寝る前に思い浮かんだりしないの?」と言うきたろうさんにも、「寝る前は、『今日は楽しかった! 明日も楽しい!』って声に出して言うんです。最近は、『絶好調!』って言ってます。そう言ってればダメにはならない。マイナス思考はナシ!」。女将の前向きな言葉に、武藤さんは、「悩み多きAKBのメンバーにも聞かせたい」と感心するばかりだ。
美味しさも安さも驚き! 「びっくりちゃんこ鍋」
続いては、5時間かけて仕込む「自家製青竹豆腐」を。まずは何もつけず食べて、「おいしい〜。味が濃い!」と感動するふたり。「舌ざわりもなめらかでプリンみたい」と言いながら、塩や醤油でも味わって、武藤さんは「私、何もつけないのが好きかも!」と、なかなかの“通”っぷり!?
女将とともに30年以上働く営業本部長の荒川さん(57歳)は、「女将はとにかくパワフル。僕なんかよりぜんぜん機転がきくし、考え方もポジティブ。何事に対してもスゴイ!」と話し、聞いていた女将は、「どっこいしょ〜!」と威勢よくピースサイン。「能天気なだけだよ(笑)!」と、きたろうさんがツッコんでも、「当たり〜!」と満面の笑みだ。
ここで、「焼き鳥」(ねぎま、砂肝、皮)が登場! 朝じめの鶏を炭火でじっくり焼き上げ、シンプルに塩でいただく。ネギが苦手な武藤さんも、「ねぎま」に挑戦して、「思ったよりネギが甘い〜」と難なくクリア! きたろうさんは、「皮もパリパリして旨い。 砂肝も新鮮!」と大満足。
現在、ご主人の一之さんは、社長業に専念し、店に出ることはないそうだが、“安くて美味しいものを”という店の方針を確立。いつでもおいしいものを提供できるように、鮮度の良いものをその日に使い切る量だけ仕入れるようにしたのだとか。そんな鮮度を活かしたオススメメニューは、「自家製いかわたみそ漬け」、「カキオリーブ焼き」、「牛すじカレーうどん」などバラエティも豊か。「スタッフもみんなプロフェッショナル。本当にありがたい」と感謝しながら、150席の店内を10人の従業員と共に切り盛りする女将。毎日8時間店に立ち続け、「とにかく楽しい。忙しければ忙しいほど充実感でいっぱい。73歳でそれができて、本当にうれしい!」とエネルギーがあふれんばかり。
最後の〆は、30年以上前から続く「びっくりちゃんこの鶏だんご鍋」。なんと値段も当時のままの980円(税抜)! きたろうさんはその安さに驚きながら、まずはスープを一口すすって、「旨いっ。出汁が出てる」と喉を鳴らす。具材は、鶏だんごや魚介、野菜などたっぷり14種類。寒い季節にぴったりの絶品鍋に、お腹も心も温まるふたりだった。
「夢は、ピンコロ!(ピンピン元気でコロっと死ぬこと)」と女将。「百歳まで生きて仕事したいから、“ピンコロ”でなきゃ」と話し、「酒場は、みんなが幸せになる楽しい場所。お客さんと触れあえるって、楽しい! うれしい! 絶好調〜!!」。