世田谷区北沢の人気酒場で
日本各地の絶品ご当地料理を堪能!
45歳で上京して夢を叶えた男の物語
山口県の人気給食「チキンチキンごぼう」!
今宵の舞台は、東京都世田谷区北沢。京王井の頭線・池ノ上駅から、きたろうさんと武藤さんが向かったのは、日本各地のご当地料理が味わえる「酒場 晴(はる)」。アニメのポスターが飾られた洒落た店内で、ご主人の辻岡晴久さん(48歳)に迎えられ、ふたりは、さっそく焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、「ごまぶり」。福岡県のご当地料理だそうで、「九州では、“ごまさば”が多いですが、ぶりを使った“ごまぶり”です」とご主人。ぶりの刺身を醤油やみりんで味付けして、ごまをまぶし、青じそやねぎを散らす。「さっぱりして、夏にぴったり!」と気に入った様子の武藤さん。「九州出身なんですか?」とご主人に尋ねると、「山口県出身ですが、上京する前は博多に長く住んでました。○○県の○○といった、ローカル感のある居酒屋メニューを出す店にしたいんですよね」と説明。開業したのは令和2年3月で、「ちょうどコロナが騒がれ始めた頃。店が開けられない期間がずっと続いて、本当に大変でした」と振り返る。
ご主人は、高校卒業後、機械加工メーカーで働いていたが、23歳で銀行の営業職に転職した。約15年間勤めた後、38歳で銀行を退職し、料理の道へ。「若い頃から料理が好きで、30代になると、どうしても自分で店をやってみたくなって。その気持ちが強くて、迷いや不安はなかった」と言う。上京したのは、開業の半年前。「半分勢いで来ちゃいました」と笑うご主人に、きたろうさんは、「面白そうな人生だな〜!」。
次のおすすめは、「チキンチキンごぼう」!? 「地元山口県の学校給食で人気のメニュー」だという。油で揚げた鶏もも肉とごぼうを九州の刺身醤油や三温糖などで甘辛く味付けしてあり、「お子さんは絶対好きですね」と納得する武藤さん。「実に旨い!」ときたろうさんも大満足で、ご主人は「温かくても、冷たくてもおいしいし、お酒にもご飯にも合う。山口県出身のお客さんもすごく喜んでくれます」と胸を張った。
38歳で調理師専門学校に入学し、39歳から博多のイタリア料理店などで修業を始めると、「同僚は年下ばかりで、風当たりも強く、ハードルは高かった。でも、とにかく自分の店を持ちたい一心で、厳しさは気にならなかった」。東京での開業を決めたのは、「コロナ前、外国人旅行客が急増した頃に博多の地価も跳ね上がり、それなら東京と変わらないと思って。料理人の先輩には心配されましたけど」と笑い、きたろうさんは、「人生、なんとかなるもんだね」と感心するのだった。
おつまみにぴったり! 広島名物「がんす」
続いていただくのは、広島県の名物「がんす」。魚のすり身にパン粉をつけて薄く揚げた「がんす」をフライパンで焦げ目がつくまで焼き、紅しょうがとねぎ、マヨネーズをかけてお好み焼きのように食す。広島の鉄板焼き店では定番メニューだそうで、「〜でがんす」という広島弁が料理名の由来とか。きたろうさんは、「お酒のつまみにめちゃくちゃ合う」とパクパク、ゴクゴク!
ご主人の料理のこだわりは、「できるだけ国産の素材を使い、塩分控えめであまり濃い味付けにしないこと」とヘルシー志向。オススメメニューには、「上赤身馬刺」(熊本県)、「紅しょうが天ぷら」(大阪府)、「カキフライ」(広島県)など、垂涎もののご当地料理がずらりと並ぶ。
ここで、山口県産銘柄鶏の長州どりを使った「せせり天ぷら」が登場! せせりは首回りの肉で、弾力のある食感とジューシーさが特徴だ。抹茶塩でいただいて、「サックサクでおいしい!」と舌つづみを打つ武藤さん。ご主人は、「最初は下味をつけてましたが、鶏自体がおいしいので、余計なことをしないのが一番!」と、そのまま揚げることにしたのだそう。
最後の〆は、博多屋台の名物「博多焼ラーメン」。汁のない“豚骨味焼きそば”のような一皿に、きたろうさんは、「スープがない! でも焼きそばでもない。不思議な食感だ」と箸が止まらない。武藤さんも「モチモチしてておいしい! 食べやすいし、〆にぴったり」と感激だ。
「開業を後悔したことは一度もないし、楽しくてしょうがない!」と断言するご主人。夢は、「ここで長く続けていくこと。ずっとこのカウンターに立っていたい」と話し、「酒場とはコミュニケーションの場。ひとりで寂しく飲むより、絶対、楽しいし、おいしいですから!」。