東京都足立区五反野で本格和食を堪能!
ご主人の人生を変えた
日本を代表する名料理人との出会い
“和食の花形”かつお出汁の吸物に感動!
今宵の舞台は、東京都足立区五反野(ごたんの)。きたろうさんと武藤さんがお邪魔したのは、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)五反野駅から徒歩数分、創業7年目を迎えた「酒肴 和ろく」だ。清潔感あふれる明るい店内で、ご主人の佐竹剛(つよし)さん(41歳)と女将の和代さん(39歳)夫婦に迎えられ、さっそく、焼酎ハイボールで、「今宵に乾杯!」。月毎にメニューが変わる会席コース6,930円(税込)の中から、特におすすめの料理をいただく!
まずは、「前菜4種」を。美しい盛り付けに、「写真撮りたくなっちゃう〜」と歓声をあげる武藤さん。この日は、キノコと蟹を使った「木ノ子和へ物」、冬が旬の「安肝ポン酢」、濃厚な「クリームチーズの西京漬焼」、絶妙な組み合わせの「柿の白和え」。どれも上品な味で、ため息が出るようなおいしさ!「ちゃんとお酒に合うね!」と感心しきりのきたろうさんだ。
次にいただくのは、吸物の「里芋豊年万頭」。「かつお出汁は、“和食の花形”。日本人が美味しいと思える和食の代名詞」と言うご主人。出汁は椀物用と煮物用の2種類を使い分け、椀物用には血合いのないかつお節と昆布を使用する。たっぷりの出汁に入れるのは、練った里芋で、鶏ひき肉、ねぎ、生姜が入った餡を包んだ豊年万頭(まんじゅう)だ。きたろうさんは、「日本人に生まれてよかったぁ〜」と喉を鳴らし、「相当修業してるね、この味は!」と絶賛する。
ご主人は、子供の頃から、食堂で働く母親の姿を見て、自分も中学校を出たら料理の道に進むと決めていたというが、「さすがに高校だけは」と親に言われて進学。高校卒業後、地元栃木県内の日本料理店に就職した。そして、21歳の時に「和食を極めたい」という思いで上京し、ある料理人との運命的な出会いを果たす。「たまたま、銀座にある道場(みちば)六三郎の店『銀座ろくさん亭』で研修させてもらえることになって。最初は1か月程度の予定が、ちょうど正規メンバーが辞めるタイミングと重なり、僕だけ店に残してもらえたんです」。“和食の鉄人”道場六三郎さんは、卓越した料理の技能を持ち、日本の和食界を代表するひとり。2007年には旭日小綬章を受賞し、91歳の現在でも厨房に立ち続けている。
そんな道場さんのもとで厳しい修業を重ね、出汁の大切さや、飽きの来ない味の奥深さ、盛り付けの美しさなど、和食のすべてを学び、一流の料理人として認められたご主人。副料理長を5年つとめ、12年間の修業を終えて、36歳で「酒肴 和ろく」を開業した。2008年に結婚した和代さんも、同じく道場さんの店でホール担当として働いていたそうで、「彼女の人への接し方に魅力を感じた」ご主人と、「彼の一生懸命な姿に惹かれた」和代さんが、力を合わせて店を営んでいる。
“遊びと反逆”を体現!? 「国産豚ばらの角煮」
ここで、「マグロ炙り」が登場!みりんと醤油ダレに漬け込んだ本マグロの表面を炙り、鬼おろしと自家製ポン酢で食せば、「旨っ! うま、うま、うま……」と言葉にならないきたろうさん。武藤さんも「さっぱりしていて、いくらでもいける!脂の甘みも感じられておいしい」と箸が止まらない!
店名の由来は、「和食の“和”に、道場六三郎の“ろく”。それに、開業が2016年6月、36歳だったから」。看板は道場六三郎直筆だ。ご主人は、「都心で開業する気は全くなかった」そうで、「銀座では、接待が多く、商談が重視されがちだった。料理人としては、温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに、おいしく食べてほしい。だから、下町で開業して、ひとりでも多くのお客さんに、純粋に料理を楽しんでもらいたかった」。開業後は道場さんも来店し、「『お前の料理はおいしかった』と言ってもらい感無量でした」と話すご主人。店内には、道場さんが書いた1枚の色紙が飾られており、「僕の料理は遊びと反逆」との文言が! 和洋中の食材、調味料を問わず取り入れて美味しい料理を作るのが、道場六三郎の教えなのだ。
続いては、和食を大胆にアレンジし、「遊びと反逆」を体現した一品。リンゴとバルサミコを使ったソースで食べる「国産豚ばらの角煮」だ。ホロホロの角煮に、「すごいね。食感といい、甘みといい、旨い!」と絶賛するきたろうさん。酸味の利いたソースとの相性も抜群で、武藤さんも「おしゃれな味!」と感激だ。他にもオススメメニューには、「さといも唐揚げ」、「ぶり大根カレー風味」、「カリフラワーのポタージュ」など、枠にとらわれない絶品和食がズラリ!
最後の〆は、「新米とご飯のお供」。ご主人の親戚が作った栃木県さくら市産の新米に合わせるのは、ワタに漬け込んで焼き上げた「さんまの肝焼き」!「出汁には妥協しない!」とご主人が胸を張る味噌汁も、染み渡るおいしさであった。
「大切にしているのは、自分を見失わないこと。やろうと決めたことはブレずにやりたい」というご主人にとって、酒場とは「心の拠り所」。今後は、「子供たちの和食離れが進む中、和食好きな子供が増えるように、少しでも貢献できれば」と、和食への愛はまだまだ広がる。