役者を目指して上京した主人が
酒場という新たな舞台で魅了する!
山形県の絶品郷土料理の数々
暑い季節にさっぱりと! 「山形のだし豆腐」
今宵の舞台は、東京都武蔵野市吉祥寺。井の頭恩賜公園にやってきた、きたろうさんと武藤さんが向かったのは、山形県の郷土料理が味わえる酒場「YAMMA(ヤンマ)」。店を一人で切り盛りしているのは、ご主人の生田(いくた)淳二さん(40歳)だ。木のぬくもりを感じる山小屋風の店内で、ふたりは、さっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」
最初のおすすめは、「山形のだし豆腐」。“だし”とは、きゅうりなどの夏野菜と香味野菜を刻み和えた山形県の郷土料理で、「農作業の合間にさっと食べられる、暑い時期の定番料理」だとか。その“だし”を豆腐にかけた一皿に、「すっきりしていて、いくらでも食べられそう!」と武藤さん。きたろうさんも、「さっぱりして、見た目も涼しげ。チューハイとも合うねぇ」と絶賛だ。
山形県南部の米の名産地・川西町で生まれ育ったご主人。高校卒業後は、役者を志して上京し、10年ほど役者修業を続けたという。しかし、「結婚を考え始めた頃、そろそろしっかりしなくては」と、役者の夢を諦めて、料理の世界へ。平成23年に結婚した妻の千紗さんには、味見などもしてもらうそうで、「店を一人でやっていると、意見を言ってくれる人もなく、妻の助言はありがたい。一番近くにいるお客さんですね」と感謝するご主人である。
続いては、「山形牛の芋煮」を。贅沢に山形牛を使い、里芋・こんにゃく、しめじ・長ねぎと一緒に煮込む。きたろうさんは、「山形と言えば芋煮! 甘めの味付けもちょうどよくて、チューハイが進む」と、早くも「おかわり!」。武藤さんも、「里芋にすごく味がしみてる。お肉も柔らかくておいしい〜」と大満足だ。
「まだまだこれからって時に、役者の夢を諦めるのは辛かっただろうね」ときたろうさん。ちなみに、きたろうさんの子供の頃の夢は野球選手だったそうで、「“将来の長嶋”って言われてその気になったけど、中学入ったら体のデカい奴らばっかり。これは無理だ!って挫折感を味わったね」。一方、武藤さんは、「保育士さんかテーマパークのダンサーになりたかった。中学からダンス部で、高2でAKBに入ったので、やりたいことはやれてますね」。そんなふたりの会話を聞きながら、手際よく調理を進めるご主人に、きたろうさんは、「カウンターの前で料理をするのも、舞台に立つようなもんだね!」と声をかけ、武藤さんも、「確かにステージみたい! お客さんの反応がすぐ分かりますし」と大きく頷くのだった。
「玉こんにゃく」は山形県民のソウルフード!
役者の道を諦めたご主人は、上京以来アルバイトを続けていた料理の世界を新たな舞台として選び、27歳から割烹料理店で本格的な修業を開始。周囲の後押しもあり、平成24年には30歳で、「YAMMA」を開業した。山形料理の店にした理由は、「故郷愛」に加え、「郷土料理は流行り廃りがあまりなく、お客さんが通い続けてくれる店にできると思ったから」。店名は、「『山形の空間』をイメージして、『山間(やんま)』。漢字だと堅苦しいので、ローマ字に」と教えてくれた。
「山形の郷土料理は基本的に家庭料理。修業で学ぶというよりは、母親に聞いたり、レシピを自分で調べたりして作ってきました」とご主人。そんな店のオススメメニューは、「山形牛のクリーミィコロッケ」や、山形県川西町特産の紅大豆を使った「紅大豆のチリコンカン風」、高野豆腐煮と茹で野菜を和えた「山形のひやしる」など、こだわりの料理が並ぶ。
ここで、山形県民のソウルフード「玉こんにゃく」が登場! きたろうさんは、「山形に来たみたい!」とうれしそうにモグモグ。「山形では人の集まるところには必ずある料理。子供にとっては“おやつ”だし、大人はこれを食べながら飲むんです」とご主人。山形名産の食材は地元から取り寄せているそうで、「山形県出身のお客さんも多く、別の産地のものを使うと気づく人も多い」のだとか!
続いては、「山形牛の赤ワイン煮」を。山形牛のすね肉を3〜4時間煮込んで旨味を引き出した一品をパンにのせていただけば、「お肉が柔らかくてホロホロ〜」と、頬が落ちそうな武藤さん。きたろうさんも「贅沢だなぁ」と唸るばかり。
最後の〆は、「南蛮味噌の焼きむすび」と、こちらも山形の郷土料理「納豆汁」を。山形県名産の米「はえぬき」を使った焼きむすびにかぶりついて、「お米が旨い!」と感動するきたろうさん。武藤さんも「ふわっと握ってあって、ピリっと辛い南蛮味噌もおいしい!」と大満足。「納豆汁」は、食べやすいように納豆を叩いてから入れ、コクを出すため隠し味に酒粕を加えるそうで、「トロみがあって、具だくさん。おいしい!」と、山形料理を堪能したふたりだった。
「役者を諦めて開業して、本当によかった」と言う主人にとって、酒場は「劇場」。「役者とお客さんがいて、料理やお酒といった演目があって、生産者さんや問屋さんなど裏方さんがいる。みんなで一緒に進んでいくのが酒場という舞台ですね!」。