東京都中央区人形町で創業15年目
やんちゃな男が作り上げた人気酒場で
絶品さつま料理に舌つづみ!
ふわっふわの「自家製さつま揚げ」
本日の舞台は東京都中央区人形町。きたろうさんと武藤さんは、歴史ある人形町商店街を歩いて、今宵の酒場「焼酎処 さつま」へ。板場で腕を振るうご主人の小杉勇人(はやと)さん(46歳)と13歳年下の妻・しょうさん(33歳)に迎えられ、さっそく、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、「さつま鶏の刺身」。もも肉とむね肉の盛り合わせをいただく。きたろうさんは、「皮をちょっと炙ってるのも、また旨い!」と舌つづみを打ち、武藤さんも、「身がぎゅっとして、もきゅもきゅした食感! 新鮮でおいしい〜」とたまらない様子。食材は週に1〜2回、鹿児島県から直送で取り寄せるそうで、鮮度の良さに納得!
店は創業15年目。「この店の前は、カウンターだけの小さな店を5年半やってましたが、お客さんが増えて手狭になって」と、平成19年、ご主人が32歳の時に「焼酎処さつま」を開業した。料理の世界に入ったきっかけを尋ねると、「実は高校を中退していて……」と苦笑い。きたろうさんが、「やんちゃして、退学!?」とツッコむと、「そうです」と頷き、「親に、『就職しないなら出ていけ』と言われて、あまり興味はなかったんですが、とりあえず飲食の世界に」と、17歳から7年間、人形町の中華料理店で修業。「厳しい親方に、殴られ蹴られしながら、仕事に対する姿勢を教えてもらった」と振り返る。
次にいただくのは、「自家製さつま揚げ」。とびうおと白身魚のすり身に長ネギや大葉などを加え、注文を受けてから油で揚げる。武藤さんは、揚げたてアツアツにかぶりついて、「ふわっふわで、しっかり魚の味がする! こんなさつま揚げ、初めて!」と大興奮。きたろうさんも、「鹿児島にいる気分になるな〜」とうれしそう!
鹿児島料理に情熱を注ぐご主人だが、出身は東京だとか。「焼酎が好きなので、鹿児島料理の店にしようと決めてました。それに、大好きな歌手の長渕剛も鹿児島出身!」と目を輝かせ、きたろうさんは、「そこが原点か!」と納得。開業前から何度も鹿児島に足を運び、焼酎や食材の仕入れルートを自ら開拓したそうで、「黒豚蒸しセイロ」、「チキン南蛮」、「揚げたて厚揚げ」など絶品のオススメ料理が並ぶ。
続いては、鹿児島県から直送の黒豚を使った「黒豚角煮」。冷めないように、熱した石鍋でグツグツと煮立てながら提供するのはご主人のアイデアだ。じっくり煮込まれた角煮に、「柔らかくて脂が甘い〜!」と、頬が落ちそうな武藤さん。きたろうさんも、「歯がいらないくらい!(笑)」。
旨みが凝縮した「灰干し海老」に感激!
ところで、ご主人と13歳年下のしょうさんとの出会いは10年前。アルバイトで入店した彼女に、ご主人が一目惚れし、交際から1年でスピード結婚した。「どこに惹かれたの?」と聞くと、「若くて可愛いから!」とご主人。しょうさんも、「でかくてカッコいいので」と、互いに微笑みあう。そして、「僕はだらしないから、結婚してなかったら、ダメになってたと思う。孫悟空と三蔵法師みたいなもんですね」と、頭が上がらないご主人なのだ。
ここで、「灰干し海老」が登場! 灰干しとは、火山灰を使って魚介の水分を抜く製法で、旨みが凝縮されるという。香ばしく焼き上げた灰干し海老を頭から殻ごと食べたきたろうさん、「海老の甘みがすごい! これはビックリ。チューハイに合うわ〜」と絶賛。武藤さんも「殻もパリパリ。軽い食感でパクパク食べちゃう!」と止まらない。
「お客さんには、料理だけでなく接客も値段も、すべて含めて楽しんでもらいたい」と心を込めるご主人。店を続ける秘訣は、「手を抜かず、当たり前のことを当たり前にやる」と堅実だ。「今、やんちゃしてる若者に向けて、やんちゃを止めたきっかけを教えて」ときたろうさんが聞くと、「親が風呂で泣いてたんですよね……。それを見て。それまで仕事もしないでどうしようもなかったんですが、しっかりしようという気持ちになりました」。
現在、勇人さんの母・小杉厚子さん(73歳)は週に2日、店の営業準備を手伝っているそうで、「あの子が自分で店を出すなんて、ビックリでした。最初は、やってみて失敗すればそれまでのことだと思ってましたが、ここまで続くなんて。本当に頑張りました」。きたろうさんは、「息子も親孝行できてうれしいね。若い時は、やんちゃするべきだな。普通に生きてたんじゃ、親に感謝する機会もないかもしれない」としみじみするのだった。
〆は、さつま鶏のもも肉を使った「さつま鶏水炊き」を。鶏ガラベースの出汁に酒と塩を加えて作るスープが自慢の一品に、「ほっとする味」、「野菜にも鶏の旨みがしっかり沁みてる〜」と、ふたりは大満足!
「コロナ禍でお客さんの流れが変わり、今後はそれに対応して店を安定させていきたい。スタッフもゆくゆくは自分の店を持てるように育てていければ」と先を見据えるご主人。「酒場とは、楽しく過ごす場所。それだけです!」と、シンプルながら熱い想いがあふれた。