酒場激戦区の目黒区中目黒で創業10年目
一途な情熱で夢を叶えた女将がつくる
食材のおいしさを活かした日本料理を堪能!
絶品刺身に舌つづみ!「旬の鮮魚の五種盛合せ」
本日の舞台は、東京都目黒区中目黒。きたろうさんと武藤さんが向かった今宵の酒場は、目黒銀座商店街にある「松まつもと」。こだわりの旬食材を使った日本料理が味わえる人気店だ。趣あるコの字カウンター12席のみの落ち着いた店内で、女将の松本幸子(ゆきこ)さんに迎えられ、さっそく、焼酎ハイボールで「今宵に乾杯!」。
最初のおすすめは、「旬の鮮魚の五種盛合せ」。この日は、タコ、サワラ、銀聖(ぎんせい)鮭、マグロ(中トロ・赤身)、白バイ貝。兵庫県明石産のタコは、シコシコと噛むほどに旨みが広がる。三重県産のサワラは皮を炙った焼き霜造り。醤油をつけずにわさびだけで食せば、「魚の味がよく分かる。旨い!」ときたろうさん。武藤さんも、「皮が香ばしくておいしい!」と舌つづみを打つ。続いて、この時期に獲れる銀聖を食べて「脂が甘い〜」と目を細め、白バイ貝は「柔らかい! ほろ苦さもあって、お酒に合う」と、止まらない。
女将は、子供の頃から、母親の料理を手伝うのが好きだったそうで、「小4の時の文集を見たら、『将来の夢は、小料理屋の女将さん。おいしい料理は人を幸せにできるから』と書いてあって、自分でもびっくりした」とか! その夢を叶えた女将だが、高校卒業後は自動車メーカーに就職したという。「学校の先生からは3年間は辞めないようにと。でも、やっぱり料理をしたくなって、終業後に飲食店でアルバイトを(笑)。なんとか3年間勤めて、飲食店へ転職しました」。
次にいただくのは、女将が、こだわりのにがりで作る「手作り生豆腐」。まだ温かさの残る豆腐を何もつけずに味わって、「舌ざわりがなめらかで、大豆の香りと甘みがしっかりある」と武藤さん。お好みで岩塩とマグロ節をかければ、大豆本来の風味が引き出されて、きたろうさんも唸る旨さだ。
旬の食材を贅沢に使った「季節のお椀」は感動もの!
この道40年。女将は様々な店で修業を重ねてきた。「最初は居酒屋。それからマグロ料理店の店長をやりました。その後、いろいろあって……」と言う彼女に、きたろうさんは、「結婚した!?」と、ズバリ! 女将は頷いて、「私の人生の目標に“結婚”はなくて、夢は店を持つことだった。だからその夢を邪魔するようなことがあると結婚はできないと言ったんです。そしたら、『絶対、邪魔しない』と応えてくれて」。理解ある相手と結婚し、さらに邁進した女将。
「自分で仕入れをして、自分で作って、自分でお客様に説明しながらお出しして、美味しい顔を見る。そこまでが料理だと思ってます。そういうお店を目指して、どこにいても自分の店だと思って働きました。だから、周りに敵も多かった」と苦笑い。それでも信念を貫き、ついに平成25年、理想の酒場「松まつもと」を開業したのだ。当初は、保育園や小学校のママ友に声をかけて集客することも考えたというが、「その前にお客さんが来てくださって、2015年からはミシュランのビブグルマンを3年連続受賞できたんです!」。
続いては、A4ランクの「常陸牛ヒレ肉のグリル」を! 焼き上げたあと20分寝かして旨みを閉じ込めるそうで、武藤さんは、口に入れた瞬間、「本当に柔らかくて、おいしい!」と目を見開く。バルサミコを使った特製ソースが肉の味を引き立て、大根・玉ねぎ・りんごの自家製ダレをつけると、さっぱりとした味わいも楽しめる。
ここで名物の「季節のお椀」が登場! 京芋に“雲子(くもこ)”と呼ばれるタラの白子を乗せ、菊の花びらを散らした彩り豊かな一品。トロトロの白子に焼き目をつけることで、香ばしさをプラスした深い味わいに、「これはすごい! 旨いなぁ〜、贅沢だなぁ〜」と感動しきりのきたろうさんだ。
女将のこだわりは、「食材が活きる料理を作ること。“その人たち”(女将は食材をそう呼ぶ)が、一番元気でいい状態でいられるように調理します」。オススメメニューも、「あん肝の柚子胡椒煮」、「白魚と九条ねぎのかき揚げ」、「有機野菜のお造り」など、素材のおいしさを存分に味わえる絶品料理ばかり!
〆には、「卵かけご飯」を。6種類をブレンドした熟成米を土鍋で炊き上げ、那須御養卵「極」で食す。「黄身がすごく濃い! 朝日のような色」とうれしそうなきたろうさん。一口食べて、「王道だね! 大好きなんだよ」と、うっとり。ごま油で味変するのもおすすめで、「ごま油のいい香りと、それに負けないしっかりした卵の味! どちらもおいしい」と武藤さんも絶賛だ。
「辞めようと思ったことは一度もないし、100歳までやりたい!」と目を輝かせる女将。「以前は店を出すことが目標でしたが、今は続けることが目標。常に次の目標を持つことが、情熱を保ち続ける秘訣」と力強く語り、酒場とは、「みんなを幸せにする場所。私も幸せだし、お客さんも幸せになれる」。きたろうさんは、「みんなを幸せにしてくれるのは天国しかない。ここは天国だね」と、大満足!