三軒茶屋の「三角地帯」で人気の酒場
元デザイナーのセンスが光る
アイデア満載の創作料理に舌つづみ!
「新じゃがのポテサラ」は味も見た目も大満足!
本日の舞台は、東京都世田谷区三軒茶屋。きたろうさんと武藤さんが向かったのは、世田谷通りと玉川通り(国道246号)に挟まれた三軒茶屋の「三角地帯」と呼ばれるエリア。狭い路地に様々な酒場が軒を連ねるノスタルジックな飲み屋街だ。「昭和初期にタイムスリップしたみたい!」とワクワクしながら、今宵の酒場「いざかや ほしぐみ」の暖簾をくぐるふたり。古き良き昭和を感じるおしゃれな店内で、ご主人の柳生久輝(ひさてる)さん(45歳)に迎えられ、さっそく、焼酎ハイボールで、「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、「新じゃがのポテサラ」。ポテトサラダの上にタラコを乗せた色鮮やかな一皿に、「インスタ映え!」と歓声を上げる武藤さん。ご主人によると、お客さんの7割が女性だそうで、きたろうさんは、「やっぱりね」と納得しながら、「ポテサラとタラコ、合うな!」と箸がすすむ。武藤さんも「味がしっかりしてて、じゃがいものゴロゴロした食感もいい」と舌つづみを打ち、「プライベートでも来たい!」と心をつかまれた様子だ。
創業14年目を迎えた「いざかや ほしぐみ」の斜め向かいには、2号店「ほしぐみフライドキッチン」があり、3号店の「いざかや ほしぐみ新館」も近隣で営業しているという。「この辺は小さい店が多くて、最初は入りにくいかもしれませんが、全然敷居は高くないんですよ」と気さくな笑顔を見せるご主人。酒場を開業する前は、グラフィックデザイナーだったそうで、「だからこんなにおしゃれなんだ!」と、きたろうさんは膝を打つ。美術大学を卒業後、ワイン会社で商品パッケージなどを手掛けていたが、大学時代のアルバイトで感じた飲食店の面白さが忘れられず、25歳で転職。都内の酒場などで6年半修業し、平成21年に32歳でこの店を開業した。
「デザイナーの仕事は面白かったけど、どうしても部分的な仕事になってしまう。もっと全体的な仕事がしたくて。自分の店なら全部自分で決められて楽しいだろうと思ったんです」と、料理はもちろん、店のロゴやメニュー表もご主人が自ら手掛ける。「三茶はクリエイティブで個性的な人が多くて、面白い」と、この場所を選んだが、「当時、この辺りはシャッター街で、若い子が来るような雰囲気じゃなかった。今では、若い人が増えましたが」と振り返り、きたろうさんは、「ご主人たちが街おこししたようなもんだね」と頷くのだった。
華やか! いちごを使った生ハムのカプレーゼ
次のおすすめは、「リアルとんがりコーン」! スナック菓子の「とんがりコーン」の上に、香ばしくローストしたヤングコーンを乗せ、粉チーズをかける。ご主人がスペインで食べた料理から思いついたという一品に、「ほくほくして、甘〜い」と目を細める武藤さん。チューハイにもぴったりで、ふたり揃って「もう一杯!」
と、ここで、突然、おかもちで出前が運ばれてきた! 斜め向かいの「ほしぐみフライドキッチン」から、「ひな鶏の半身揚」が届いたのだ。揚げ物はすべて、徒歩5秒の2号店で調理しているという。8種類のスパイスで下味をつけた鶏を、一度蒸してから高温で揚げた「ひな鶏の半身揚」は、「皮がパリパリ! 肉はしっとり。やわらかくて、おいしい」と武藤さんは頬が落ちそう!
店名は、ご主人の名前「久輝」から連想する「星」と、チームを表す「組」を合わせたもの。女性も入りやすいように、ひらがな表記にしたという。若い女性のお客さんも多く、インスタ映えも意識して取り入れているご主人。オススメメニューには、「ドライトマトのパテと自家製りんごバターの合い盛り」、「桜海老タルタルポテトフライ」、「えのきと山芋の明太焼」など、見た目も魅力的な絶品料理が目白押しだ!
次のおすすめ「生ハムとモッツァレラチーズととちおとめのカプレーゼ」も、トッピングにいちごを散らした華やかな一皿。きたろうさんは、「俺に“映え”は必要ないよ」とすねながらも、一口食べて「旨い! めちゃめちゃ旨い!」と大興奮。季節によって、シャインマスカットやイチジクなど旬のフルーツを乗せるそうで、思わず写真を撮りたくなるのも頷ける。ご主人は「こういう古い通りの店だからこそ、料理にギャップがあった方が面白い」と、デザイナーらしいセンスがキラリ!
最後の〆は、「塩煮込み」に「柚子こしょうトースト」を添えて。豚軟骨と牛スジをトロトロになるまで煮込んだ味わい深いスープに喉を鳴らす武藤さん。トーストとの相性も抜群で、きたろうさんは、「煮込みのおじさん臭さがないよ(笑)。パンと食べるなんて洗練されてる。試行錯誤、大変だったろうね」と感心するばかりだ。
ご主人は、店を辞めようと思ったことはないと言い、「自分の責任で全部できるし、毎日たくさんのお客さんと出会える。狭いお店なので、お客さんの反応がすぐわかるのも楽しい」と充実した様子。「酒場とは、自分が遊べる場所。どこでもできる仕事なので、自分の好きないろんな場所でやってみたいですね!」と楽しそうに目を輝かせた。