ふるさと北陸の新鮮な魚介が自慢
ご主人の技が光る絶品料理の数々
贅沢な旬の味覚を堪能!
「のど黒の一本炭火焼き」に舌つづみ!
今宵の舞台は、東京都目黒区目黒本町。きたろうさんと武藤さんは、東急電鉄武蔵小山駅から徒歩8分、昔ながらの雰囲気が残る“目黒平和通り商店街”を歩いて、「酒菜と炭 てりや」へ。高級感漂う店内の雰囲気に、「これは旨いものが出てくるぞ〜」と、期待が高まるきたろうさん。さっそく、ふたりは、ご主人の中村丈夫(たけお)さん(50歳)に焼酎ハイボールを注文して、「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、「岩もずく酢」。能登半島産の天然岩もずくだそうで、「流通しているもずくの約9割が養殖。天然物は、ほとんど出回ってない」とご主人。きたろうさんは、ズズっとすすって、「普段食べてるのとは全然違う。これはたまらん!」と舌つづみ。武藤さんも「シャキシャキしてコシがある!」と感激だ。富山県出身のご主人が、地元から直送してもらうそうで、きたろうさんは、「富山の人はいいもん食ってるなぁ〜」とうらやましそう。
ご主人は、富山の商業高校を卒業後、石川県のホテルに就職。経理担当だったそうだが、「料理人の同期仲間に魚の捌き方などを教えてもらううちに、だんだんと料理の世界に興味が移って」と、ホテルを退職。富山県の和食店で約3年間修業した後、33歳の時に一流の料理人を目指して上京を決めた。東京での修業先に選んだのは新橋の焼鳥店。「食べに行ったお店の雰囲気と味にすごく心惹かれて、翌日、働かせてほしいと電話したんです」。これにはきたろうさんも、「すごい行動力だね!」と感心しきりだ。
さて、ここで、「のど黒の一本炭火焼」が登場! 思わず「でかーい!!」と歓声を上げるきたろうさん。「贅沢だなぁ。言葉も出ないよ」と大興奮! 武藤さんは、一口食べて、「身がふわふわで、口に入れた瞬間の香りがとってもいい」と目を細める。魚介は週に3〜4回、北陸から直送されるそうで、「富山出身なのもありますが、やっぱり日本海側の魚介は本当においしい!」と、北陸産の魚介にこだわるご主人だ。
続いては、富山湾で水揚げされた「白海老のかき揚げ」を。新鮮な白海老をたっぷり使ったかき揚げに、「コース料理みたい。高級料亭だよ」と満足気なきたろうさん。武藤さんも、「上品で優しい味。サクサクでおいしい〜」と箸が止まらない。
刺身も絶品! 「ホタルイカのしゃぶしゃぶ」
平成24年、40歳で「てりや」を開業したご主人。最寄り駅から少し離れた商店街に開業した理由を尋ねると、「東京はこんなに人が多いんだから、どこでも同じだろうって思って」と笑いながら、「でも実際は、なかなかお客さんが来てくれず、開業1年目はキビしかった」と振り返る。「もう運転資金も底をついて、翌月も赤字だったら店を辞めようと。でも、自分の腕を信じて頑張ったら、なんとか黒字を出せたんです」。ギリギリのところで閉店を免れると、開業から2年後、大きな転機が訪れる。「ちょっと変わったお客さんがいらっしゃって。実は、その方がミシュランの調査員だった」と、ミシュランガイド東京2015・2016で2年連続、ビブグルマンに選定されたのだ!
次は、ミシュランも認めたご主人の技が光る一品。富山県・四方(よかた)漁港で水揚げされた「ホタルイカのしゃぶしゃぶ」! 胴と足を丁寧に捌き、自家製肝ダレをつけて刺身としていただくこともできる。「旨いなぁ〜。しゃぶしゃぶの分がなくなっちゃいそう」と、きたろうさん。武藤さんも「肝ダレが濃厚! イカの旨味がぎゅっと入ってる」と舌つづみ。続いてしゃぶしゃぶでいただくと、甘みが引き立ち、まろやかな味わいに! きたろうさんは、「非常に旨い! 刺身もおいしいけど、やっぱりしゃぶしゃぶが旨いな」と、もう止まらない!
料理のこだわりは、「自分で食べておいしいかどうかです」とご主人。「北陸出身のお客さんに、『向こうで食べた方がおいしい』とは言われたくないので!」と、自慢の腕を振るい、「お刺身盛り合わせ」、「地蛤と筍の酒蒸し」、「海老のとろ〜りクリームコロッケ」など、お客さんの舌を唸らせるオススメメニューを取り揃えている。
店をやっていく上で一番大切にしているのは、「従業員も含め、楽しく働くこと。売上ばかり気にせず、料理のレベルアップを心掛けています。コロナ禍で大変でしたが、メニューを開発に時間を使うことができた」と前向きだ。料理人の佐澤仁さん(38歳)も、「大将は懐の深い人。怒るときも、優しさと愛がある」と話し、調理場の雰囲気の良さが伝わってくる。
最後の〆は、「自家製ベーコンと雲丹ソースのカルボナーラ」。ベーコンの香りと濃厚な雲丹ソースが相まって、たまらない様子の武藤さん。きたろうさんは、「一品一品が本当に贅沢」と堪能しながら、「俺、まだまだ飲んじゃう(笑)」!
「手広くやるよりも、小さく長く店を続けていくのが夢」と話すご主人。「酒場とは、日常のエンターテインメント。ここでちょっと幸せになって、また明日につながれば!」と素敵に締めくくってくれた。