BS-TBS「〜癒・笑・涙・夢〜夕焼け酒場」 毎週土曜よる6:00〜6:30 BS-TBS 2015/3/14放送 #42 山利喜

フレンチ出身のご主人が作る定番のやきとん、煮込みがひと味違う老舗酒場のモダンなアイデア料理
“先代からの看板料理にフレンチのひと工夫

関東大震災からの復興間もない大正14年の創業。下町、深川で90年も続く老舗酒場と聞くと構えてしまうが、今回訪れたのはその新館で、店の扉は赤い自動ドア。中に入ると広いオープンキッチンとカウンター、女将の孝子さんが出迎えてくれる。「オシャレ! 洋食屋じゃないの? いや〜すごいね」と、驚くきたろうさん。実は三代目主人の山田廣久さんは、元々フレンチのシェフで、暖簾と味を守りながら、数々のアイデアを料理に盛り込み、常連客の舌を満足させている。どんな料理に出会えるか楽しみにしながら、まずは焼酎ハイボールで乾杯!

オープンキッチンを見渡し、まず目につくのが大鍋。50センチはあろうかという鍋が2つ、おいしそうな湯気を立てている。「先代からの料理で、うちの二大看板料理です」と出してくれたのは、洋食のビーフシチューのように素焼きの皿に入った煮込み。山利喜の煮込みは、基本的に牛のシロ(小腸)とギアラ(第四胃)のみを使用する。これを朝から6時間以上、目を離す事なく煮込むのだという。そして煮込みに追加で出てきたのがガーリックトースト(300円・税抜)。「煮込みのつゆが残って困るというお客さんがおられまして」というご主人のアイデアで、これには「なんか違う食べ物みたい。味が変わってパンチも利いて、おいしくなりますね」と、西島さんも大満足。

次の料理は、二大看板料理の残るもうひとつ、やきとんをいただく事に。芝浦の東京食肉市場から直送される、国産豚の素材を丁寧に焼き上げ、「おじいちゃんの頃から60年以上受け継いでます」という甘辛のタレをたっぷり。と、ここでまた三代目のアイデアが光る。小皿で出てきたのは、西洋わさび。「やきとんの上に、ちょっとのせて召し上がってください」という三代目のアドバイスに従って食べると、甘辛のタレのワンポイントとなって、実に美味しい。「これは酎ハイが進むよね」と、きたろうさんのピッチも上がる

この店に来ないと一日が終わらない……

山利喜は三代目の祖父、利喜造さんが創業し、戦後に二代目の要一さんが、煮込みとやきとんを看板に、店の評判を上げた。三代目は栄養専門学校で学び、そのままフランス料理の道を進んだ。三代目が専門学校の同級生だった孝子さんと結婚した年、二代目が体を悪くし、店を継ぐ決意を固める。きたろうさんが「親父は、なんでパンを出すんだって言わなかった?」と訊くと、「親父は喜んでましたよ。私がここに戻ってきた時、親父に相談したんですよ。フレンチの修業はしてるけど、和食は全然知らない。それでいいのか?って。そうしたら“いいんだ、お前の好きなようにやればいいんだ”って言われて、それでメニューがこういう風になったんです」。当時、後悔が無かったといえば嘘になる。しかし、それもまた人生。女将もまた「私は女将とか、全然なるつもりはなくて。サラリーマンに嫁ぐ感覚で、結婚したんですけども……。やっぱり、ちょっと専業主婦には憧れますよね」と笑う。そうして受け継がれた暖簾は、今、山利喜の本館をまかされている、四代目に受け継がれようとしている。

最後の一品は、白い洋食器に入った鶏ぞうすい。これはブイヨンスープを使ったぞうすいで、実に優しく女性にウケそうな味。「知っている和風鶏ぞうすいとは全然違いますよ。マイルドで、優しい味だ。やっぱりフレンチが、お好きなんですね?」と、西島さんが訊ねると「好きですね。食べに行くのも好きですし、作るのもやっぱり好きです」と答える三代目。料理を愛してやまない三代目に、酒場とは?と、質問すると、「大の大人がひと休みする所だと思うんですけどね。うちのお客さんって、飲んでると思ったら、もういないんですよ。すぐ帰っちゃう。ちょっと飲むと気が済むんでしょう。そういう方は毎日来られます。多分、ここに来ないと一日が終わらないんでしょうね」。一日を少しのうまい酒と一品でシメる。これこそ、酒呑みの理想的な一日の終わりではないだろうか?

山利喜の流儀
その壱

熱せられた素焼きの皿で、アツアツの状態で出てくる煮込み(580円・税抜)。まるで洋食のシチューのような風情。
その弐

火力が弱めのナラ炭で、じっくり肉の芯まで火を通したやきとん。はらみ、てっぽうは各280円(各1人前2本・税抜)。少量つけると違った味わいが楽しめる、西洋わさびは100円(税抜)。
その参

鶏ガラ、野菜などを煮込んで作る、ブイヨンスープを使った鶏ぞうすい600円(税抜)。
きたろうさんから、山利喜へ贈る「愛の叫び」 遊び心のある大将の料理 トレビアン  ———きたろう
「山利喜 新館」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都江東区森下1−14−6
03-5625-6685
17:00〜23:00
日曜、祝日
「山利喜 本館」
住所
電話
営業時間
定休日
東京都江東区森下2−18−8
03-3633-1638
17:00〜23:00
年末年始
  • ※ 掲載情報は番組放送時の内容となります。

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